泡立ちの良いシャンプーをなぜ選ぶ?
たくさんのトリマーに聞いてきましたが、“泡立ち”はプロがペットシャンプーを選ぶときにも大事な基準になっています。
プロトリマーはペットシャンプーを水で希釈して使いますが、何倍に希釈するかは、泡立ちと汚れ落ちのバランスで決めます。トリマーの購入する消耗品の中で一番高いのはペットシャンプーですから、そりゃ、泡立ちの良いシャンプーでギリギリを攻めたいですよ。
でもその考え方には2つの理由で反対です。
泡立ちが良いと汚れが落ちる?
理由の1つは、泡を作るための成分は汚れを落とす事に直接関係ない事です。つまり、泡立ちがいいから汚れが落ちるわけでは、全然ないです。
泡を作る成分のメインは「発泡剤」と「増粘剤」で、実は、この2つに汚れを落とす力はあまりありません。それに、汚れを落とすための洗浄成分はワンちゃんの肌に刺激を与えないようにうんと低くしてある商品が一般的ですから、良い泡立ちだけを基準にギリギリに希釈すると、泡立ちはいいけど洗浄力の弱いシャンプーになってしまいます。
その結果、1回のシャンプーではワンちゃんをキレイに洗えなくなってしまうのですが、そんな商品が大半ですからプロトリマーもこんなものだと思っていて、1頭のワンちゃんを何度もシャンプーすることに疑問を感じていません。
因みに、シャンプーは必ず泡にしてから使うという人がとても増えていますが、液体シャンプーが泡になるという事は、空気で希釈しているということで、洗浄力はさらに低くなります。泡とリキッド(液体)の洗浄力を比べると、実は圧倒的にリキッドが上なのです。
良い泡が邪魔なわけ
2つ目は、泡立ちが良いとシャンプーが肌に届きません。 被毛密度の濃い犬種は、毛をかき分けて肌を見ようとしても難しいくらい被毛が密集していますが、その被毛をかいくぐって肌の上にシャンプー剤をなじませなければ何度洗っても汚れは落とせません。
想像してみてください。 私たちが感じる良い泡は、ボリュームがあってなにより弾力がありますよね? その泡が、ゴシゴシするだけで毛をかき分けて肌に届きそうですか? そう、物理的にかなり難しいのです。 ポメラニアンなどの犬種を自宅シャンプーでうまく洗えないのはこのためです。
ワンちゃんの汚れの正体は?
シャンプーで落とすべき汚れの中でも、被毛の汚れは比較的簡単に落とせます。 しかし、落とすべき汚れのほとんどは肌の上にあるのです。 その正体は、役目を終えてはがれ落ちた角質と、その角質に染み込んでいる皮脂、そして、角質や皮脂を食べて繁殖している菌類です。
20日程度ではがれ落ちる角質は、皮脂にくっついて折り重なってミルフィーユのような状態で肌の上に留まっているのですが、これはなかなか洗浄が難しい厄介者です。
シャンプーの目的は、このミルフィーユにシャンプー剤を届けてきれいに取り除くことですが、 “弾力のある豊かな泡”は、密度の高い被毛をかいくぐってそこに届き難いのです。 そう、肌に届かなければ落としようがありません。
私たちがいいものと思っている “よい泡” のシャンプーやボディーソープは、毛の生えていない人間にとっては最高に魅力のある商品ですが、ペットの肌をキチンと洗おうとすると、とっても邪魔な存在と言えます。
ワンちゃんの肌をキチンと洗うには?
では、ポメラニアンやダブルコートの犬種を最短の時間で完璧に洗う方法をご紹介。
先ず、発泡剤を使っていない純植物性石鹸シャンプーを使います。
そしてそのシャンプーを推奨希釈倍率の1.5倍薄くした希釈シャンプーを用意します。 濃いシャンプーには高い洗浄力がある反面、泡に弾力があるため薄くして弾力を抑えます。
あとは簡単、滴り落ちる寸前までたっぷり被毛になじませると、重力で必ず肌の上に届きますし、たっぷり使うことで薄く希釈して落ちてしまった洗浄力が補えます。
肌の上にシャンプーが届いたら、あとは被毛の上からゴシゴシ洗いをすれば、あっという間に皮脂を分解して角質を取り除くことができます。
これは延べ30,000万頭をテストしていつでも効果が確認できた、純植物性石鹼シャンプーを使った効果実証済みのスキルです。
記事提供
Mt.WOOD 代表者:森山 聖児
16年の製造業サラリーマン経験を活かし、CDCペットシャンプーを開発・販売 独自の視点でペットケアスキルを提案し多くのプロトリマーに選ばれている