麻薬探知犬とは
空港で遭遇したハイテンションコンビ
今から2年ほど前の事です。私がとある国に海外旅行に行った際、行き先の空港の荷物受け取り場で、ベルトコンベアに乗って流れてくる自分の荷物を待っていました。そこに突然どこからともなく職員らしき人が「大きなワンコ」を連れて現れたのです。
「何が始まるんだろう?」と思っていたら、そのワンコは非常に楽しそうに尻尾を振りながら、その場にいる人やベルトコンベアの上に飛び乗って、荷物の匂いをクンクン嗅ぎ回って歩き始めたのです。
そして空港の職員さんも、そのワンコに対して「グット!グットボーイ!」とニコニコしながら頭を撫でながら、歩きまわっていました。そんな職員さんのテンションもあり、非常に高くて呆気にとられたままその一部始終を見守ったのです。
それから少しして、その時のワンコと職員さんが「麻薬探知犬」とそのハンドラーさんだと分かったんです。
この「麻薬探知犬」は、国際空港などの税関で集められる沢山の荷物の中から、覚せい剤や違法ドラッグといわれる麻薬の類いを、得意の鼻を活かして嗅ぎ分けて見つけ出して、麻薬類の密輸入を防止する役割をしているワンコの事を言います。
私がたまたま出会えたこのワンちゃん、実はとてもすごい犬だったんですね! そんな体験もあり、今回は世界中で活躍している「麻薬探知犬」についてまとめて行きたいと思います。
どんな犬種が向いているのか
海外ではビーグル犬
麻薬探知犬として活躍している主な犬種としては、海外ではビーグル犬が多く活動しているようです。
ビーグルが選ばれる理由として、犬種の中でも抜群な嗅覚を持っていて、高級食材であるトリュフ探しにも参加している程、優秀な鼻をしているからなんです。
ただその反面、大変に活発で遊び好きで、少々落ち着きのない一面もあるので、中には麻薬探知の際に、人によっては遊んでいるように見られるのだそうです。
日本ではレトリバーやシェパード
一方で日本では、職業上いかなる場合でも真面目に仕事に取り組んでいる姿勢を見せるタイプが好まれるので、陽気なビーグル犬よりも生真面目で淡々と仕事をこなす、レトリバーやシェパードを採用する事が多いそうです。
特にこの犬種が選ばれる理由として、物怖じしないこと、むやみに攻撃的ではないこと、おもちゃなどに対し独占欲が強いこと、などがあるからとされています。
この2つの犬種といえば警察犬や盲導犬としても活躍していますが、賢いだけではなくて見るからに真面目に仕事をこなすタイプの子が選ばれるのが、なんとも日本らしいですよね?
麻薬探知犬のお仕事
水際で麻薬の密輸を食いとめる
日本における麻薬探知犬の歴史は、昭和54年にアメリカから連れこられた2頭が成田空港に配置されたことから始まりました。
そして現在では全国の主要な空港や港、郵便局等にまでと配置が広がって、沢山の麻薬の摘発を手助けしています。
麻薬探知犬の一番の仕事は、水際で麻薬の密輸を食い止めて、国内への麻薬の拡大を防ぐ事なんです。
2種類に分かれて活躍する
先程にも挙げましだが、麻薬探知犬の主な仕事は麻薬の密輸を食いとめる事ですが、そこから「アグレッシブドッグ」と「パッシブドッグ」の2種類に分かれて活躍しています。
アグレッシブドッグとは?
アグレッシブドッグの役割は、空港などで流れてくる荷物から麻薬の匂いを感じると、即座に対象物に攻撃をかけ、相方であり探知犬を操縦する主人であるハンドラーさんに知らせる仕事をします。
事前にシッカリと旅客の荷物や貨物、郵便物に隠されている麻薬の匂いを探知できるようトレーニングされているんです。以前は麻薬の入った荷物を爪で引っ掻いて知らせていましたが、中身に爆発物も入っていた場合、衝撃を与えて事故にならないよう大人しくその場所で待機する訓練がメインとなってきました。それがのちのパッシブドッグになります。
ハンドラーとは?
