犬が仰向けでお腹を見せるときの気持ち
屋内飼いの犬の場合、かなりの頻度で仰向けの姿を見ることができると思います。
この仰向けの姿、わんこ好きな皆様の間では「へそ天」と呼ばれています。別の呼び名まであるほど好まれる仰向けポーズはお腹を全て見せるポーズです。
ご存知の方も多いと思いますが、わんちゃんのお腹や首といった箇所は急所にあたります。つまり、犬が自分の弱点を露わにすることは自然界ではほとんどないことだと言えます。
飼い犬が見せる仰向けになる時の気持ちは、大きく分けて次のようだと言われています。
特別な意味はない
意外かもしれませんが、なんのメッセージ性もないケースがあります。飼い主としては拍子抜けしてしまいますが「ただ単に仰向けの姿勢になっているだけ」という場合もあるのです。
- クセ
- 体勢が楽
- 暑い(体を冷たい箇所に触れさせている)
- 気持ちの良いところ(感触のところ)にもたれかかっている
- 背中が痒い
- 寝相が悪くてそうなってしまった
人間も好んで取った姿勢ではなく偶然そんな姿勢だった、そんなことがありますよね?犬もそういうことがあるようです。
リラックス
よく言われているのが仰向けで「リラックスしている」という理由。それだけ安心する場所として認識してくれていると思うと嬉しいですね。飼い主であれば、こうであって欲しいと望みたいところです。
- 敵に襲われる心配がない
- 守らなければならないものがいない
- 警戒する気がない
元々、犬は狩猟に利用されたり、家畜を野生動物から守ったり、猛獣と戦う等の目的で改良されてきました。
現在でも警察や警備、戦闘などに使役される犬は、非常に強い警戒心を持ち、飼い主やハンドラー以外に気を許さない強固な意志と忠誠心を持ち合わせているため、緊張を解くことは非常に少なく、なかなか仰向けになってお腹を見せるということがありません。
仰向けでお腹を見せるという行為は、家の中(自分の縄張りの中)で、気持ちを許した相手(家族)に大切に守られている証拠と言えるのかもしれませんね。
相手に主導権を許している
仰向けでお腹を相手に見せるというのは「何をされても構わない」「全て受け入れて従います」そんなメッセージが込められている場合があります。
- 相手が怖い(攻撃しないで、と訴えている)
- 降伏のメッセージ(相手の方が優位にいることを理解し、相手にも示している)
- 信頼できる相手で何をされても嬉しい
- 撫でたり、可愛がられたい(優位にいる立場の者に対し、自分が嬉しくなる行動を期待している)
仰向けでお腹を相手に見せる行為には、このような意味が込められていると言われています。特に、仰向けになった時に尻尾がお腹側に巻き込んでいる場合は、攻撃の意思がないという表れ。怖いという感情も含まれています。
犬にとって、ポジティブな気持ちの場面もあれば、ネガティブな気持ちの場面がありますね。いわゆる「リラックス」とは異なった意味合いがあると考えられます。
監修ドッグトレーナーによる補足
「リラックス」と「緊張」、犬の気持ちがどちらに傾いているのかを観察する必要があります。
緊張している場合、体の動きや状態が固くなっています。このような時にむやみに触ろうとすると犬がパニック状態になり、飼い主でも噛まれてしまう可能性がありますので注意しましょう。
色々な気持ちが混在している
例えば、暑くて眠いからダラリとソファーの上でくつろいでいた所に飼い主が来たとします。そうすると犬の気持ちは「特別な意味はない」→「相手に主導権を許す」に変わります。
また、来客など訪問者に対して仰向けでお腹を見せた場合は、「相手に主導権を許す」→「リラックス」に変わると考えられます。犬も状況をよく観察して把握しながら、色々なことを感じていると考えられますね。
犬が仰向けでお腹を見せる行動の理由
犬の社会性を示す行為
仰向けになってお腹を見せるのは、犬の社会的な行動とも言われています。
犬は、コミュニケーションを大切にする動物です。仰向けでお腹を見せるという行為は、相手に自分の意志を伝えるための手段のひとつで、その態度を取ることが犬同士のルールと言われています。
犬社会のルールをいくつか挙げてみましょう。
- 初対面の場合、長い時間相手を直視しない
- 相手の縄張りを侵さない
- ニオイの交換で挨拶をする
- 喧嘩を避ける時はお腹を見せる
犬社会には他にもいろいろなルールがあり、子犬の頃から母犬や兄弟犬達と遊ぶ中で自然と学びます。
しかし、母犬から離されるのが早かったり、十分な時間を兄弟犬達と過ごせなかったりすると、この社会性が身に付かない場合があります。
愛玩犬の中には「犬同士のルールを知らない犬」がいるのも事実です。人の社会の中では上手く生きていけるけれど、ドッグランなどで犬同士のコミュニケーションは苦手。そんな犬が実は増えています。
愛犬が、犬を相手に「仰向けでお腹を見せる」という意味や必要性を学んでいないと、犬同士の無用な喧嘩を引き起こしてしまい、思わぬトラブルに見舞われることがあります。
遊びやおねだり
特定のオモチャを見せたり、ごはんやおやつの時に仰向けでお腹を見せることがある場合は、「遊ぼう」というサインであったり、「ちょうだい」というおねだりと考えられます。
以前、「仰向けになったことで自分にとって嬉しいことがあった(遊んでもらえたり、おやつがもらえた)」と学習していて、また同じようなことを期待して仰向けになっている可能性があります。
