アレルギーの原因や症状
「アレルギーって、言葉はよく聞くけれど実際にどういうものなの?」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。とにかくかゆくなる病気、というようなイメージがあるかもしれませんね。
まずはアレルギーを知ってもらうために、簡単に原因と症状についてお話します。
原因
実は、人間も犬もアレルギーになる原因は同じです。
ウイルスや細菌などの異物が体に入ってきた時、私たちの体は異物=敵だと認識します。これらの敵に対して、“免疫”という攻撃手段をつかいます。もし、また同じ異物が体に入ってきた時には「この異物は敵だ!」というのを覚えていますから、以前と同じように攻撃してやっつけようとします。
この“免疫”というのがくせ者なのです。
“免疫”自体は体を守ってくれる大事な役割、いわば正義の味方なのですが時々、食べ物や花粉などの害のない物に対しても「敵が来た!」と勘違いしてしまう場合があります。しかもその攻撃はいつもよりも激しく、自身の体を傷つけてしまうアレルギー反応となってしまうのです。
このように、私たちの体を守るはずの仕組みの勘違い『エラー』によってアレルギーは発症します。
症状
アレルギー症状を引き起こす原因になる(“免疫”に敵と勘違いされる)ものを“アレルゲン”と呼びます。この“アレルゲン”は実際には無害なものが多く、普段何気なく生活していて自然と体に入ってきているものです。
例えば、毎日食べるお米やパン(小麦)にも“アレルゲン”は含まれています。
疾患(病気)としてのアレルギー反応は以下のようなものがあります。
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー性鼻炎(花粉症)
- 気管支喘息
- 食物アレルギー
- じんましん など
アレルギーに気付いたきっかけ
アレルギーに関して、とてもすべてを書くことはできません。ですから、我が家の愛犬を例に、アレルギーに気付いたきっかけから、季節ごとの症状の出かた、自宅で出来る簡単な症状軽減の方法をお伝えしたいと思います。
当時9歳の我が家の柴犬は、冬毛から夏毛へ換毛期をむかえていました。毎日たくさんの毛が抜け、新しい季節に向けて衣替え真っ最中な時期でした。
右耳と首までの間に親指の先ほどの大きさの俗にいう円形脱毛症のような状態で、皮膚が直接見えていました。その時は「もしかしてストレス!?」と、お散歩が足りないのか、もっと遊んで欲しかったのかとすごく申し訳ない気持ちになったのを覚えています。
しかし、その日から以下のような別の様々な異常に気付き始めました。
- たくさんのフケ
- 目やにが多く常に涙目
- 足の裏や指の間をずっと舐めたり噛んだりしている
- 顔や耳の辺りを壁や床、段差にこすりつける
- 頭(耳)をよく振る
- 耳をかいた前足のにおいをかぐ
これらはすべて、アレルギー症状によるものでした。
季節ごとのアレルギー症状の出かた
春(3月~5月)
この時期はお困りの方も多いでしょうが、とにかく花粉と乾燥との戦いです!
色んなものに対してアレルギーを持っている我が家のわんちゃん、もちろん花粉やほこりにもアレルギー反応を起こします。
目がかゆいためか耳から鼻先にかけて傷だらけになるほどかきむしったり、床や壁にこすりつけたり、毛が少ない(肌が露出しやすい部分)内股やお腹も血が出ていることがあります。
壁紙やわんちゃん専用のマットが血で汚れてしまうほど、とにかくかゆくてかゆくて仕方がないといった様子が特徴的です。
夏(6月~8月)
花粉や乾燥が過ぎ去っても安心は出来ません。今度はジメジメ…湿気が強敵となって立ちはだかります!
雨の多くなるこの時期は、乾燥によるかゆみの症状は少し落ち着きます。その代わりに、今度は湿気によって活発になる様々な菌による症状が強くなるのです。
具体的には、足の指の間を特にかゆがったり、目やにが増えたり、耳の中が湿っぽくなり炎症を起こしたりします。
カラッと晴れた日には床の拭き掃除をしたりわんちゃんのマットを干したり、家の風通しをよくしたりとなるべく清潔にするよう心がけてはいますが、それでもいくらかましになるだけで症状を完全になくすことは出来ていません。
秋(9月~11月)
春に引き続き、再び花粉の季節がやってきます!
この時期はまだそれほど乾燥が強くないので、春ほどではありませんが人間の花粉症と同じような症状が出やすくなります。(涙目、目やに、鼻水、顔のかゆみ等)
また、もう一つ注意したいのが『名前もわからない雑草たち』です。
夏の日光で育った草花がまだまだ元気なこの頃、お散歩中にわんちゃんがクンクンとにおいをかぐ様子は可愛らしいのですが、秋のアレルギー症状の原因のほとんどがこの名も知らぬ草花に対して反応しているからだそうです。
冬(12月~2月)
夏毛からすっかり冬毛になりモフモフの姿が見れるかと思いきや、乾燥によるかゆみ症状再来!
