犬の赤ちゃん返りの5つの症状
人間の子供が「赤ちゃん返り」をして両親、特に母親の気を引こうとすることはよく知られています。同じように犬も新しく子犬や赤ちゃんが家にやってくると「赤ちゃん返り」をして飼い主の気を引こうとすることがあります。「赤ちゃん返り」と思われるのはこんな症状です。
①後追いする
飼い主の姿が見えないと探しまわり、飼い主の後を追いまわし、どこに行くにもついて来てトイレやお風呂にまで入って来る。
②甘える
部屋にいるときはずっとそばを離れず、体を摺り寄せてきたり、膝に乗ったり、遊んでと催促する。飼い主の手や顔をずっとなめる。
③無視する
いつもなら名前を呼べば飛んでくるのに、目を合わせなかったり、後ろを向いて知らんふりしたり、拗ねているような態度をとる。
④意地悪する、邪魔をする
他の犬が飼い主の側に来ようとしたり、遊ぼうとしたりすると邪魔をする。唸ったり、追い回して別の部屋に追いやる。
⑤おもらし
飼い主の側から離れたくなくてトイレに行かないでおもらしする。おねしょやトイレの失敗が増える。
犬が赤ちゃん返りをする4つの原因と対策
愛犬の「赤ちゃん返り」には飼い主の気を引くためだけではなく、ストレスを感じて起こしてしまう行動もあります。
①情緒不安になる
野生の動物にとっては、自分のテリトリーに侵入して来るものは敵です。伴侶犬として長い歴史を持つ愛犬にもそういった本能は残っています。
何年もかけて自分の地位を築いてきた家庭内に見ず知らずの犬や人が来れば、敵とまでは思わなくても落ち着かない気持ちになるのは当然です。
対策
先住犬がいる家庭に新しい犬を迎える時にはいきなり家庭の中で放置するのではなく、一方をケージやクレートに入れた状態で引き合わせ、その後も夜は別々の部屋で寝かせるなどして、双方が慣れてくるまで様子を見てあげましょう。 赤ちゃんの場合、犬は自分より弱い者には優しくできる動物ですので時間が解決してくれるでしょう。しかし、絶対とは言えませんので様子はしっかり確認しましょう。
②新しい犬や赤ちゃんに時間を取られてかまう時間が少なくなる
愛犬にとってご主人との触れ合いの時間はもっとも大切なもの。なのに、新しい犬や赤ちゃんが来た途端忙しそうにその犬の世話ばかり。
新しい犬を迎えて慣れるまでの数か月は手間がかかるのは仕方ありません。しかし、犬には人の都合は理解できません。新しい犬を迎えて、先住犬がさみしい思いをするのは勝手な人間の都合でしかないのです。
対策
新しい犬や赤ちゃんが眠っている時に遊ぶ、散歩や遊びの時間は先住犬を優先するなどして、出来るだけ触れ合う時間を作りましょう。
③飼い主が褒めてくれなくなる
愛犬は大好きなご主人にたくさん褒められたいと思っています。そのために言うことを聞いて、指示通りに動いて、時には言われる前に行動して、「いい子だね。」と言ってもらいたくて頑張っています。
犬には人間の常識は通じません。人間にとって出来て当たり前は、犬にとっては当たり前ではないのです。
しかし、私たちは愛犬が自分の言うことを聞くようになると出来ることが当たり前になってしまい、だんだん褒めなくなるようになるどころか、出来なかった時には叱ってしまうこともしばしば。
一方、新しい犬には、しつけのためにたくさん褒めてあげるのをあなたの愛犬はちゃんと見ています。
人間の子供がやきもちを焼いてわざと粗相したりいたずらをしたりするように、あなたの愛犬もわざと失敗することもあるでしょう。それは、飼い主を困らせるためではなく、かまって欲しい一心からやってしまうこと。
対策
彼らの心の信号を見逃さず受け止めてあげればきっといい子に戻るはず。悪い子だと叱らずに、上手に出来た時に思いっきり褒めてあげましょう。
愛犬には飼い主の笑顔が一番のご褒美なのです。
④意地悪をして叱られる
犬だって人間と同じで、大好きな人といつも一緒にいてたくさん愛されたいと思っています。昨日まで、たくさんの愛情を一身に受けていた愛犬は飼い主の心の変化には敏感です。
あなたは同じ様に心を開いているつもりでも、今までは存在していなかったもう一匹の犬や赤ちゃんを気に掛けるようになれば、愛犬は前よりも愛してもらえなくなったと思ってしまうのは当然のことでしょう。
