犬に舐められたときに人が感染する可能性のある病気とは?

犬に舐められたときに人が感染する可能性のある病気とは?

ペロペロとよく舐めてくる愛犬の姿にキュンとくる方も多いのではないでしょうか。愛犬の勢いに負けて「もう好きにして」なんて状態になることも…。でもそれ、実は結構危ないんです。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

意外と多い犬から人への感染症

舐めるドーベルマンの子犬

犬が飼い主を舐めるのは、愛情表現や服従のサインだったりと、理由は様々です。可愛いくてついつい抵抗せずに舐めさせていませんか?
実は、犬から人への感染症って意外と多いんです!
犬や猫といった動物から人間へウィルスなどが感染することを「人畜共通感染症(ズーノーシス)」と言います。
感染症の元となるものは、真菌や寄生虫、ウイルスなど様々です。
日常生活を送っていても感染する可能性があるものばかりなんです。土や水、空気中や他の動物から犬へと感染し、そして舐められた人間へと感染するケースが多く、重篤な症状を引き起こすものも…。
では一体どのようなものが感染しやすいのか、人間に感染した場合にはどのような症状が現れるのかをみていきましょう。

感染しやすい5つの病気

血液検査

人畜共通感染症は世界で300種類程ありますが、日本では100種類程が見られます。その中でも感染しやすいものを5つ紹介します。

パスツレラ症

犬から感染するものの中でも特に気をつけたいのが、この「パスツレラ病」です。
パスツレラ症とはパスツレラ・ムルトシダと呼ばれるパスツレラ属菌によって引き起こされる病気で、免疫力が低下した時にだけ症状を現す「日和見感染」です。
犬の口の中には高確率で存在するため、身近な感染症だと言えます。
犬はほとんど無症状ですが、人間に感染した場合には30分から数時間で以下のような症状がでます。

  • 傷口などを舐められた場合、腫れや痛み
  • 気管支炎肺炎

わんちゃんに噛まれたりした場合には応急処置として、患部を水で洗い流して下さい。
そしてすぐに病院で診てもらいましょう。

イヌ・ネコ回虫症

回虫とは寄生虫の一種です。
犬がお尻や毛についた回虫の卵を舐めて、その口でスキンシップを取ることで飼い主さんにも感染します。
子どもに多く見られ、以下のような症状を引き起こします。

  • 発熱
  • ぜんそく
  • 肺炎
  • 視力障害

Q熱

「コクシエラ・バーネッティ」という細菌が原因の病気です。犬は菌が含まれる排泄物を舐めたり、空気中に浮遊している菌を吸いこんだり、コクシエラを保有したマダニを介して感染します。
通常犬では軽い発熱などで済みますが、感染した犬が妊娠していた場合は流産や死産を起こす可能性があります。
人に感染した場合には症状が出ないことが多いです。
しかし、3週間ほどの潜伏期間を経て以下のような症状が現れることがあります。

  • 40度近い高熱
  • 頭痛
  • 肺炎
  • 肝炎

皮膚糸状菌症(真菌症)

カビの一種である皮膚糸状菌が感染することで発症します。
すでに感染している犬や人間と接触したりすることで感染し、発疹やかゆみなどの症状が出ます。
人間が皮膚糸状菌に感染した場合、以下のような症状が現れますが、通常は抗真菌薬などを塗ればよくなります。感染源である犬を治療することが重要となりますので、感染した場合は獣医さんに相談しましょう。

  • 発疹
  • かゆみ
  • 体部白癬(たむし)
  • 股部白癬(いんきん)
  • 足白癬(水虫)
  • 爪白癬(爪水虫)
  • 頭部白癬(しらくもケルズス禿瘡)

サルモネラ菌

細菌の一種で土壌や河川などの環境や、動物の消化管などいろんな所に生息しています。犬の糞から検出されることが多く、子犬や老犬などに症状が現れます。
犬がサルモネラ菌が含まれた糞や食べ物、飲み物を口にすることで感染し、感染した犬に舐められた手を洗わずに口にいれたり、誤って糞が口に入ったりすることで人間にも感染します。
衛生的に環境が悪い場所だと感染する可能性が高くなるので、清潔を保つことが予防方法のひとつですし、糞を処理したら手をしっかり洗うなどを心がけましょう。また、ストレスにさらされていると免疫力が低下し、発症することがあります。そのため免疫力を落とさないように気をつけることも重要なポイントとなります。
症状としては以下のようなものが挙げられます。

  • 腹痛
  • 下痢
  • 発熱
  • 嘔吐
  • 急性胃腸炎
  • 敗血症

人畜共通感染症の予防方法は?

キスしようとする茶色い犬

犬は病気に気づかずスキンシップを求めることがほとんどです。そのため、人間も感染したことに気付かず長引いたり重症化したりしてしまいます。
風邪やインフルエンザのような症状が続く、皮膚に異常が出る、リンパ節が腫れるなどの症状がある場合は病院で診てもらいましょう。そして、そのときには犬を飼っているということも伝えてください。
犬にキスをさせたり、過剰に口元を舐めさせたりしないように注意することも必要です。また犬を野生動物と接触させない、糞や尿の臭いを嗅いだり接触させない、といったことにも気をつけましょう。
定期的に動物病院で検診を受けるのも予防方法のひとつです。

まとめ

赤ちゃんを舐める犬

犬から移る感染症は健康な人の場合、自然治癒してしまうことが多く、あまり知られていないかもしれません。ですが抵抗力が落ちている人やお年寄り、小さい子供などは感染症にかかりやすく注意が必要です。
犬からの感染を防ぐことはもちろん、飼い主さん自身の健康にも気を使いましょう。睡眠不足や不規則な生活では抵抗力も落ちてしまいますからね!

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 うさぎ

    記事を読むと怖くなってしまいますが、そうはいっても愛犬からのキスはそう断れそうにありません。もちろん、気を付けます。家族以外にしないようにも配慮が必要ですね。
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