子犬を迎えた時にするべき5つの健康チェック

子犬を迎えた時にするべき5つの健康チェック

子犬は人間の赤ちゃんと同じで心も体も未熟な状態です。飼い主さんが思う以上に繊細で弱い存在だという事を理解してあげて、元気ですくすく育つように健康チェックは子犬の時から始めましょう。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

子犬はとても繊細な時期

サモエドパピー寝そべる

子犬はどれぐらい繊細なの?

子犬が家にやって来たら、その愛らしさに飼い主さんは夢中になって「もっと遊んであげたい!」「もっと抱っこしたい!」となりますよね。
でも考えてほしいのは、子犬は飼い主さんの家に来るまでは母犬や兄弟姉妹と一緒に遊んだり重なって寝たりして仲良く暮らしていました。それが突然、見知らぬ人たちに抱っこされて知らない場所に連れてこられているわけで、新しい環境に対する戸惑いは飼い主さんが思う以上のものです。
ペットショップから連れて帰った場合も、もともと1匹でゲージの中に入っていたから大丈夫というわけではありません。
それほど子犬は繊細だということを理解して、できるだけ早く新しい環境に慣れさせてその不安感を取り除いてあげてください。

免疫力や体力も十分ではありません

連れて帰るときに初めて外気に触れる子犬もいます。母犬の免疫がまだある時期でも、外にはどんなウイルスがあるのか分かりませんよね?ちょっとした風邪のウイルスでも免疫力のない子犬はウイルスに対抗することができません。
また、連れて帰ってくる時のストレスや環境の変化など、今まで経験したことのないことの繰り返しで子犬は相当疲れています。

でも子犬は自分の体力の限界を知らないので、飼い主さんが構えばどんなに疲れていても一緒に遊んでしまい、突然体力の限界がきて動かなくなってしまうこともあります。
飼い主さんからすれば可愛がっているはずが、逆に子犬の疲れやストレスを増やしてしまい、体調不良を招いてしまうかもしれません。
子犬と遊んであげたい気持ちは少し抑えて、家に来てから最低3日ほどはゆっくりできる環境でしっかり休息させてあげましょう。

室温の温度調整には気をつけて

冬は風邪をひかないように、寝床に毛布やヒーターをセットしてあげてください。
夏はエアコンで過度に冷やすのは止めておきましょう。飼い主さんが快適に過ごせる温度が子犬にとっても良い温度です。寒いと子犬が感じた時にもぐり込めるように、寝床にはバスタオルを入れてあげてください。

子犬を迎えた時にすべき5つの健康チェック

転がるパピー

我が家にやってきた可愛い子犬が健康なのか?病気にかかっていないか?飼い主さんの目でチェックしてあげましょう。
最初に行う5つの健康チェックと、異常があった場合に可能性のある病名や対処法をまとめてみましたので、無理のない範囲でチェックしてみてください。

①目

まずは目を見てください。健康な子犬の目はイキイキと輝いています。もしも目に力がなかったり、とろんとした眠そうな目つきの場合は体調を崩しているかもしれません。
目やにの確認もしましょう。少しぐらいの目やになら人間と同様に出ていても問題ありませんが、あまりにも多く目やにが出ている場合は結膜炎や角膜炎の恐れがあります。

結膜炎とは

結膜炎とは、眼球の白目からまぶたの裏側を覆っている結膜と呼ばれる部分が細菌・ゴミやほこりの侵入・ウイルスなどによって炎症を起こす病気です。
症状としては「目を痒がる」「涙が多くなる」「白目が充血する」「まばたきが多くなる」などがあります。犬の目は黒目が大きく白目が確認しにくいので、下まぶたたを少し下げて「あっかんべー」をさせる感じで確認してください。
痒がって前足で掻こうとする場合は目が傷つく恐れがあるので、早めに獣医師に診てもらいましょう。

角膜炎とは

角膜炎とは、黒目を覆っている透明な膜の角膜が傷ついた時に炎症を起こすことが多い病気です。
症状としては「目を痒がる」「まばたきが多くなる」「涙が多くなる」「角膜が白く濁る」などがあります。
結膜炎と違って非常に激しい痛みを伴いますので、症状がある場合はできるだけ早く獣医師に診せてください。
チワワ・パグ・フレンチブルドッグなどの目が飛び出している犬種は特に注意が必要です。

②耳

耳を見て、耳の内側がピンク色でキツイ臭いがしないのが正常です。耳垢が多く悪臭がする場合は外耳炎や耳疥癬の可能性があります。

外耳炎とは

外耳炎とは、鼓膜へと続く音の通り道の外耳道に傷がついて傷口が細菌に感染して起こる病気です。耳そうじのしすぎやシャンプーの時に耳に水が入った場合も発症する可能性があります。
症状としては「臭いのある耳垢が溜まる」「頭をよく振る」「耳を触ろうとする」「耳の内側の皮膚がぶ厚くなる」などがあります。
症状がある場合は、すぐに獣医師に診せるようにしてください。慣れていない飼い主さんが処置のために耳そうじをすると症状が悪化してしまう可能性があるので止めておきましょう。

