ボルゾイはお金持ちしか飼えない犬なの?
ボルゾイは、見た目もゴージャスで気品あふれる姿をしていおり、立ち上がると人間の肩に前足が届くほどの超大型犬です。
その優雅な見た目から、ボルゾイはお金持ちしか飼えないというイメージを持つ人も多いのですが、実はポイントさえ押さえることができれば、お金持ちでなくても飼育することは可能です。
お金持ちでなくても飼育している飼い主もいる
ボルゾイを普通の家庭で飼育しているイメージがなく、モデルなどの有名人が飼育しているなどのエピソードをテレビなどで目にすることからお金持ちでないと飼育できないと思われている方が多いかもしれません。しかし、実際には一般家庭でも飼育している飼い主もいるのです。
しかし、誰にでも飼える犬種というわけではなく、十分な知識と準備がなくては飼うことは難しいといえます。
犬種の特徴を理解した適切な飼い方ができるかが重要
ボルゾイは、寒冷地であるロシア原産の犬であることや、大型犬であることから、しっかりと犬種の特徴を正確に理解し適切な飼育をすることができるかが重要です。
どの犬種であっても、特徴を理解することは重要ですが、ペットとしてよく飼われている犬種とは違い、特徴を理解していたとしても、誰でも飼えるという犬種ではありません。そのため、しっかりと情報収集をして本当に迎え入れることができるのか、一生面倒をみることができるのかを考える必要があります。
しつけに時間をかけられる
ボルゾイを飼育する上で、しつけに時間をかけることができるかは非常に重要です。感受性が強いので、時間をかけてじっくりとしつけができる人が適しています。
大型犬なので噛む力も引っ張る力も強いので、しっかりしつけをしておかなければ犬を制御できず、他人や他の犬にケガを負わせてしまう可能性があります。
実際に、ボルゾイが噛みつき事故を起こした例もありますので、しつけに時間をかけられるかはとても重要です。
体力が必要
ボルゾイなどの大型犬は、小型犬や中型犬と比べてお散歩などの運動が長時間必要です。
お散歩中に犬が引っ張ってしまう可能性もありますので、それを制御できること、毎日長時間のお散歩に付き合える体力は最低限必要です。
さらに、大型犬あるあるですが、シニアになれば介護が必要になることもあります。重い体重の大型犬を持ち上げるなどの体力がなければ飼育はとても困難になるでしょう。
寿命を考慮する
ボルゾイの平均寿命は、大型犬としてはやや短い7〜10年くらいといわれています。
ボルゾイに限った話ではありませんが、飼ったのはいいものの最後まで飼いきれなくなるケースも残念ながが少なくありません。犬種に限らず、病気をしなければ10年以上の寿命があります。寿命を全うするその日まで、責任をもって飼うことができるのかしっかり考えてから迎えることが何より重要なのです。
ボルゾイを含む超大型犬は、シニアになってからの介護はとても大変です。介護が始まる5年後、10年後に大型犬を介護する体力や金銭面なども含めて検討することも大切です。
ボルゾイの飼い主がお金持ちだと思われる理由
実際はそうでないことも多いのですが、ボルゾイを飼っている人はお金持ちだと思われる傾向が多いです。
ここでは、なぜボルゾイの飼い主がお金持ちだと思われるのかその理由をさまざまな視点から説明していきます。
広い飼育スペースや費用が必要になりやすい大型犬である
大型犬はその体格の大きさから、広い飼育スペースが必要であったり、運動量の多さから自由に走り回れる広い庭が必要だというイメージがあるため、広い庭付きの豪邸に住んでいる方が飼われていると思う方も多いでしょう。
また、大型犬は食べる量が多いため、食費も小型犬と比較して高く、医療費なども高額になりがちです。大型犬を飼育するには金銭的な負担が大きくなるため、一般的に「大型犬=お金持ち」というイメージがついているのでしょう。
ゴージャスで優美な見た目を持っている
ボルゾイは非常にゴージャスな被毛を持つのが特徴です。ボルゾイの毛色はブルーとチョコレートを除く全てのカラーが認められています。ホワイトやブラックの単色やシルバー&ホワイト、セーブル&ホワイトなどホワイトと2色で構成されている毛色やトライカラーと言われる3色の毛色で構成されている毛色などバリエーションがとても豊富。
