犬がキシリトールを摂取するとどうなるのか
犬がキシリトールを摂取してしまった場合、中毒症状が起きるということがわかったのは、ほんの十数年前のことです。
以前はキシリトールが配合された犬用のおやつなどが販売されており、もしかすると今でもキシリトールが配合されたものが販売されているかもしれません。
なぜ犬用のおやつなどにキシリトールを配合するようになったのかといいますと、キシリトールには口腔環境を整える効果がある、という研究報告が広まってしまったからです。
しかし、その効果は人間に対するものであり、犬に対するものではありませんでした。人間が口腔環境を整えるためや虫歯の予防のためにキシリトールを摂取することには効果的なのですが、それが犬にも当てはまるのではないかと考えたのでしょう。キシリトールには口腔環境を整える効果があるとして、犬用のデンタルガムなどにキシリトールを配合するようになったのです。
どれも低濃度の配合であったため、被害は少なかったようですが、お留守番の最中に、飼い主さんの目を盗んでキシリトール配合のデンタルガムを大量に食べてしまい、意識不明になったわんちゃんがいたそうです。そして、その事故がきかっけとなり、犬がキシリトールを摂取してしまった場合、中毒症状が起きるということがわかってきたのです。
それから、危険性を危惧したアメリカの獣医学協会が警告を出し、平成18年には「キシリトールは犬に与えてはならない物質である」と、正式に発表がされたのです。
犬がキシリトールを摂取することで起こる症状
犬がキシリトールを摂取すると中毒症状が起きますが、キシリトールが体内に吸収されることで血糖値が低下し、低血糖状態になり、意識を失ってしまいます。
血糖値が低下したまま放っておくと命にまで危険が及びます。元気がなくなる、食欲がなくなる、嘔吐するなどの症状があらわれる場合もあります。キシリトールが配合されたものを犬の手の届く範囲に置かないようにしましょう。人間用のガムを食べてしまったことで中毒症状を起こしてしまった犬がいたことも報告されています。
犬のデンタルケアにキシリトールは必要ない
口腔環境を整える、虫歯を予防するなどとして人間用のガムやタブレットに含まれているキシリトールですが、犬のデンタルケアにキシリトールは必要ありません。致死量に達しなければ大丈夫だろう、少量のキシリトールなら大丈夫だろう、なんて考えている人がいらっしゃるとすれば大間違いです。
もちろん、犬にもデンタルケアは必要ですが、毎日の歯磨きで十分に口腔環境を整えることができます。歯磨きでは不十分である場合には、口腔環境を整えるためのサプリメントがあります。口腔内の善玉菌を増やすサプリメントなのですが、獣医さんに処方してもらうことができますので相談してみてください。
犬がキシリトールを誤飲してしまったら
キシリトールを配合した人間用のガムを誤飲してしまう、これが最も多いケースだと思います。犬の体重10kgに対して、キシリトール1gが致死量と言われています。とある人間用のガムには1粒に0.5mgのキシリトールが配合されて、一気に2000粒食べてしまった場合致死量に達します。しかし、致死量に至らなくても「嘔吐・下痢・ふらつき・痙攣」などの中毒症状が起こる可能性があります。
すぐに症状はあらわれないかもしれませんし、症状があらわれていても気づいてあげられないかもしれませんし、全く何の症状も起きない犬もいるかもしれません。しかし、キシリトールを誤飲してしまったと気づいたら、すぐに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
まとめ
私たち人間にとっては良い効果をもたらしてくれるキシリトールですが、犬にとっては毒でしかありません。キシリトールを摂取したことで起きてしまった中毒症状は、1時間もしない間に重篤化してしまうとも言われています。
わざわざ犬にキシリトールを与えようという人はいらっしゃらないと思いますが、キシリトールを配合した物の誤飲にも十分な注意が必要です。
ユーザーのコメント
女性 Satsuki
たくなかったので、キシリトール入りのガムを一生懸命食べ過ぎてしまい、下痢に
なったことがあります。やはり適量を守ることは大切ですね。犬にとってはかなり
強い中毒症状が起こるとのことですが、知りませんでした。そんなに悪い成分でも
なさそうなのに、このような症状が起こることに驚きです。