しぐさから読み取る犬の感情
犬は人間へ言葉が通じない分、様々なしぐさで感情を伝えます。耳や口、尾、時には全身を使ってその感情を表します。どれか一つの動きだけでなく、それらの組み合わせを理解することで、より犬の感情を読み解くことができます。
犬と一緒に暮らしている人には当たり前のことだと思いますが、犬にも喜び、悲しみ、怒り…といった多くの感情が存在します。
例えば「尻尾を振る」という行為でも、犬をじっと観察していたら、感情によってその動き方は異なります。尻尾がゆっくりと水平近くで振られていたら「不安」を、素早く振られていたら「喜び」を。更にこの時に耳の位置がどこを向いているか、目線がどこにあるか、そういったものを組み合わせることで、よりその感情を詳しく読み解くことができます。
犬のしぐさを理解することで、その心の声を聞くことができるようになるのです。今回はそんな感情表現の一つである「歯を剥き出している時」の2つの心理をご紹介します。今回ご紹介する心理は同じ「歯を剥き出す」というしぐさでも、それぞれ全く意味が異なります。
監修ドッグトレーナーによる補足
1、威嚇や怒り
犬以外に他の動物にも多く見られるのが「威嚇」で歯を剥き出すしぐさ。これは警戒心たっぷり、威嚇している感情を表しています。
また、威嚇と似た感情で「怒り」の感情を表しているときも歯を剥き出します。威嚇が怒りにまで発展している場合、歯を剥き出すしぐさと共に毛を逆立てて、目も大きく見開いて唸ります。同時に尻尾を高く上げて、小刻みに振る場合もあります。
これらのしぐさが更に発展すると、犬歯(牙)まではっきりと剥き出しにして、マズルにしわが寄り、耳をピンと立て、上体を低くして構えている場合、「攻撃体勢」に入っていることが考えられます。
この上体を低くした攻撃体勢の姿勢は犬が遊びに誘う時の「お辞儀」にも似ていますが、お辞儀の際は歯を剥き出したりはしません。ここまで感情を表していると、さすがに怒っていることを理解すると思いますが、明らかに警戒心が攻撃体勢へ移行した場合は注意が必要です。
これらのしぐさを見た場合、犬にとっても攻撃をする前段階、いわば予防策である威嚇の段階で引き下がりましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
2、笑顔
1つ目にお伝えした「威嚇」や「怒り」とは打って変わって「笑顔」を表しているという説もあります。これは犬がマズルにしわを寄せて、前歯を見せている状態です。
犬が笑顔を見せるの?と思う方が多いかもしれません。本来の犬の顔の動きとして、笑顔という表現方法はありません。しかし、人間と暮らすうちに学習することで、笑顔のような表情が見られるようになるのです。
飼い主さんが喜んでいる時は、口角が上がって歯が見えている。犬はそのしぐさを学習して、それを真似るのです。もちろん、どんなに真似をしていたとしても、人間の様に声を出して笑うということはありません。しかし、見た目はまさに笑顔そのものなのです。
犬は上手に人間の感情を読み取ることができます。そして、その感情に共感して、真似までするのです。また、たまたま犬が笑顔のような表情を見せた時に飼い主さんが喜んだ経験がある場合も、同じように笑顔の表情を見せることがあります。これも飼い主さんに喜んでもらいたいために見せていると考えられます。
この場合の歯を剥き出しにしているしぐさは威嚇や怒りとは全く意味が異なりますが、周りの状況を見ればそれが威嚇なのか笑顔なのかは一目瞭然のはずです。喜んでいるのか、威嚇しているのかはっきりわからない場合は、それ以外のパーツをよく観察してみましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
まとめ
犬は体の様々なパーツを用いてその感情を表してくれます。人間が犬の感情を読み解く以上に、犬は人間の感情を読み解き、理解しようとしてくれているのかもしれません。私立ち人間もかすかな犬のしぐさを読み解いて、愛犬の気持ちを少しでも多く理解できるようになりたいものですよね。
ユーザーのコメント
女性 みずき
我が家の愛犬の「怒り・威嚇」が要因の歯を剥き出しにしている表情は、実はまだ見たことがないのですが(一生見たくないとも願っています)散歩中に出会った仔では見たことがあります。尻尾の動きを見るまでもなく、瞳の輝きに敵意があるのですぐにわかりますし、聞き漏らしそうな小さな唸りを発している場合もあります。そんな場合は、すぐに退散することにしていますが、案外、飼い主さんが気がついていない場合もありますので、注意が必要ですね。