介助犬とは
盲導犬・聴導犬と並び、補助犬として私たちの生活を助けてくれる「介助犬」。
その介助犬のお仕事は、身体の不自由な人のために日常生活の手助けをすること。例えば、落とした物を拾ったり、必要であれば車いすをけん引したりします。
現在、日本で活躍する介助犬の数は74頭。訓練を終え、介助犬の認定を行う指定法人で認定を受けてはじめて、介助犬として社会的に認められるのです。2才までに訓練を始めるのが理想的とされ、3才を過ぎると難しいようです。盲導犬の訓練をする中で、盲導犬よりも介助犬にふさわしい、とキャリアチェンジして介助犬になる犬もいます。
介助犬の歴史
介助犬が生まれたのは、1970年代後半。アメリカのボニーバーゲンが、身体の不自由な人と犬の関係を考えたことから始まったと言われています。日本に介助犬が来たのは1992年のこと。アメリカで訓練されたブルースを、ある日本人女性が連れ帰ったことでその歴史が始まります。
そして1995年。日本で第一号となる、ラブラドール・レトリバーのグレーデルが介助犬としての一生をスタートさせたのです!
介助犬に向く犬種
現在、日本の介助犬のほとんどをラブラドール・レトリバーが担っています。
しかし、人や動物に友好的であり、攻撃性がなく、集中力や作業意欲のある犬なら犬種を問わないそうです。その証拠に、アメリカでは多くの小型犬や雑種も活躍しているのです。
介助犬のお仕事
介助犬のお仕事の内容は、
- 落とした物を拾う
- 車いすのけん引
- ドアの開閉
- 起立や歩行の補助
- 荷物の運搬
- 指示された物を持ってくる
- 緊急時の対応(人を呼ぶ、緊急用のボタンを押す)
などさまざまです。
具体的な例を挙げると、割り箸を割ったり、ペットボトルのふたを開けたり、コンビニおにぎりのパッケージを開けたり。ユーザーのニーズに合わせて仕事内容はずいぶん変わるのです。
90以上の指示語を理解する介助犬
介助犬がお仕事の際、理解しなくてはならない指示語は90以上。
→動詞60語(英語)
→名詞30語(日本語)
多いと感じませんか?
どうしてこんなに多くの指示語を理解しなくてはならないのでしょうか。
身体が不自由、とひとことで言っても、片手が使えないことと両手が使えないことでは、介助犬の仕事内容はずいぶんと違ったものになります。ユーザーの求めることに臨機応変に対応しなくてはならない。そのため、これほど多くの言葉を理解する必要があるのですね。
介助犬を取り巻く環境
現在、日本で活躍する介助犬は74頭であると述べました。補助犬の先進国と呼ばれるアメリカでは、すでに3,000頭もの介助犬が活躍しているというのに。どうしてこれほどまでに差が生まれてしまったのでしょうか。日本では、介助犬の需要が少ないとでも言うのでしょうか。
そんなわけはありません。介助犬を待つ人は増える一方なのです。
日本に介助犬が増えない理由
日本に介助犬が増えない理由の一つとして、「介助犬のトレーナーの公的な資格がない。」ということが挙げられます。
基本的な訓練方法に従って介助犬を育て、認定試験に合格させることに要する労力は想像を超えるものだと思います。しかしそのトレーナーに公的な資格がない、となると、トレーナーを仕事にすることは簡単ではありません。
それに伴い、寄付金頼みの育成、不十分なアフターケアなど、介助犬にとっては厳しい環境なのです。
補助犬の同伴拒否があるという現実
もしも、パートナーである介助犬が同伴拒否されたとしたら。楽しいはずの外出が、一気に興ざめしてしまうことでしょう。補助犬法を説明しても、理解されないことも多々あるそうです。
こんなことでは、いつまで経っても介助犬は74頭から増えることはありません。一部の人が努力するだけでは意味がないのです。
私にできることは、この現実を知ること。近くの人に伝えること。それから?
介助犬のまとめ
介助犬は"パートナードッグ"とも呼ばれています。パートナーの意は、相棒・相方。介助犬とそのユーザーは、補い合い、高めあう存在だと私は理解しました。
介助犬について知っていく中で、一番大切なことを改めて気づかせてくれた言葉があります。それは、「介助犬は精神的な支えにもなってくれる。」というもの。これは私にはできない、と今まで決めつけていたことも、介助犬がパートナーになってくれたお陰でできるようになるのです。がんばろうと、前向きな気持ちをくれるのです。
物も、思いも、共有してくれる介助犬。まだまだ世界は広げられる、と教えるために、訓練をしてまできてくれるのかもしれませんね。自分の手と足、パートナーの手と足で、世界を広げられますように。そしてその世界が、素敵なところでありますように。
ユーザーのコメント
20代 女性 なっちゃん
でもまだまだ入れるところって限られているんですね…もっともっと行動範囲が増えるといいですね。それには、周りの人がもっと介助犬にういて知ったり、援助いてくれるようにならないといけませんね。
できることがあれば、私も協力したいと思います。
30代 女性 バッハママ
今後は、資格の認定制度や普及活動などあらゆる分野で発信していくことが望ましいです。介助犬は、精神的な支えにもなってくれるよきパートナーですね。頼もしい存在だと思いました。 は、ぜひそんなやさしい獣医さんになって下さいね。
40代 女性 まゆみ
必要としている方はたくさんいると思うので、介助犬トレーナーの需要はとてもあると思います 。
そのように訓練されたとは言え、言葉や指示を理解し、体の不自由な方のために一生懸命な姿には頭が下がります…。
うちの犬は待て、すらできません。泣