風が強い日は目のチェックを!
木枯らしが吹く季節や春のホコリっぽい季節などのお散歩で、目に砂やホコリが入って痛くなった経験のある飼い主さんは多いですよね。当然のことながら、あなたと一緒にお散歩しているワンちゃんの目にも砂やホコリが入り込んでいます。
トラブルにつながる前にしっかりチェックし、愛犬の瞳を守ってあげましょう。獣医師として動物病院で治療してきた経験から、自宅で出来る対策や病院へ行くべきタイミングなどについて説明していきます。
風の強い日やその翌日、目やにが多い。涙がぽろぽろ流れて、目を閉じがちになる。
そんな症状は愛犬の目のトラブルの前兆です。
砂やホコリが目に入って目の表面を傷つけたり、細菌感染を起こして結膜炎にならないように、お散歩やお出かけの後はしっかり愛犬の瞳をチェックしておきましょう。
目のトラブルを起こしやすい犬種、その予防と対策、そしてトラブルが起きた時の対処法などについてまとめていきます。
目に異物が入った時
目に入りやすい異物には砂やホコリが一番に挙げられます。それ以外にも服の繊維や動物の毛、犬自身のまつ毛、草の実などいろいろな異物が目の表面を傷つける可能性があります。
普通目に異物が入った時は、体が目の痛みを感知して涙を大量に流そうとします。涙で異物を押し流し、目の表面を綺麗にしようとするからです。
キチンと涙で異物が取り除かれれば、その後の問題はありません。
目の表面が傷ついたときの症状
目に異物が入った直後は大量の涙が出ます。普段より涙目になっている場合は要注意ということですね。
さらに異物によって瞳が傷ついたり、結膜(瞼の内側)に炎症が起きた場合は白目が充血したり、ブヨっと赤く充血して腫れぼったくなります。
瞳の傷(黒目や白目の表面)が深い場合は、突き刺すような痛みを感じて目を閉じます。
涙をこぼして目を閉じている場合は、瞳の傷を疑って早めに動物病院を受診しましょう。
目の異物に特に気を付けたいワンちゃんたち
目の表面を潤す涙の分泌が生まれつき少なくなりがちな犬種がいます。
- シーズー
- パグ
- チワワ
などは大きな瞳がくりくりと可愛い犬種ですが、同時に瞳が乾きやすい犬種でもあります。
特にシーズーとパグは先天的に涙の分泌が少なくなるドライアイを起こしやすい犬種です。そのような犬種では生まれつき涙の量が少なく、大きな瞳の表面の異物を流しきれるほどの涙が分泌されません。
さらに、あらゆる犬種の老齢犬にも注意しましょう。年齢と共に痛覚が鈍くなり目の表面の痛みを体が感知せず、涙を分泌できずに目を異物が傷つけてしまうことがあります。
放っておくと・・・?
目の表面の異物や傷を放っておくとどうなるのでしょうか?
結膜炎から視力低下まで
異物による感染症(ばい菌が入ってしまう)が起きると「結膜炎」を起こします。
瞼の内側のピンクの部分が充血し、腫れて赤くなります。初期は強いかゆみを感じ、犬は前足で目をこすったり顔をこすりつけようとします。
この際に親指の爪やこすりつけたものが瞳の表面を傷つけます。瞳の傷は軽傷であれば1週間程度で回復しますが、結膜炎が長引いて傷が慢性的につくと瞳の表面が黒く濁って傷跡になります。
この濁りは一旦できてしまうと取り除くことが非常に難しいです。何回も瞳を傷つけ、傷により瞳の表面が黒く変色してしまうと視力の低下を引き起こします。
要するに、サングラスを常にかけているような視界になるということです。
犬はもともと詳細な視力を持っていませんが、そこにさらにサングラスをかけた状態になると暗い所や初めての場所を歩くのを怖がるようになります。
人の顔も認知しづらくなるので、嗅覚の鈍った老犬の場合は飼い主さんが急に触れると咬みつくなどのトラブルに発展する可能性も高いことを覚えておきましょう。
一番怖い角膜穿孔
かゆみや痛みで目をこすり続けて起こるトラブルで一番怖いのは「角膜穿孔」という病気です。
角膜を大きく傷つけることで黒目の表面に穴が開いてしまいます。これは非常に痛みが強く、こうなるとワンちゃんは目を開けることが難しくなります。
角膜についた傷は傷跡になりやすく、先に述べた黒い変色に発展します。さらに感染症などを併発した場合、瞳の中にばい菌が入り込んで最悪の場合失明してしまうこともあるのです。
目に異物が入ってしまったワンちゃんの応急手当
お散歩の後に「ちょっと変だな?」と思ったら、しっかり瞳のチェックをしてあげましょう。
涙がたくさん出ている、目を痛そうに閉じているなら異物が入っている可能性があります。
そんな時の応急手当について書いておきます。
片目だけの場合
異物が片目だけに入っている場合の対処法です。
まず、異物が入っていない痛みや涙のない方の目を優しく指で閉じてあげます。
リラックスできるように声をかけながら、その目をまぶた越しにそっとマッサージしましょう。
瞳は面白い器官で、片方に涙が出るともう一方にも涙を出そうとする性質があります。
異物が入っていない方の目を優しくマッサージすると、反対の異物が入っている方の目に涙が溢れ出します。
涙が異物を流し出すまでゆっくりマッサージを続け、終わったら涙をティッシュなどでそっと拭き取ってあげてください。その際は瞳を傷つけないように気を付けてくださいね。
その後30分ほど様子を見て、目を開いて涙が出ていないようなら問題ありません。
簡単に飼い主さんができる対策なので、ぜひ覚えておいてくださいね。
両目に異物が入っている場合
この場合は目に触れないようにしましょう。不用意に触れると目の表面の傷を増やすことになります。
応急処置として、人工的に涙で異物を流し出してあげるのが一番です。
市販の人口涙液(クールタイプでないもの、防腐剤の入っていないもの)を多めに点眼してあげてください。
人口涙液は薬局で売られている人間用のもので対応できます。最近は使いきりタイプのポーションも売っているので、これならお散歩バッグに1本忍ばせておくのも簡単。ぜひおすすめします。
「1回点眼→5分放置→もう一度点眼」と繰り返し、目を開いて痛みがなくなるまで30分を上限に繰り返しましょう。この場合のコツは目薬をケチらないことです。1滴といわず、数滴を流し込んでしっかり異物を流し出しましょう。
上記の方法で改善しない場合
この場合はなるべく早く動物病院を受診してください。動物病院では目の表面の傷を治すための目薬や眼軟膏を処方してくれます。
獣医師の指示に従い、きちんと治療してあげましょう。
まとめ
意外と簡単にお家で出来る目の異物対策。しっかり覚えておくと良いですよね。
ドライブなどで窓の外を見るのが好きなワンちゃんは目のトラブルを起こしやすいです。
最近は犬用のサングラスも市販されています。サングラスですので視界は悪くなりますが、風から目を守るには
十分役立ちますのでチェックしておくのも良いかもしれませんね。
綺麗な瞳は愛犬のチャームポイントです。ちょっと気を付けるだけで綺麗な瞳を守ってあげられますので、ぜひお散歩やお出かけの際は気を付けてあげてくださいね。
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女性 たまご