犬の表情を読み取るポイント
1. 耳
犬の耳は、何かに積極的に取り組もうとしている時や自信のある時に立ち、気持ちが消極的な時に後ろに倒れるなど豊かに動きます。
垂れ耳の犬の場合は、耳の根元を見ることで前後の傾きや側頭との開き具合から、感情の変化を見分けることができます。また、耳は注目している方向に向くと言われています。
飼い主が話しかけている時に首をかしげているのは、耳の高さを調節しながら言葉を聞き取ろうと集中しているのです。興味を持ったことや不思議なことに出くわした時など、同じように耳の高さを調節して目の前の物を観察しようとします。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬の耳の動きは、立ち耳でも垂れ耳でも同じ動きをします。
垂れ耳は少々分かりづらいですが、耳の根元を動かして表現しているのでよく観察してみましょう。
2. 口元
犬の口元が軽く開いている時は、穏やかな気持ちでリラックスしている状態と言えます。逆に、犬の口が閉じているのは意識を集中している時や、匂いの情報を多く収集している時、緊張や警戒している時に見られる表情です。
犬の口角の上がり具合は、気分の高揚感と比例すると言われています。口角が上がっている時は気持ちが高まっていることを意味し、口角が下がっている時は暗く浮かない気分のことが多いとされています。
また、犬もあくびをする時がありますが、不快感を相手に伝えている場合や強いストレスを感じていることがあるので気を付けてあげましょう。
3. 目
犬の瞳孔は、リラックス状態の時に比べて興奮や集中している時の方が開いています。そのため、機嫌のよい時の犬の目はキラキラとして見え、不機嫌に怒っている時はギラギラと光るように見えると言われています。
また、犬は不安や緊張などでストレスを感じてネガティブな気分になっている時に、視線をそらしたりまばたきを多くしたりします。しかし、飼い主さんのように信頼関係のある相手に対する友好のサインだという研究報告もあります。
犬の目に表れる感情はとても豊かなので、読み違えないように表情を丁寧に観察してあげましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
目の表情は、瞳だけでなくまぶたも大きく影響しています。
まぶたを上げて目を大きく見せている時はポジティブな状態、まぶたを下げて目を小さく見せるときはネガティブな状態です。犬も人間と同じですね。
4. 鼻
犬が鼻にシワをよせるのは、怒りや恐怖、拒絶の感情を持っている時の表情です。一方で嬉しさが極限の時にも、鼻にシワがよることがあります。
また、鼻を「ピクピク」「ひくひく」させているのは、匂いで情報を得ようとしている時です。犬は視力が弱く2~3m程度のものしかはっきり見えないため、その分嗅覚で補っています。鼻を動かしている時は、嗅覚に集中して情報を集めているので、存分に匂いをかがせてあげると犬は安心します。
5. 歯
犬の唇がめくれあがり、歯茎まで見えている場合は警告の合図。歯茎が多く見えるほど警告度合いは高まります。犬が歯茎と犬歯を見せている時は、相手を威嚇し不要な争いを避けようとしていると考えられています。
さらに、犬が犬歯以外の全ての歯、前歯や上の歯茎まで見せているのは、怒りが頂点に達している時の表情です。攻撃してくる可能性があるので接触は避け、犬を刺激しないよう静かに行動しましょう。
口角を上げて歯をのぞかせ、笑顔のような表情をみせる犬もいるので、その場の状況や普段の観察から判断して下さい。
犬が嬉しい、楽しい時の表情
口角をあげて目を細める
犬の口元が穏やかに開いた状態で後ろに引いた口角がやや上がり、目を細めている表情はまさに「犬の笑顔」と言えるでしょう。幸せな気分の時に見せる表情で、耳幅は広めでやや後ろに引いており、全身の力も緩んでいることが多いです。
犬は、飼い主さんの喜んでいる時の表情を見て学習し、真似しているとも言われています。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬が嬉しいと感じている時は、顔の筋肉が頭の後ろ側に引っ張られます。
その時の表情が、まるで笑っているかのように見えてるのです。
目を大きくし耳を立てている
犬の目がいつもより大きく丸くキラキラと光っている時や、耳幅を狭く前向きに立てている時は、楽しい気分で興奮していることが多いです。
犬が怖い、不安な時の表情
耳を後ろに倒す
犬が怯えている時は、耳を後ろに倒し瞳をゆっくり動かしながら視線を合わさないように頻繁にまばたきをします。
驚きの気持ちを表すときも、同じ表情をするとされています。目を丸くしてまばたきをしない場合も同じです。
目をキョロキョロ早く動かす
犬が暗い気分や困っている時は、目をキョロキョロと動かす以外にも、まばたきをする、目を細める、視線を合わさないという様子を見せます。さらに、耳は前向きか左右対称に立ち、口元は口角が下がりめで閉じているのも特徴です。
