1.愛犬をシャンプーする「前処理」のコツ
実は、愛犬をお風呂に入れる際、一番時間と手間をかけるべきなのが、前処理です。
前処理をしっかりと行うことで、実際にシャンプーしたりドライヤーをしたりという犬にとって負担になる時間がぐっと短くなるのです。
入念にブラッシングする
被毛のもつれ、毛玉を完全に取り去ります。もつれや毛玉がある状態では十分にシャンプーが行き届かなかったり、流す際にもシャンプーやリンスが残ってしまう可能性があります。
耳掃除
耳の中はシャンプーすることができないので、あらかじめ済ませておく必要があります。耳の穴の大きさに合わせた脱脂綿をカンシに巻きつけ、液状のイヤークリーナーを脱脂綿に染み込ませます。愛犬が急に動かないように、落ち着かせてから、耳の中を拭いてあげましょう。
耳掃除をした後は、耳栓をしてあげると、シャンプーなどが耳に入らないで済みます。
爪切り
愛犬の体を保定しながら、足先を持ち、爪の根元を押し出すようにしてカットします。
爪切りのタイプは、小型犬にはニッパータイプ、大型犬にはギロチンタイプが向いています。
カットした後はヤスリで滑らかにしてあげましょう。
爪切りを嫌がる場合には、カットしている様子が犬から見えないように工夫しましょう。
パッド(肉球)の処理
肉球の間の毛は放置すると、室内で滑りやすくなり、怪我をする原因にもなります。シャンプーの前に肉球の間の毛をカットしてあげましょう。バリカンを使ってカットする方法と、刃が短いハサミを用いてカットする方法があります。愛犬に合わせて選びましょう。
肛門周辺の毛を切る
肛門周りの毛は肛門を塞ぐように伸びる傾向があります。肛門周りは常に清潔に保つように、被毛を短くしておきましょう。
監修トリマーによる補足
ご自宅で爪切りやパッドの毛の処理を行う場合、飼い主様自身が慣れていないと刃物を扱う作業ですので、愛犬に怪我をさせる危険性があります。
少しでも不安を感じたり、わんちゃんが嫌がる場合は無理をせずサロンにお願いしましょう。
もしパッドにかかる毛を処理したい場合は表面の毛のみを刈り取り、パッドの間の毛は傷つけてしまう危険性が高い場所なので無理しないことをお勧めします。
2.愛犬のシャンプーを選ぶコツ
10年くらい前までの文献では、犬を頻繁に洗うことの弊害が大きく取り上げられていました。しかし最近では、犬を頻繁に洗うことの弊害を少なくしたシャンプー剤もでてくるなど、犬のシャンプー剤の研究、改良がすすんでいます。
シャンプーの頻度によって選ぶ
犬をシャンプーするのは月1回程度で、多くとも2週間に1回と言われます。しかし、住んでいる場所やお散歩コースによっては、それ以上の頻度で洗わなくてはならない場合もありますよね。良質のシャンプー、リンスは、愛犬の皮膚・被毛への負担が少なくなっています。
良質なものですから、もちろん多少お値段も高めですが、「シャンプーの頻度が多いから安いものを使う」というのはNGです。シャンプーの頻度が高いからこそ多少高価であっても良質なものを選びましょう。
季節によって選ぶ
春〜夏の暖かい季節は、公園の草木も伸び、ノミやダニの活動もさかんになります。暖かい時期だけは月に1度、薬用シャンプーを使用するのも選択の1つです。
ただし、薬用シャンプーは通常のシャンプー液と使用方法が異なる場合があるので、製品ごとの説明書をしっかり読むようにしましょう。
3.愛犬にシャンプーするときのコツ
シャンプーをする目的は、「皮膚と被毛の汚れを落とし清潔に保つこと」だけではありません。
「皮膚の新陳代謝を高めて被毛の発育を促進すること」「トリミングがしやすいように被毛を整えること」もシャンプーの目的です。全ての目的において満足できるようにすることが大切です。
シャンプーの温度も調整する
あらかじめ希釈して使うタイプのシャンプーは、薄める際には犬の体温程度に温めておきましょう。そうすることで、冬場でも愛犬が冷たい思いをせずにすみ、お風呂嫌いになるのを防ぐことができます。
事前に湯洗いをする
砂埃などで汚れている被毛にシャンプーをつけても、泡立ちが悪く、汚れが残ってしまいます。
シャンプーをつける前に、あらかじめシャワーのみで湯洗いしてあげましょう。
お湯の温度を調整する
お湯の温度は35℃〜38℃が望ましいですが、夏期や妊娠中の場合はぬるめに設定しましょう。
頭部、目の間の洗い方
