飼い主の過度な温度管理が犬の正しい換毛を妨害する!

飼い主の過度な温度管理が犬の正しい換毛を妨害する!

ダブルコートの犬には春と秋に換毛期があります。換毛期に正しく換毛が行われることは犬にとってとても大切なことです。愛犬がきちんと夏毛や冬毛に衣替えできるように、飼い主さんは夏冬の温度管理と換毛期のお手入れに気を配らなくてはいけません。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の換毛の大切さ

ファーミネーターと柴犬

あと数ヶ月で、春の換毛期がやってきます。
ダブルコートの犬の毛がごっそりと抜ける換毛期は飼い主さん泣かせですよね…。わが家にも柴犬がいるのでよーーーく分かります!
しかし、換毛期に換毛するおかげでダブルコートの犬は夏や冬を快適に過ごすことができるのです。

ダブルコートとシングルコート

犬の被毛は犬種によってシングルコートとダブルコートとの2つのタイプに分かれます。

ダブルコートの犬はオーバーコートと呼ばれる上毛とアンダーコートと呼ばれる下毛の2層構造になっています。太く硬い毛のオーバーコートは皮膚を保護し、柔らかい毛のアンダーコートは保温の役割を果たしています。

シングルコートの犬にはアンダーコートがなく、オーバーコートのみです。

換毛期とは

換毛期とはアンダーコートが生え変わる時期のことで、春と秋にあります。ですからアンダーコートがあるダブルコートの犬には換毛期がありますが、アンダーコートがないシングルコートの犬には換毛期がありません。

ですが、換毛期がないシングルコートの犬は全く毛が抜けないのかというとそうではありません。人間の髪の毛のように1年を通して少しずつ生え変わっています。

夏や冬を快適に過ごすために大切な換毛

ダブルコートの犬は日本のような夏と冬の寒暖差が大きい風土に適応することができます。春の換毛期には冬毛が抜けて通気性が良い夏毛に生え変わり、夏を涼しく過ごすことができます。

秋の換毛期には夏毛が抜けてアンダーコートが密集した冬毛に生え変わり、冬の寒さから犬を守ってくれます。このように暑い夏や寒い冬を乗り切るために換毛期に換毛することは、犬にとってとても大切なことなのです。

犬の換毛期は温度差が大きく関係する

ブラッシングの抜け毛と犬

換毛期に換毛することは犬にとって大切なことですが、室内飼いの犬が増えている今は換毛の仕組みが乱れてしまいがちです。

気温と日照時間が関係する換毛期

換毛期には気温と日照時間が関係していて、特に気温の影響が大きいと言われています。日が長くなって気温が上がってくると春の換毛期が始まり、逆に日が短くなって気温が下がってくると秋の換毛期が始まります。

しかし最近の犬は室内飼いが多く、冷暖房によって夏は涼しく、冬は暖かく過ごしています。この過度な冷暖房が犬に季節の気温差を感じ取りにくくさせ、換毛が正しく行われなかったり、換毛の時期がずれて夏毛や冬毛が早く抜けてしまったりする可能性があります。

春に正しい換毛が行われずに冬毛が残っていると高温多湿な梅雨の時期に蒸れて皮膚病になってしまったり、夏は熱がこもって熱中症になってしまう恐れがあります。

正しい換毛のために

換毛が正しく行われないと犬が夏や冬を快適に過ごせないばかりか皮膚病や熱中症を招くことにもなりかねませんから、私たち飼い主は過度な冷暖房によって愛犬の正しい換毛期を妨げないようにしなくてはいけません。

また換毛が正しく行われるためには、犬をある程度暑さや寒さにさらして気温を感じさせる必要があります。そのためには毎日の散歩を欠かさないようにするなど、日頃から外気に触れる時間を十分に作ることが大切になります。

夏の温度管理

仰向けで眠るキャバリア

暑い夏は冷房が効いた部屋で愛犬と過ごすことが多いと思いますが、設定温度が低いと夏なのに冬毛が生えてくることがあります。また、換毛のことは抜きにしても、室内と室外の温度差が激しいと散歩などで外へ出た時に犬の体に負担がかかります。

正しい換毛と犬の健康のために、夏のエアコンの設定温度は27℃程度にして『涼しい部屋』ではなく『暑さを凌ぐ』のを目的とした温度管理を心掛けましょう。

また、冷気は下へ降りるため床に近いところで生活する犬には冷えすぎてしまう事があります。冷気が犬に直に当たるのも良くありませんので、エアコンの吹き出し口はやや上向きか水平方向にするのが良いでしょう。

その他、扇風機や冷感マットなども有効活用して暑さを凌ぎましょう。

冬の温度管理

暖炉の前で眠るビーグル

寒い冬に暖房を効かせ過ぎるのも良くありません。保温のために生えたせっかくの冬毛が抜けてしまうことがあります。そして暖房の効かせすぎは犬を寒がりにする原因にもなります。

夏の温度管理と同様『暖かい部屋』ではなく『寒さを凌ぐ』のを目的とし、冬の暖房の設定温度は20℃程度にしましょう。

また、気温と湿度が低い冬は湿度を50%程度にすることでも体感温度が上がります。乾燥対策のためにも加湿器などで適正湿度を保ちしましょう。

その他、犬が温まれるように毛布や保温マットなどを敷いてあげるのも良いでしょう。

換毛期にはしっかりお手入れを!

外でブラッシングされるゴールデン

換毛期になると死毛(古い毛)が大量に抜けます。この死毛を放っておくと通気性が悪くなり皮膚に良くありません。

ですから、換毛期は普段以上にしっかりブラッシングするように心掛けましょう。ブラッシングで死毛をしっかり取り除くことによって、数ヶ月後の暑さや寒さを乗り切るために必要な換毛が促されます。

また、血行促進や皮膚を清潔に保つためにも換毛期のブラッシングを怠らないようにしましょう。とはいえ、飼い主さんが張り切り過ぎて強くブラッシングしてしまうと犬の皮膚を傷めますのでご注意を。

死毛を取り除くためにシャンプーをするのもオススメです。しかし、シャンプーをし過ぎると皮脂が奪われて皮膚のバリア機能が破壊されたり乾燥してしまったりします。シャンプーの頻度は多くても月3回までとし、低刺激で保湿効果のあるシャンプー剤を使用しましょう。

ブラッシングやシャンプーで死毛をしっかり取り除けば抜け落ちる毛が減りますので、飼い主さんのお掃除もラクになりますよ♪

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 コアラ

    知り合いの柴犬も完全室内飼いのためか、換毛期がいつも遅れて、冬が始まっている今ごろ抜け始めたそうです。間に合うかな。
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