犬が食物アレルギーを起こしやすい食材
食物アレルギーとは?
犬のアレルギーの代表的なものはアトピー性皮膚炎やノミアレルギーで、食物アレルギーは犬の大体40%位がもっているということです。食物アレルゲンに加えて、他の要素(ハウスダストや花粉など)とあわせてにアレルギー反応を起こす犬もいるし、遺伝や環境要因、ストレスによっても同じような症状が出る場合があるため、全てに対して予防をするのは難しいようです。
原因となるアレルゲンを特定するためには、動物病院で検査をするか、単一メニューを12週間位続けて症状の改善、または悪化を見分ける方法がとられます。では一般的に食物アレルギーを起こしやすい食材とは、どのようなものなのでしょう?
ドッグフードに使用される食材のほとんどが原因に!
驚くことにアレルゲンとなり易い食材はほとんどが、ドッグフードに使用されているものです。一般的に次のような食材に対してアレルギーを起こしやすいといわれています。
アレルギーを起こしやすいものから順に挙げると、
- 牛肉
- 乳製品
- 鶏肉
- 小麦
- 鶏卵
- とうもろこし
となり、ドッグフードは牛肉、鶏肉、とうもろこし、小麦はドッグフードに使われる代表的な食材ですが、これらに対するアレルギーが一番多いということです。これに続き、大豆、豚肉、ラム肉などがあり、大抵の場合はどれか一つでなく、この中の1,2個に対してアレルギー反応を起こしているということです。2015年にドイツミュンヘンのルートヴィヒ・マクシミリアン大学が行った新しい調査結果でも、同じ結果が報告されています。
アレルゲン食材をどうみるか
アレルゲンの食材リストを見るとドッグフードの材料そのものがすべてのっていて戸惑ってしまいますね。でもこれは、その食材そのものが原因となっている場合だけでなく、もっと厳密にいえば、食材そのものではないところにも目を向けるべきだということです。
例えば、肉類も育てられている環境や与えられている飼料に抗生剤などが投与されていないかどうか?また、穀類でも、農薬や化学肥料、または除草剤などもつかっていないか?輸入小麦の防腐剤の残留、そこにさらに添加物が加わって製品となるフードや犬用おやつもあるということですから、それらの成分によってひきおこされる可能性もあるのです。
平成21年6月に施行された「愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律」によって、販売用のペットフードの表示義務が課せられました。
- フードの名称(犬用、猫用)
- 添加物を含むすべての原材料の表示
- 賞味期限
- 事業者の名称、住所
- 原産国(最終加工工程を終えた国)
しかし、安全性や栄養成分の表示方法の規制がなく、人間用の食品のように厚生労働省による、「食品衛生法」で守られてもいません。一応農水省の管理下にあるそうですが、今でも様々な添加物が含まれていることは事実です。
添加物の基準がないため、肉や乳製品と歯関係ない科学薬品を香料(○○フレーバー)として使っていたり、酸化防止剤(防腐剤)のなかでもエトキシキン、BHA,BHT,亜硝酸ナトリウムなど発がん性の報告のあるものも使っている商品があります。これらの要因が体に負担をかけることによって、本来の免疫システムがくるったり、アトピーなどの皮膚病の原因となっている場合も多いようです。
そのために、アレルギーテストによって鶏肉が限定された子が鶏肉を除去したフードに変えてもあまり回復を見せず、手作り食で鶏肉を食べても症状が出なかったというような例があるほどで、それほどアレルギーの原因が食材そのものだけではないという見方も必要だということです。
犬のアレルギー症状が出る理由
食物そのものに対するアレルギーについては、母乳以外のものをはじめて体の中に取り入れる『離乳期』にカギがあるといわれています。
人間の場合、卵アレルギーなどは、あまりに早い時期に卵をあたえたことが原因となることが多く、生後8か月まで卵を含むすべての食品を完全に与えないと食物アレルギーの発祥は半減するというデータがあり、犬の場合も乳児期に食べたものがアレルゲンになることは同じであるといわれています。
なぜかというと、未熟な消化機能の幼獣期には消化の不十分な状態でも吸収してしまうこと、腸の粘膜を守る免疫がすくないため、アレルゲンになる食物も腸を通過して体内に侵入しやすいということです。
具体的には鶏肉アレルギーの犬が鶏肉を食べた場合、小腸から吸収されたタンパク質解産物のアミノ酸が血管を通して全身に運ばれます。鶏肉を食べた犬の体がそのタンパク質を‘’異物‘’と判断すると、免疫機能が反応して攻撃しようとします。それが皮膚のかゆみや赤身、下痢となってあらわれるというシステムです。
犬の食物アレルギーの主な症状
食物アレルギーを疑ったほうがよい犬の様子は?
