日本ではあまり認識されていない
玉ねぎ、チョコレート、ぶどう......これらは犬が食べると危険な食べ物としてよく知られていますね。
犬が食べると危険な食べ物リストというのはあちこちで見かけますが、そんなリストから抜けていることもあったり認知度も低いけれどかなり危険なもの…それが発酵中のパン生地なんです。英語で書かれたものを見ると「発酵中のパン生地」は必ず入っています。(多分、他のヨーロッパ系言語でも入っているはず)
一方で日本語で書かれたものでは、生のパン生地はリストに入っていなかったり、入っていても説明不足だったりという場合が多いようです。パンを食べる機会の違いのせいなのでしょうが、日本でもホームベーカリーの普及などもあり、家庭でパンを焼く家庭は増えています。
パン生地が危険であると知らないと、犬が盗み食いをしてしまっても「粉とかバターとか卵とかだし、まあ大丈夫よね」と「コラッ!」と叱るだけで済ませてしまっては手遅れになるかもしれません。
パン作りが好きで犬と一緒に暮らしている方は、発酵中のパン生地の扱いにくれぐれも注意していただくよう、その危険性をお話ししたいと思います。
発酵中のパン生地が危険な理由
さて、ではどうしてパン生地がそんなに危険なのかご説明します。
生地を作る時に入れたイーストの発酵によってパン生地は大きく膨らみます。パンをオーブンで焼くことで発酵は止まりますが、もしも犬が生のパン生地を食べてしまったら発酵は止まらずに生地は膨らみ続けます。
悪いことに、犬のお腹の中は適度な湿り気と高めの温度という発酵にうってつけの環境です。膨らみ続けた生地は犬の胃の中をパンパンに膨らませ、周囲の他の臓器や血管を圧迫して壊死などの障害を引き起こします。ちょうど胃拡張が起きたような危険な状態になるわけです。
それだけでも十分に危険なのですが、さらに発酵が進むとイースト菌がアルコールを生成し始めます。胃の中でアルコールが作られるので飲酒したのと同じ状態になり、急性アルコール中毒の危険性も出てきます。胃が膨張しているために嘔吐することもできず、痙攣、昏睡などの症状が出て、最悪の場合は命に関わる事態になります。
ですから犬が発酵中のパン生地を食べてしまったら、一刻も早く病院で処置をしてもらうことが必要です。病院に行く際には電話をして急患であることを伝え、準備をしておいてもらいます。
冬場などはコタツを利用してパン生地の発酵をする方もいるかと思いますが、犬がいる場合には絶対に止めておきましょう。
きちんと躾をしていても、目の前に美味しそうな匂いのするものがあると何をするかわからないのが動物です。パン作りをする時、発酵中の生地は絶対に犬の手の届かないところに!というのが鉄則です。
ちなみにイーストを使っていないケーキやクッキーの生地は犬が盗み食いをしても、命に関わるような事態にはなりません。(でも砂糖やバターは体に良くないので、やっぱり注意は必要です。チョコレートが入っていたりする場合は言うまでもないですね。)
まとめ
認知度は低いけれど、犬にとっての危険度はかなり高い発酵中のパン生地。
- 食べると胃の中で膨らみ続けて臓器を圧迫
- 胃の中でアルコールを生成して急性アルコール中毒に
- 食べたことに気づいたら、即座に急患扱いで病院へ
- パン生地の発酵は絶対に犬が触れない場所で
以上のことを肝に銘じて、安全で美味しくパン作りを楽しみたいですね。大切な愛犬の命を守るためのちょっとした知識、お役に立てば幸いです。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 お母さん
以後、気をつけます。ずっと一緒に居たいので。