ボルゾイは、絹糸のように細くて柔らかいサラサラとした長毛種です。そんな毛質の特徴も相まって、非常にゴージャスで優美な見た目をしてることからも高価な犬というイメージを持たれやすいのかもしれません。
ロシアの貴族が飼育してきた歴史がある
ボルゾイは、9世紀以上の歴史をもつロシア原産の犬で、ロシアに古くから住んでいた土着犬と熊狩りに使われていたベアハウンドの掛け合わせから生まれたと伝わっています。
13世紀初期、ボルゾイはウサギ狩りの猟犬でしたが、王侯貴族らがオオカミなどの大きい獲物を狙うにあたり、ロシアンシープドッグなどを交配して大型化され、オオカミ狩りの猟犬として働くようになりました。
それ以降、王侯貴族のみが飼育を許される高貴な犬となった歴史背景が、ボルゾイは高貴な犬というイメージがついたのでしょう。
ペットショップでは見かけることが少ない犬種
ボルゾイは、ペットショップで取り扱われていることはほとんどありません。また、お散歩中のボルゾイを見かけることも少ないかもしれません。
あまり見かけない犬種は高価なイメージを持つのは一般的なこと。ボルゾイもなかなか見かけないことから、高価であるというイメージを持たれています。
ボルゾイを迎え入れるためにかかる値段
ボルゾイを迎えるためには、生体の値段の以外にも、ワクチン代やケージなど飼育環境を作るためなどたくさんの初期費用がかかります。ここでは、ボルゾイを迎え入れるためにかかる費用や、毎月かかる費用について説明します。
生体価格
ボルゾイは、日本では住環境などの問題から飼育が難しいとされ、ペットショップで販売されているケースはほとんどありません。信頼のできるブリーダーからお迎えするのが一般的。
ボルゾイの平均価格は20〜50万円前後といわれています。価格の差は他の犬種でも同様ですが、ボルゾイの場合、高額はチャンピオン犬を両親にもつ子供など血統が良いケースが多く、安価な場合は遺伝子疾患や、不正咬合などの欠点を持っているケースが多いともいわれています。
値段だけで判断せず、なぜ高いのかまたは安いのかよく確認しましょう。
初期費用
お迎えする上で、まず整えなければならないのは飼育環境です。ケージや寝床、トイレやケア用品など、必要なものを揃えるのに4〜5万円ほどかかります。
その他にも、役所への畜犬登録やワクチン接種、健康診断などの費用として2万〜3万円の準備は必要です。
ペット保険料
ペットの保険料は、年齢によっても変わりますが、大型犬の場合、月に1,800円〜3,500円程度といわれています。
犬などのペットには公的な医療保険はなく、治療費は全て飼い主の負担となります。また、自由診療なので動物病院によっても、医療費は大きく変わります。診察内容などで異なりますが、子犬に多い骨折や、誤飲などの治療には、数十万円かかるケースがほとんどです。
ペット保険の加入は必須ではありませんが、健康なうちにしか入ることができない上、「満7歳まで」など加入に年齢制限が設けられていることや、お迎えしたばかりの子犬は環境変化のストレスで体調しやすいことから、お迎えする時に加入することをおすすめします。
お金持ちじゃなくてもできるボルゾイを飼う時のポイント
ボルゾイは、お金持ちでなくても飼育することができますが、超大型犬であることなども踏まえ、飼うにあたって気をつけなければいけないことがたくさんあります。
ここからは、ボルゾイを飼う時に気をつけるべきポイントを紹介します。
食事
ボルゾイは超大型犬に分類されるため、1日に必要な食事量はかなり多くなります。食事はフードと水のみで必要な栄養素やカロリーが摂取できる「総合栄養食」を与えましょう。
ボルゾイは食が細い子が多いため、食いつきが良くない子には「一般食」と記載されている食いつきを重視したフードを、総合栄養食に少し混ぜてあげると、嗜好性が高まり食べてくれるようになります。
犬は、年齢によって必要なカロリー量や与える栄養素などが違います。「子犬用」「成犬用」「シニア犬用」など、年齢に合わせたフードを与えるのも重要なポイントです。
手作り食は、作る楽しみや原材料を把握できることから、検討している飼い主さんも多いでしょう。しかし、栄養バランスを保つことが難しく、超大型犬のボルゾイは必要カロリーもかなり多くなります。