犬は学習能力が高く、特に自分にとってプラスとなったことをよく覚えています。こうした習性を利用して芸を覚えさせることができますよね。特定の場面で仰向けでお腹を見せる場合は、学習能力からくる行動と考えられます。
仰向けに注意したい犬種
どんな犬でも仰向けになることはありますが、仰向けに注意しなくてはならない犬種も存在します。短頭種
主に、シーズーやパグ、フレンチブルドックといったいわゆる鼻ぺちゃわんこは、仰向けになることで鼻や喉が詰まりやすくなってしまいます。
長時間の仰向けは避けるようにしましょう。いびきが出てしまう場合は特に注意が必要です。
骨格により不向きな犬種
主に、チワワや柴犬、ペキニーズ、ビーグル、ダックス、プードル、パピヨンなどは、骨格により仰向けにすると負担がかかりやすくなる部分が多い犬種と言われています。
仰向けで寝る姿はとても可愛いですが、長時間の仰向けはさせないようにしましょう。もし仰向けで寝るクセがある場合は、厚めのクッションに寝かせるなど骨格に負担のかからない工夫が必要です。
犬の仰向け行動に関するまとめ
犬が仰向けになるときの気持ちや理由についてご紹介しました。
仰向けになることには、複数の意味が混在していたり必ずしも区別できない場合もあるので確実とは言えませんが、おおよそこのように考えられると思います。
愛犬の行動をよく観察し、そこに込められたメッセージを理解することでより強い絆を作っていけると素敵ですね。
監修ドッグトレーナーによる補足
あなたの愛犬が仰向けにならないからと言って悲観することはありません。
なぜなら、犬がリラックスする姿や飼い主さんを信頼する姿勢は、仰向け以外にもたくさんあるからです。
仰向けでお腹を見せてくれなくても、個性やしぐさなど愛犬の良いところをたくさん見つけてあげましょう。
ユーザーのコメント
30代 女性 ちびまま
20代 女性 かねごん
30代 女性 mozuハハ
「怒られる(怒られそう)時」→所謂「ごめんなさいポーズ」です。まだ怒られてないのに、雲行きが怪しいと感じたら先に謝ってきます(笑)。
「お腹を撫でてほしい時」→寝てる最中など、お腹を撫でてほしいときは仰向けになり催促してきます。
「歯磨きをする時」→歯磨きをする時にいつも仰向けで行っています。習慣になってきているので、歯ブラシを見せると自分から仰向けになります。
40代 女性 まぴこ
どこでも誰でもごろ~んとお腹を見せられる子もいれば、信頼している人にしか見せない子もいます。うちの子は、家にいても自分ひとりだと仰向けにはなりません。誰かが近寄って来ると嬉しそうにごろんとお腹を出します。そして離れると「行っちゃうの~?」という顔をしながら元の寝姿に戻ります。傍にいると安心して片足だけちょっと上げながら寝たり・・。
今回この記事を拝見して、わんこがお腹を見せる理由もそれぞれで、本当に可愛いなぁと思いました。お写真のわんちゃんもとってもキュートで微笑ましかったです。
20代 女性 ゆり
わが子は横に来るとすぐお腹を見せます。私の中では撫でて欲しいからだと思っているのですが、ものすごい眠いときでもお腹を見せてるので、犬なりに「お腹見せると喜ぶから、見せてあげるか。」と気を使っているのでしょうか…
でも、知らない相手には絶対しないので少なくとも、安心はしている証拠だと思っています。
40代 女性 匿名
車に乗せる時は必ずといっていいほどします。乗せてしまえば平気なんですが…。
あとは もっとお散歩したい時に玄関前てしたり、庭で遊ばせていて 帰る時です。
少し困りますが 可愛いです。
40代 女性 ゼロ
50代以上 男性 匿名
その時にお腹を撫であげるととても気持ち良さそうにしてくれます
50代以上 女性 匿名
40代 女性 雪だるま
女性 emi
なんとも可愛らしいですよね!
以前に飼っていたヨークシャテリアも、甘えたいときによくお腹を見せてアピールしていました。
その後、2匹のパピヨンを飼ってきましたが、2匹ともお腹をみせる仕草をあまりしないので
「心を開いてくれていないのでは?」と寂しく思うことがあります。
パピヨンは警戒心が強いそうなので、持って生まれた性格もあるのかもしれませんが、
この記事にあるように、2匹とも生まれて間もなく母親の元を離されていたために
犬同士のルールを知らないことも理由の一つかもしれませんね・・。
やはり、子犬のときに母親や兄弟犬の中で学ぶことは多いのだろうと思います。
最近は暖かくなってきたので、そんな我が家の愛犬も寝ているときには
「きゅーん」と寝言を言いながら仰向けで眠っていることがあり、
安心して眠っているのかな♪と嬉しくなります。
30代 女性 ヌーさん
20代 女性 ピー
(←ミニチュアダックス)
昔いた柴はリラックスした時と相手以外、絶対お腹を見せませんでした。
40代 女性 なつっこ
抱っこが嫌いなのですが、抱き上げようとする時などにもお腹を見せます。
吠えたり歯をむいたりもしません。
お腹を見せるのが最大の防御(攻撃?)だと思っているように感じますが、そんなことってありますか??
もちろん甘えたい時や、リラックスしている時もお腹を出しますが、明らかに違います。
30代 女性 みー
40代 女性 匿名
犬用のベッドで寝ていて、私が寝る時にベッドタイムと言うとお腹を見せてきます。いつも抱っこして寝室まで行くので、「運んで〜」とでも言っている様に思えます。
どんな仕草でも可愛くって溺愛しています。
女性 もふころ
母っこの愛犬は、人と同じポーズをするのが好きなので、母が昼寝をしていると隣で同じようにへそ天していることがあるそうです。
50代以上 女性 不良少女チコ