毛が抜け、フケが増え、「いつまで夏毛なの?」と思ってしまうような姿になってしまいます。
冬場は草木が眠り、花粉による症状は治まりますが乾燥+ほこりのダブルアタックによって、かゆみの症状が強くなり傷だらけの状態に…。乾燥によって出た抜け毛やフケに空気中のほこりが絡まることで、犬にアレルギー症状が出る、という負の連鎖に陥ってしまうのです。
この抜け毛やフケは毎日掃除しても、常にわんちゃんから出ている状態なので「イタチごっこだなぁ」なんて思ったりしますが、清潔に保てば症状が少しでも治まるので愛犬のためには必要不可欠です。
以上が季節ごとの症状の特徴です。こうしてまとめてみると、その季節の気候の影響を大きく受けているのがわかります。
自宅で出来る簡単な症状軽減の方法
アレルギー反応のなかで最も強い症状の“かゆみ”ですが、この原因は主に2つあります。
「乾燥」 と 「皮膚にアレルゲンが付着する」こと です。
この2つを同時に解消するための方法として、我が家で行っているのが『清潔なタオルやガーゼを軽く濡らし、優しく体を拭いてあげる』というものです。
「それだけ?」と思うかもしれませんが、これが本当に効果的なのです。
用意するもの
- 水道水(を入れる容器)
- 清潔なタオルもしくはガーゼ
方法
まずは100円均一などに売っている霧状に液体を出せる容器(使用前にきれいに洗って乾燥させてください)に水道水を入れ、用意したタオルやガーゼが軽く湿るくらいに数回ふきかけます。
一日に何回かわんちゃんの全身(顔からお尻、足先、指の間、尻尾の先まで)を優しく拭いてあげます。
注意する3つのポイント
1.タオルやガーゼは濡らしすぎない!
わんちゃんの毛が濡れてしまうほどの水分量は必要ありません。むしろ毛が濡れたままのほうが細菌が増えたり、時期によっては風邪などの病気の原因になりかねません。
2.お散歩から帰ってきたら、必ず拭いてあげる!
お散歩から帰ってきたわんちゃんはアレルゲンまみれだと思ってください。お家でゆっくりする前に体についたアレルゲンを含む汚れをとり、出来るだけ清潔な状態にしてあげます。
3.拭いてあげる箇所によってタオルやガーゼの面を変える!
全身一気に拭いてしまいたいところですが、ちょっと待ってください。
犬は部分によって汚れ具合にかなりの差があります。ですので、常に清潔な、まだ使っていない面でそれぞれ拭いてあげてください。
出来れば、体の高いところにある部分(頭や顔)から地面に近いほう(足や足先、最後にお尻や股)に向かって順番に拭いてあげるのが良いと思います。
また、ペット用の低刺激や除菌、殺菌のシートもありますが、傷ついた肌や顔周りは刺激があるようなので、我が家ではこの方法でケアしています。
この方法の目的は、『肌に適度な潤いをあたえること』『体に付着したアレルゲンをふき取り、肌を清潔に保つこと』です。毎日シャンプーをしてあげることは難しくても、ただ拭いてあげるだけなら毎日出来るのではないでしょうか。
もしかしたら、わんちゃんを拭いたあとのタオルやガーゼを見て「こんなに汚れていたのか…」と驚かれるかもしれません。時期やお散歩のコースにもよりますが、それくらい汚れが取れる場合もあるのです。
まとめ
愛犬のアレルギーと付き合いだして3年、アレルギー改善に良いといわれたものは何でも試しました。シャンプーやご飯、飲み水、保湿のためのクリーム…しかし、どれも一時的な効果しかありませんでした。
今では病院からもらうお薬(飲み薬とスプレー)とアレルゲンカット(アレルゲンを含まない)ご飯で、なるべく症状が強く出ないようにしています。もちろん、体を拭いてあげることも欠かしません。
どのアレルゲンにアレルギー反応を起こすのかは、病院での検査か長期的な観察によって判断するしかありません。長期的になる理由としては、どの季節にどんな症状があるか、同じ食べ物を長期的に与えて症状が出るかどうかを観察しなければならないからです。
また、一度アレルギー反応を起こしてしまうと完全に治すことは難しく、わんちゃんに負担のかかる治療法を取らざるを得ない場合もあります。わんちゃんと一緒に暮らす私たちに出来るのは、いかに辛い症状を軽くしてあげられるか!これに尽きると思います。
今一度、あなたの家のわんちゃんの様子をよく見てあげてください。
アレルギー以外にも病気はたくさんあります。いつもと違う様子やおかしな様子はありませんか?
もし異常や異変を見つけたら、なるべく早く病院に連れて行ってあげてください。喋ることの出来ないわんちゃんの、声なきサインを見逃さないで欲しいのです。
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50代以上 女性 丸ちゃん
30代 女性 キラ