アレルギーなどの理由から主食を手作り食にする際は、栄養バランスをしっかり勉強し、必要であればサプリメントなども使用しながら実施することをおすすめします。
飼育環境
ボルゾイはロシア原産の犬種。暑さにはとても弱い性質のため、徹底した温度管理が重要です。基本的には室内飼いで、熱中症にならないよう24時間エアコンでの温度調整が必要になります。
また、ボルゾイは観察力や感受性が高く、神経質な性格の子が多いため、窓の外の気配や、物音などに敏感に反応してしまうことも。部屋の中では音の影響の少ないゆっくりと静かに落ち着ける場所にケージを設置するようにしましょう。
ボルゾイに限ったことではありませんが、犬は床の上で滑ったり、重心がうまく取れない状態では関節や腰に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。飼育スペースでは滑りにくい床材に替えるなどの工夫も必要です。
大型犬は、若く活動的な時期には棚やテーブルの上にある物を落とすトラブルが多いため、ケガなどを防ぐためにも家具や物の配置を工夫することも大切です。
また、年齢を重ねると物を落とすことは少なくなりますが、横になる時間が多くなるため、床ずれなどの皮膚の炎症を起こしやすくなることも。寝床にはクッション性の高いものを使用して予防するのがおすすめです。
運動量
ボルゾイは、ウサギやオオカミを狩猟するための猟犬として生活してきた歴史があるため、全速力で走ることを目的に作られた体を持っています。
そもそも、大型犬は小型犬と比べてたくさんの運動量が必要になります。毎日の散歩は1日2回、1回に1〜2時間を目安にしっかりと運動をさせましょう。
また、お散歩だけでは思いっきり走ることはできないので、家に広い庭のある方は庭で自由に走り回れる環境を用意したり、庭がない方でも広いドッグランに頻繁に連れて行き、ノーリードで思いっきり走り回れる環境に連れていきましょう。
ボルゾイはとても賢い犬種なので、フリスビーやボール投げなどおもちゃを使った遊びも得意です。愛犬のストレス解消にもなるので、一緒に遊んであげましょう。
お手入れ
ボルゾイは、オーバーコートとアンダーコートを持つダブルコートです。この毛質をもつ犬種は、かなり抜け毛があります。
ボルゾイは、長毛種の中では比較的お手入れが楽とはいわれていますが、季節の変わり目である換毛期には、大量の毛が抜けるので毎日のブラッシングは欠かせません。
また、ボルゾイの絹のような美しく長い被毛は、糞尿がつきやすく不衛生なのはもちろんのこと、尿やけを起こして毛が黄ばんでしまうこともあります。
毎日のブラッシングの他に、被毛のチェックも忘れてはいけません。毎月のシャンプーやトリミングもしっかり行う必要があります。
しつけ
ボルゾイは、優れた視覚と脚力をもつサイトハウンドですので、動くものに敏感に反応し、急に興奮したり追いかけ回したりすることがあります。
「マテ」で自制して止まることができるようにしておかなければ、お散歩中などに飼い主が制御できず引きずられるなどの事故にも繋がってしまいます。
噛む力もかなり強いので噛み癖をつけないように、しっかりとしつけをしないと、他の人や犬にケガを負わせてしまったり、最悪は命に関わる事故の加害者となる可能性もあるのです。
ボルゾイは神経質で感受性が鋭い特徴を持っています。しつけのポイントは叱らないこと。ただし、ご機嫌取りのような接し方は、かえってわがままにしてしまい手に負えなくなることもあるので注意しましょう。
叱らずに根気よく伝える、褒めて伸ばすなど優しく向き合ってしつけを進め、どうしても譲れないことは断固として譲らないという態度をするなど、人間社会で生きていく上でのルールを犬に分かりやすく教えていく必要があります。自分だけでは難しい場合は、トレーナーなどプロに協力してもらうことも必要です。
まとめ
ボルゾイは、お金持ちでなくても飼うことはできますが、しっかりと勉強をして知識をつけなければ飼うことはできません。
大型犬はしつけや金銭面でも、小型犬などに比べれば大変なことが多いですが、その分幸せもたくさん与えてくれます。
この記事を読んでボルゾイを飼ってみたいと思った方は、しっかりと準備をした上で愛犬を迎えて、幸せな生活を送ってくださいね。