- 外耳炎を繰り返す(耳が弱いと思っていたらアレルギーだったという例が多い)
- まだ1歳未満の若い犬なのに結構ひどい皮膚炎がある場合
- 脱毛、ひっかき傷
- 下痢や嘔吐になることもある
- とにかくかゆがる
アレルギーで皮膚疾患の出やすい場所
耳の付け根や口のまわりは、犬が自分で引っかきやすい場所なので悪化しやすいです。また、足の裏側、肉球の間もかゆいとずっとなめてしまいます。
アレルギーと間違えやすい食物不耐症について
症状が食物アレルギーと似ていますが免疫反応ではなく、おもに食材に対する代謝不全が原因で体調を崩す『食物不耐症』というものがあります。
代表的なものは牛乳、乳製品に含まれるラクトース(乳糖)の不耐症です。犬の多くが乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)を十分に持っていないので下痢しやすい犬が多い(平気な犬もいる)というものです。
アレルギーとの違いは、急に症状が出ることで、玉ねぎを食べてしまって溶血性貧血になるのも、アリルプロピルジスルフィドの欠損という食物不耐症によるものです。ドッグフードを変えた途端に症状が出るのは、食物アレルギーよりも不耐症の可能性が高いということです。
犬の食物アレルギーの対策
食物アレルギーの食事は?
一般的に人間の場合と同じで、アレルゲンとなる原因の食品を除去した生活をして、アレルギーの発症を抑えるやり方がほとんどだそうです。しかし、前述のように食物アレルギーというものは一つだけでなく、複数のアレルゲンを持つ場合が多く、栄養バランスを整えるのは大変です。
もし、アレルゲンを除去した食事を続けていても、同じ種類の食事ばかり続けているとそれがアレルゲンとなってしまうため、蛋白源や炭水化物の種類は2,3週間のサイクルで変えたほうが良いともいわれています。
動物病院でアレルゲン除去のフードを購入し続ける方が多いことと思いますが、これでもなかなか改善されない場合は、食材そのものの後ろにある環境や飼料に原因があるかもしれません。また、アレルギー症状の原因が食べ物だけではない場合はフードの変更だけでは対応が難しい場合があります。
食物アレルギーと診断された犬は、消化器などへの病原体感染が疑われることが多いとのことです。そして、その病原体を取り除くと、アレルゲン検査陽性の食材を食べても症状が出ないという状態になることがあるのでそうです。
つまり、アレルギー症状は食材だけに問題があるのではなく、その犬の体質や抵抗力、消化器の状態、など様々なことが関係してくるということです。いくつかの食材に対してアレルギーをもっていても、その犬の体の許容範囲内で食べ続けていてアレルギー反応を起こさず、アレルギーを持っていることを知らないで過ごす犬もたくさんいるということです。
ただし、症状が出ているものは一般的にアレルゲン食材を除くことでしばらくは安心できるので、食材を置き換えた手作り食をためしてみるのも良いでしょう。また、代謝を促すデトックス素材を多く取り入れ、症状が治まるまではタンパク質は低めにします。
犬にとってタンパク質は大事な栄養素ですが、アレルギーの犬は肝臓の機能が弱っているので高たんぱくは負担がかかること、また、動物性タンパク質は多く取ると、腸内の悪玉菌が増えて腸の調子が悪くなります。腸でうまく排せつを促せないと排せつ機能である皮膚の状態も悪化するのだそうです。
牛肉
納豆、のり、モロヘイヤ (ビタミンB2)、納豆ひじき、青菜、煮干し(鉄)、大豆、ごま、納豆、のり(亜鉛)
乳製品
煮干し、納豆、小松菜、ひじき(カルシウム)、緑黄色野菜、のり、わかめ(ビタミンA)
鶏肉
ほうれんそう、果物、ナッツ、豆腐、グリーンピース(メチオニン)、緑黄色野菜、のり、わかめ(ビタミンA)、オイーブオイル、紅花油(リノール酸オレイン酸)、納豆、のり、モロヘイヤ(ビタミンB2)
小麦
豚肉、鮭、いんげん豆(ビタミンB1)、干しシイタケ、植物油、ナッツ、かぼちゃ(ビタミンE)、イモ類、海藻類、きのこ、果物(食物繊維)
鶏
卵、納豆、のり、モロヘイヤ(ビタミンB2)、緑黄色野菜、のり、わかめ(ビタミンA)、干しシイタケ、植物油、きくらげ(ビタミンD)
とうもろこし鶏
豚肉 鮭 いんげん豆(ビタミンB1)、納豆、のり、モロヘイヤ、卵、青魚(ビタミンB2)、パセリ、納豆、ほうれん草、山芋(カリウム)、海藻類、果物、イモ類、きのこ(食物繊維)