新しい犬を迎えた場合、「突然やってきて、大好きなご主人に甘えて、世話してもらって、おまけに粗相しても怒られない。新しい臭いのするこの犬はいったい何?ご主人さまは私のご主人さまだから!」などと思っているかは分かりませんが、とにかくご主人を自分のものだとアピールするかのような意地悪をするようになります。おもちゃやおやつを取り上げたり、遊びの間に割って入ったり、うなったり、追い回したり、果ては部屋の外に追い出したり。
飼い主としては、自分のことを奪い合う犬たちを見てちょっと嬉しかったりするのですが、先住犬が執拗に追い回したり、噛みつきそうな勢いでおどしたりしているのを見ると新しい犬をかばって、つい先住犬を叱ってしまいます。
しかし、犬にとっては自分の行動の原因は相手の犬にあるわけですから、叱られる意味が分からない。ますます、相手が嫌いになるという悪循環になっていきます。
対策
こういう時の対処はまず、やきもちがひどい間は先住犬の前では新しい犬を無視しておくことです。それでももし先住犬が意地悪をし始めたらどちらも叱ったりせずに2匹とも無視してその場を離れましょう。大きなトラブルにならないために離れたところから観察するようにしてください。
また、やきもちがなかなかなくならない場合もあります。そういう場合は、2匹の間に優劣をつけてしまうのもひとつの方法です。
名前を呼ぶときや連れ出すとき、おやつをあげるときには必ず先住犬を先にします。犬は野生時代の名残で、伴侶犬となった今も、家族という群れの中で優劣をつけて生活しています。野生の群れでは順位が上の犬が先を歩き、先に餌を口にします。優劣が付けば、順位が下になった犬は、順位が上の犬に逆らわず、自分から身を引くようになるのでひどい喧嘩にはなりません。
愛犬の気持ちを理解してあげること
「あなたのおうちにワンちゃんは何匹いますか?飼っている犬は何種類ですか?」最近の飼い犬に関するアンケートには必ず頭数を尋ねる質問が入っています。
先住犬がいるのに、また新しい犬を迎えるときあなたは何を思ってその子を迎えようと思ったのでしょう。
『一人でお留守番させるよりも寂しくないかも』『遊び相手がいるほうが楽しいかも』と先住犬のことを考えて、あるいは、『行き場のない保護犬だから』『私が飼ってあげなきゃ売れ残ってしまうかも』と次に迎え入れる犬への切実な思いから新しい犬を迎えることにしたのかもしれません。
どんな理由があるにせよ、新しくワンちゃんを迎えることは先住犬の心と体に大きな変化をもたらします。
一見、素直に受けいれることが出来たように見えても、大きなストレスになっていることだってあります。むしろ、やきもちを焼いて抵抗してくれる方が飼い主には分かりやすくていいかもしれません。なぜなら大きなストレスは後々大きな事故や病気を起こしてしまう危険性があるからです。
先住犬の心のケアはできていますか?
先住犬の赤ちゃん返りの症状にちゃんと気付いてあげていますか。
もしあなたの愛犬が赤ちゃん返りしていたら、今まで以上に、冷静にかつ、もっとたくさんの愛を持って接してあげてください。
初めて家に来た時と同じように根気よく相手をしてあげてください。
愛情は減るものではなく、増えていくものだと愛犬自身が理解する時が必ず訪れます。
私たち人間にとっても犬達にとっても幸せな今の環境が長く続いてくれることが最も好ましいことなのですから。
ユーザーのコメント
女性 Hasu
女性 二条
記事にある症状の他に、部屋の角にこっそり座って家族に悲しい視線を送ったり、トイレを我慢したり、ご飯を食べる時も少し様子を覗ってから食べ始まるなど、いつもと違った行動がありました。自分を構ってほしいという表現だったのだろうと思います。
高齢になってからは甘える姿が顕著です。特に後追いが目立つようになりました。今は朝起きてから眠るまで殆ど一緒にいる状態です。これも年老いて不安になってきたからかなと思います。愛犬が高齢になってからの赤ちゃん返りは、何となくですが自然と優しい気持ちで接することができるようになると思いますよ。