舌で口元や鼻を舐める
犬の鼻は、湿っている方が感度が良いこともあり見慣れない場所に行った時など、鼻を舐めて自分を落ち着けようとしていることがあります。
さらに、緊張状態の時には視線を左右に動かし顔を背ける表情をする場合もあります。また、普段はあまり白目を見せない犬が目を見開いて白目を見せる場合も、緊張や不安がある時なので気を付けてあげましょう。
犬が悲しい、落ち込んでいる時の表情
耳が垂れて伏し目になる
犬が口元を固く閉ざし、耳が力なく垂れ下がったり目が伏し目がちになったりしているときは、悲しい表情の現れです。人間の落ち込んでいる時の表情に似ています。
力のないうつろな目
犬は、悲しんでいる時に無気力な目をします。上目遣いや横目でチラチラと見る、飼い主さんからのアイコンタクトを避ける、呼びかけに反応しないなどの様子が見られます。鼻をひくひくと動かしクンクンといった切なそうな鳴き声が漏れることもあります。
ちなみに、犬は落ち込むと一時的に元気がなくなりますが、気持ちを長く引きずり食欲を失ったり体調を崩したりすることはありません。食欲不振の場合には、他に病気の可能性も考えられるので動物病院を受診しましょう。
犬が怒っている時の表情
歯をむき出しにする
歯茎と犬歯を見せ耳は前向きに立ち、鼻の上にシワをよせた犬の表情は、怒りをあわらにして積極的な威嚇をしています。
「それ以上近づいたら痛い目にあわせるぞ!」と言わんばかりに、前のめりの姿勢でしっぽを立てるというような姿を見せます。
耳が後ろに倒れ鼻の上にシワをよせている
怒りの表情に似ていますが、耳を後ろに倒し鼻の上にシワを寄せている表情は、恐怖心の現れであり、消極的な威嚇をしていると考えられています。
唇を後ろに引き上げ奥歯まで見せ、まぶたが少し下がり目が三角になっていることもあります。「こっちにこないで!」という気持ちから、低姿勢でしっぽを下げていることが特徴です。
まとめ
犬の表情は、ただかわいいだけでなく、人間と同じように気持ちをとても豊かに表現するものだということがわかりました。
今回紹介した以外にも、飼い主さんだけが知っている、他の子とは違う特別な表情もあるかもしれませんね。毎日のコミュニケーションの中で表情から気持ちを読み解いてあげることで、よりよい関係を築くことができます。
飼い主さんが笑顔で過ごせば、愛犬も笑顔になるので家族内での笑顔の連鎖が期待できそうですね。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬の感情は、一瞬にして変化することがあります。
喜んでいたと思ったら、次の瞬間には怒っているなど。今の感情が1秒後には変わってしまうかもしれないことを理解し、注意深く愛犬を観察しましょう。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 フーガ
なにより、犬の笑顔や首をかしげる表情に和みますから、私たち飼い主の癒しにも繋がります。
大あくびのココアちゃんの写真には笑ってしまいました(笑)
40代 女性 まゆみ
人間が笑うとつられて笑顔になるのは知りませんでした!とっても可愛いですね!
記事を読んで、これからも愛犬の笑顔がたくさん増えるような毎日を過ごしていきたいなと思いました。
50代以上 女性 K9-ABC
朝一番で「お散歩行く?行く?」と言いたげな表情、お散歩道具を準備する間に顎をブロックに乗せて「まだぁ?」と見上げる表情、リードからハーネス着用時のワクワクを隠せない耳を立てた表情、苦手なカメラを向けると我慢してきちんとお座りしても無表情だったり、風を受けて爽快って鼻の穴を膨らめたり、目を細めて口角を上げるビッグ・スマイル。ずっと見ていても全く飽きさせることなく展開してくれます。
これからもお互いが沢山の笑顔で過ごせるよう、愛犬を見守り、私もがんばりたいです。
20代 女性 みるくてぃー
末の女の子のポメラニアンなのですが、ポメラニアンって表情豊かな子が多くないですか?
嬉しいときは口角をあげて笑っているように見えるんですよね〜
怒ると耳が下がりますし、お散歩いく?ご飯にする?なんて話しかけると首を傾げながら、理解した瞬間喜びの表情に変わります。
表情に出やすいので、悪戯をして怒った際に反省しているときと、反省してる風に見せてるときとでは表情や耳の動きが違うのですぐに分かります。
犬を飼うまでは、そこまで表情があるとは考えたことがなかったですが、飼い出してから我がこの表情や他のわんちゃんの表情にも気付くようになりました♪
わーいお散歩〜〜と喜んで出かけて、いざ動物病院に着いたときの愛犬は真顔で少し緊張気味だったり、ころころ変わる表情にいつも癒されてます。
女性 もふころ
ちょっと距離があるとじっと見つめ合うこともできるのですが、近いと顔をそらしたり視線を外したりしますね。こういう時は「あなたの方が上だから喧嘩したくないよ」という意思表示だと聞いたことがあります。ちらちら気にしながらゆっくり視線を外す姿はいじらしくなります。