なぜ犬は「空気を読む」のが得意なのか?

なぜ犬は「空気を読む」のが得意なのか?

「飼い主が落ち込んでいると愛犬がそばに寄ってきた」なんて話を聞いたことはありませんか?ご自身でも具合が悪い時に愛犬が心配そうに寄って来たという経験をお持ちの方も少なくないはずです。今回はなぜ犬は「空気を読む」のが得意なのかについて考えていきたいと思います。

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記事の監修

犬の気持ちは行動に現れる。知っていますか?犬が顔を左に向けた時にはストレスを受けている可能性があることを。犬は様々な方法で人に気持ちや考えを伝えているのです。それを受け止めてアドバイスとして活かすことを仕事としております。様々な専門の知識と20,000時間以上の教育実績があなたとその愛犬の生活を助けて豊かに導きます。

犬はどこで人間の感情を判断しているのか

見上げるトイプードル

犬は、動物の中でも特に人間の感情を読むことが得意と言われています。そう言われてみると、愛犬が自分の感情に敏感になってくれているかもと思い当たる人も少なくないのではないでしょうか。

例えば、仕事や人間関係で落ち込んでいる時に、そっとそばにきて寄り添ってくれていたり、時には頬を舐めてくれたりなど…。ネットやSNSなどで飼い主の体調の異変を察して心配してくれているわんちゃんがいるという話を良く目にするでしょう。

犬たちは何を基準に人間の感情を判断しているのでしょうか。今回は2つの判断基準をご紹介します。

声のトーンや声量

犬は、人間に比べて聴覚が圧倒的に優れていることをご存知の方も多いと思います。人間の感情を判断する際も、人間の声のトーンや声量を1つの判断基準としているようです。

ニュージーランドにあるリンカーン大学では、犬に楽しそうな顔と怒っている顔が映っている2種類の映像を見せた後、楽しそうな声と怒っている声を聞かせるという実験を行いました。

すると、楽しそうな声を聞かせた場合は楽しそうな顔をジッと見つめ、反対に怒っている声を聞かせた場合には怒っている顔をジッと見つめていたのです。

つまり、犬は人間の声のトーンや声量から怒っているのか、喜んでいるのかという感情を聞き分け、しっかり判断していることが分かったのです。

表情からも感情を読み取っている

犬が人間の感情を読み取る際に、判断基準としているのは声だけではありません。人間の表情からも感情を読み取っていることが判明してます。

先ほどの実験からもわかるように、犬は楽しそうな声と楽しそうな顔、怒っている声と怒っている顔を正確にリンクさせることができています。

他にも、犬は人間が喜んでいる顔と怒った顔の区別ができるだけでなく、ポジティブな感情は喜んだ顔の方、ネガティブな感情は怒っている顔の方という理解までできているということがオーストラリアの研究によってわかっているのです。

飼い主が嬉しそうな顔をしていると「機嫌がいいんだな!」と考え、反対に眉をひそめていると「ネガティブな感情を持っているんだ」と愛犬も考えているのです。

監修ドッグトレーナーによる補足

犬は、人の声や表情から感情を推測していると言うことは、声を出さず無表情では何も伝わらないということです。

犬はエスパーのような特殊能力を持っているわけではありません。あなたの気持ちをしっかりと声や表情で伝えることが大切だと分かりますね。

犬と人間の歴史は長い

横を見つめるトイプードル

野生で生活していたオオカミがどのような過程で犬となり、人間の長い歴史を経て共存するようになったのでしょうか。

先ほどは、犬が人間の感情を読み解くことが出来るというお話をしましたが、最後に人間と犬の歴史についてご紹介したいと思います。

初めは狩猟動物として共存

野生で生きてきたオオカミは、食料を求めていつしか人間の残飯などを漁り始めるようになったことから、少しずつ共に暮らしていくようになったと言われています。

餌をもらう代わりとして、オオカミは敵が近づくと吠えて危険を知らせる役割をはたしていました。そのため、人間にとっても危険から身を守ってくれるオオカミとの生活は、お互いのメリットとなっていたのです。

時は流れ、オオカミから数十種類の亜種が誕生し、その中から現在の犬の起源とされる種が誕生したのではと伝えられています。

考古学の専門家によると、約1万3000年前の遺跡や化石の調査から、この時代には既に犬と人間が共存していたことが判明しています。お互いに狩りを行い、それを共有することで生活していたのです。

そこから人間は犬を家畜として飼育するようになり、その事から動物を飼いならすことが可能であることを発見したとされています。現在にも通じる家畜文化は、犬との共存生活から生まれたものであるとも考えられますね。

よき仕事のパートナーとして、家族として

飼い主の帰りを待つトイプードル

現在では、犬は人間の家族として生活するようになりましたが、日本最古の記録として飛鳥時代には既に聖徳太子が愛犬を飼っていたと伝えられています。

その後、平安時代には今で言うペットブームが巻き起こり、この時代からペット=家族という考え方が生まれたのかもしれませんね。

江戸時代になるとご存知の方も多いと思いますが、犬将軍、犬公方とも呼ばれていた徳川家5代将軍徳川綱吉は、「お犬様」という言葉が後世にまで残されるほど、犬好きだったという話はあまりにも有名です。

このように、長い歴史を共に過ごしてきたことにより、犬は他の動物に比べて人間に対する観察能力が進化したと言えます。一緒に生活する上で、相手の心情を察することは大切ですよね。それを犬もしっかりと理解してきたのです。

監修ドッグトレーナーによる補足

犬は、人間社会への適応力だけでなく人間観察においても天才的な能力を持っています。

人間がどう動くのか、何を表現しているのかをすぐに察知します。だからこそ間違ったしつけをすると犬の未来が取り返しのつかない大変なものになってしまいます。愛犬の幸せな未来を作るのは飼い主さん次第です。

まとめ

いかがでしたか?

犬と人間の長い歴史の中、敵同士から共存関係と変化していったことは、偶然の奇跡だったのか、必然なのか、いずれにせよ今こうして愛犬が側に寄りそってくれる幸せをしみじみと感じます。

犬は、人間の表情や声を合わせて感情を読み解き、空気を読んでいます。自分の感情を愛犬に伝えたいときには、ぜひこれらを意識して声をかけてあげてくださいね!

監修ドッグトレーナーによる補足

犬は人間と共存しながら生きています。犬たちの歩み寄りがあったからこそなのかもしれませんね。

共存していく上で大切なしつけは、犬がいくつになっても行うことができます。たとえ間違ったしつけをしてしまっても、間違いに気づいてやり直せば取り返しはつくのです。根気と犬への感謝を忘れずにゆっくりと歩んで行きましょう。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 女性 鈴木 裕子

    私には持病がありその1つに過呼吸の発作が頻繁に出ます。ある日、過呼吸になりそうてリビングから違う部屋に薬
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