耳疥癬とは

耳疥癬とは、耳の中にしか寄生しないミミヒゼンダニが繁殖した状態で耳ダニ症とも呼ばれています。耳の手入れ不足や感染している犬から移る、不衛生な環境での多頭飼いをしている場合に多くみられます。
症状としては「耳が黒ずみ、真っ黒い耳垢が溜まる」「耳から悪臭がする」「頭を振る」「耳をかくので周辺にひっかき傷がある」などがあります。
生きたダニが繁殖している状態なので、症状がある場合は必ず獣医師に診せてください。

トリマーをしていた時に、耳ダニ症の犬のケアをした経験があります。垂れた耳の犬種、マルチーズやシーズーなどに多くみられました。耳が垂れているため、めくらないと気づかない飼い主さんも多いようです。
本当に真っ黒い耳垢が溢れるほど出ていて、耳の中を拭いた綿花をじーっと見るととても小さい黒い虫が動いています。手で潰したりできる大きさではなく、また耳に戻ってしまう可能性もあるので飼い主さんが処置されるのはおすすめできません。

③鼻

鼻の表面は眠っている時と寝起き以外は湿っているのが正常な状態です。鼻を舐める回数が多かったり、くしゃみをしたり鼻水が出ている場合は風邪や鼻炎の可能性があります。

鼻炎とは

鼻炎とは、鼻の中の粘膜がウイルスや真菌・アレルギーなどにより刺激を受けて炎症を起こした状態です。人間と同様に、花粉やほこり・ハウスダストなどでアレルギーを引き起こす子犬も多いので、連れて帰る前に家の掃除をして常に清潔な環境を保ってあげてください。
鼻水がサラサラからネバネバしたものに変わったり、呼吸が苦しそうな場合は獣医師に診せてください。

④皮膚

とても痒がっていたり、毛が抜け過ぎていたらアレルギー性皮膚炎の恐れがありますので、被毛をかき分けて皮膚をよく確認してください。

アレルギー性皮膚炎とは

原因としてはノミやマダニなどの外部寄生虫やカビや細菌による感染・アレルギーによるものと様々です。 環境や食べ物に含まれる成分に対してアレルギー反応が起こる場合もあります。ノミに刺されることで起こるノミアレルギーは痒みがひどいので、痒みを止めてあげないと、さらにかきむしって皮膚に傷がついて傷口から細菌に感染するかもしれませんので、獣医師に診断してもらってください。

被毛や皮膚を清潔に保ってあげるために、定期的に柔らかいブラシでブラッシングして皮膚の状態を確認してください。また、ノミの駆除にはノミ取りシャンプーやノミ取り首輪も有効です。

⑤排泄物

排泄物は子犬の体調を知る上で大切なバロメーターです。色や状態(柔らかい・固いなど)臭い・回数・量なども変化がないか毎回チェックしてください。もしも軟便であったり下痢などをしている場合は注意が必要です。
下痢をおこす原因は様々ありますが、主な原因かと思われるものを下記に記します。

消化不良によるもの

ドッグフードの種類が変わってしまったり、食べ過ぎによっても消化不良を起こします。念のために、子犬を引き取った先のブリーダーやペットショップに与えていたドッグフードの種類や量を聞いておくといいですね。

細菌やウイルス感染によるもの

子犬は免疫力が弱いので細菌やウイルスに感染しやすく、家の中に落ちている物でも好奇心いっぱいですぐに口に入れて食べてしまうことがあります。そうすると細菌やウイルスに感染してしまうかもしれません。
子犬が居る室内や歩く可能性のある場所は、特に念入りに掃除して常に清潔を保ってください。

これは異常だと感じたら、排泄物を持って動物病院に行きましょう。
ただストレスやもともと胃腸が弱い子だったりする場合もありますので、日頃から排泄物のチェックをしていれば分かってきますので面倒がらずに行ってください。

まとめ

パピー2

子犬は可愛らしくてぬいぐるみのようですが、しっかりと生きている生き物です。でも体も小さく免疫力や体力も弱い状態なので、飼い主さんが守ってあげてください。
初めて犬を家族に迎える飼い主さんも、毎日のように健康チェックをしていれば子犬の状態も分かって徐々に慣れてくるので怖いことは何もありません。子犬と一緒に飼い主さんも成長していきましょう。

子犬はただ可愛いだけの「物」ではありません。ちゃんと命があって、子犬のお母さんから命を預かったと思って最後まできちんと家族として守ってあげてくださいね。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 男性 クレアのパパ

    お母さん犬から預かった命って言葉にハッとしました。
    うちの子を可愛がっていますが、確かにお腹を痛めて産んだ大事な仔犬ですからね。

    これからも体調に気をつけながら大切に育てていこうと思います。
    クレアのパパの投稿画像
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