頭部や目の間を洗うときは、シャンプー液を染み込ませたスポンジを毛の流れに沿って使うと、素早く洗えます。愛犬にとって負担の大きい部分は素早く洗ってあげましょう。
耳の中の洗い方
指先にシャンプーをつけて、無理なく届く範囲まで洗いましょう。奥の方はシャンプーの前に事前にイヤークリーナーで掃除しておきます。
豚毛ブラシを使う
背中や側面、手足は豚毛ブラシを使い、毛の流れに沿うようにすると、洗いながら被毛をもつれされることがなく、綺麗に洗えます。
4.愛犬にリンスをするときのコツ
シャンプーは汚れを落とすため、アルカリ度数が高くなっています。アルカリ状態に皮膚や被毛をしておくことは、マイナス面が大きいため、リンスで中和するのです。
つまり、「汚れたところをシャンプーだけしよう」というやり方をしてはいけないのです。
シャンプーの後には必ずリンスをしてあげなければなりません。
水をよく切ってから
シャンプーをしてよく流したら、水を十分に切るようにします。
パーツによって量を調節する
胸の飾り毛や手足の付け根の内側は毛玉になりやすい場所です。そういうパーツには少し多めにリンス液をつけて、しっかり浸透させるようにしましょう。
5.愛犬をシャワーで流すときのコツ
シャワー面を被毛につける
シャワー面を体に近づけてすすぐことで、音や水しぶきを嫌う愛犬でもしっかり流すことができます。
シャンプーは入念に流す
シャンプーが皮膚に残っていると乾燥や皮膚病の原因になるので、しっかりと流します。特に、耳の付け根や目の周辺、手足の付け根の内側などはシャンプーが残りやすいので入念に流しましょう。
リンスもしっかりとすすごう
リンスには、シャンプーによる角の脱脂を補い栄養を与える成分が含まれています。全身にムラなく馴染ませた後はしっかりとすすぎましょう。
監修トリマーによる補足
シャンプーやリンスには界面活性剤が含まれていますので、すすぎ残しがあると、もつれや毛玉、皮膚病の原因になってしまいます。
どちらも行なった後は、しっかりとすすぎましょう。リンスもすすぎ終わったと思った後に、再度確認のためにもう一度全身すすいであげるとすすぎ残しの失敗が起きないのでお勧めです。
6.愛犬を乾かすときのコツ
乾かすという作業は、愛犬の外見を最も左右する大切な作業です。人間の髪もそうですが、一度乾いた髪は被毛の流れの向きを変えることが困難ですよね。ただ乾かすだけでなく、ブラッシングをしながら、「髪型をセットする」というイメージで乾かしてあげましょう。
毛流に沿ってタオルで拭く
せっかく丁寧に洗っても、タオルで拭くときにワシャワシャと雑にしてしまうと、被毛がもつれてしまいます。毛の流れに沿って、丁寧にタオルで拭いてあげましょう。
タオルで包みながらドライヤー
乾かすときには頭からドライヤーをあてるのが基本ですが、そうすると、その間に体の被毛がボサボサのまま乾いてしまいます。それを防ぐために、体にタオルをかけて乾燥させないようにしながら、頭部を乾かしてあげましょう。
犬種によってドライヤーの向きを変える
ヨークシャーテリアは流れるような美しい被毛が特徴ですが、トイプードルはふわふわとした可愛らしい被毛が特徴ですよね。このように、犬種によって被毛やスタイルが違うので、意識しながら乾かしていきます。
毛の流れに沿って乾かす犬種
ヨークシャーテリア、シーズー、マルチーズ、ダックスフンドなど
毛の流れに逆らって乾かす犬種
プードル、ビションフリーゼ、など
耳の水分をとる
シャンプー中は気をつけていても、耳の中に水が入ってしまうことがあります。脱脂綿などを使って耳の水分をしっかりととってあげましょう。
最後はコーミングをする
ドライヤーを使って乾かすと、被毛は静電気を帯び、皮膚に馴染んでいる状態ではありません。
最後にコームでとかし、被毛が皮膚に馴染むようにしてあげましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は、実際に、プロのトリマーさんが気をつけているシャンプーのコツをご紹介しました。
私自身が「愛犬のために」とトリミングの資格を取得し、シャンプーもカットも自宅で行なっています。
いつまでも愛犬が「清潔に、健康に、美しく」いられるように、シャンプーのコツをしっかりつかんでくださいね!
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女性 ゴン吉