まとめ
私はこれまでの人生に6頭の犬と2匹の猫と暮らしましたが、幸せなことにどの子も食物アレルギーの症状は出たことがありません。みんな、ドッグフードも食べたことがないわけではありませんでしたが、ほとんどはその日の人のご飯の味なしバージョンで育ちました。だから犬に食べさせてはいけないものは知っていましたが、食物アレルギーのことは良く知りませんでした。
食の安全については人間の場合も同じで、昔の子どもに比べると現代の子どもにアトピー性皮膚炎が多いのも今回調べたことと同じ、供給される食材になる肉や穀類の育つ環境や、安易に使用され続ける添加物や化学薬品の影響、それらを無視しては解決できないことなのかもしれません。せめて人も犬もフード選びは慎重に、なるべく犬に与えるものは最低人もたべられるレベルの物を選びたいものですね。
あらかじめ動物病院でアレルギー検査を行っておくことをおすすめします。また、様子がおかしかったり、万が一、アナフィラキシーが起きた場合に、動物病院に気軽に行けるように、ペット保険に加入しておくなど備えておくことも大切です。
ユーザーのコメント
女性 ポムポム4
30代 女性 鈴音
人間と同じで、どんなワンちゃんでもアレルギーがゼロということはなく、うまく付き合っていくしかないのかな?と思います。記事にもあるように、若い世代で、背中に繰り返し発疹がでる、目や口元の毛焼けがひどい、痒がる等の症状があれば、食事内容の見直しで軽減する可能性はかなりあるように思います。アレルゲンを特定するには相当の費用もかかる上、確実ともいえないので、懸念される飼い主さんが多いのも当然ですが、我が家はアレルゲンを特定することで、なるべく除去したフードを与えるということについて、信念を持てた上、実際に半年で見違えるほど効果が出ました。
最近ではアレルギーに対する理解がある獣医さんも増えていますので、予防接種や診察の際に相談されてみることをおすすめします。
女性 mocmoc
そういったアレルゲンを除くフードを探すと、やはりプレミアムフードになってしまうため価格も高騰します。
犬のアレルギーは、同じものを長期間食べさせることで発症する可能性もあります。高いフードは信用できますが、そればかりを食べさせてしまうと今度はそのフードからアレルギーを起こしてしまうことも、ないとは言い切れません。
現在愛犬に与えているフードの中に酸化防止剤としてBHAやBHTが含まれていたため、少しずつ切り替え中ですが、毎日、耳に赤みがないかどうか、目が充血してないないか目ヤニがあるかどうか、皮膚に赤みがあったり痒みが出ていないかどうかをチェックしています。
アレルゲンでなければ、その食材の入ったフードを避ける必要はありませんが、同じものだけを食べさせるのではなく、何種類かのフードで調整しながら与えることで、少しばかりアレルギー対策になるのではないかと思います。
40代 女性 もも
アレルギーの知識がほとんどなく、人間より地面に近いの花粉症に罹りやすいという知識位でした。
体質にもよるところが大きいとは思いますが、犬が直接口にするものなので
十分注意をしてあげなくてはいけないですね。
正直、うちの犬に関してはアレルギーをあまり気にした事がありませんでした
うちのワンコは初めての仔なのですが、書かれているような症状は全く見受けられません
鶏肉もささみをよくあげていますし、ワンチャン用の牛乳も与えていました。
好き嫌いもなくわりとなんでも食べてくれるので考えることもなく人間とあまり変わらない食材を味付けなしであげる、筆者さんと同様に与えています。
人間と同様に今は大丈夫でもある日突然アレルギー反応が現れることもあるようです
毎日の事ですので、十分注意をしてあげたいと思います。
女性 佐奈
女性 コロ
あまり魚を食べさせることはなかったのですが、栄養が優秀だったので手作り食で与えたところ、耳が赤くなり熱もあるようでした。始めは気のせいだと思っていましたが、次第に首回りも痒がるようになったので、アレルギーの可能性が高いと思い中断しました。
今は正常に戻りました。やはりアレルゲンと思われるものは気を付けて与えないことですね。
女性 もふころ
思えば耳の炎症も多いです。アレルゲンを特定できるといいのですが。