麻薬探知犬の育成と訓練を行う麻薬探知犬訓練士のことです。国家公務員の資格を持つ東京税関職員です。犬を相手にすることから、忍耐力のある人、犬の体調か精神状態などの変化を感じ取ることのできる人、訓練は体力を必要とするため、基礎体力のある人、気持ちの切り替えをしっかりできる人、などが向いているとされています。
パッシブドッグとは?
対してパッシブドッグの役割は、荷物や貨物から麻薬の匂いを感じると攻撃するのではなく、その場に座り込んでハンドラーさんに知らせる仕事をします。
もちろんこちらも旅客の手荷物等に隠されている麻薬を発見するように厳しく訓練しています。
引退はどれくらい?
麻薬探知犬の任期は平均7年前後と言われてます。
そして探知犬を引退した後は、ずっと共にパートナーとして過ごしてきたハンドラーさんと暮らすことが多いようです。
引退後には主人と引き離されて、幼少期を過ごした家または専用の施設で穏やかな余生を送る盲導犬とは違い、ずっとパートナーと一緒に過ごせるのは探知犬としては嬉しいでしょうね!
麻薬探知犬は遊び好き?
遊びながらトレーニングをする
なぜ探知犬が器用に麻薬を探し出せるかわかりますか?
実は、トレーニングの時に対象物の中から麻薬の匂いを見つけて知らせると、ハンドラーさんが大好きなオモチャなどで楽しく遊んでくれるからなんです。
それゆえに発見後にする遊びに飽きてしまうと、途端に探知する意欲はガクンと落ちてしまい仕事に支障が出でてしまう事もあるんです。
ハンドラーさんのアイデアも大切
だから探知犬の意欲を常に保つために、ハンドラーさん達は工夫をこらして遊びに付き合います。
そして遊びが楽しければ楽しいだけ、探知犬は遊びを楽しみにして麻薬を必死に探し、自然と集中力が高まるので、僅かな麻薬の匂いも見逃さない優秀な探知犬に成長するんです。
仕事をこなしながらも、探知犬の為に毎回新しい遊びを編み出すハンドラーさんは本当に立派ですよね!
まとめ
麻薬探知犬は、空港や港に配置されて各所から送られてくる膨大な荷物や貨物、更には郵便物に至るまでをトレーニングされた嗅覚で探し出して、国内に蔓延される麻薬の魔の手を水際で阻止する仕事をしています。
そして仕事のモチベーションを上げる為の遊びを楽しませるように、ご褒美代わりの遊びのアイデアを考えるハンドラーさんも一緒になって頑張り、優秀な探知犬として成長し、活躍していくんです!
もしかすると、優秀な麻薬探知犬ほど、遊び好きなのかもしれませんね!
ユーザーのコメント
30代 女性 mimi
40代 女性 patata
40代 女性 ちえ
40代 女性 ろちゃん
20代 女性 ikku
40代 女性 まろまま
ジャックラッセル・テリアのわんちゃんがシッポを振り振り、楽しそうにお仕事してましたよ。
筋肉隆々の強面ハンドラー女性警官の方が厳しく回りを見渡す中、実に誇らしげに、かつ笑顔(ワンちゃん特有のあの笑顔ですよ)でお仕事されてました。
(@^^@)/
20代 男性 go
女性 ひつじ
女性 colo
一般的に日本ではシェパードとラブラドールが多いですね。海外ではビーグルやスプリンガースパニエルも活躍しています。
犬のなかでもビーグルの嗅覚は特に優れているので、麻薬探知の他に検疫探知の方でもお仕事をしています。
麻薬探知犬というと、扱うものが危険なものなので健康被害があるのではないかと心配になってしまいますよね。実際麻薬探知犬の寿命は7~9年ほどで10年に満たない子も多くいます。これは、探知犬に使われる犬種が大型犬なので比較的短い寿命が多いためです。決して中毒などが原因ではありません。
常に神経を研ぎ澄ませる仕事なので、愛玩犬に比べたら疲れるお仕事でもありますね。
もちろん麻薬探知犬にも休日はあります。健康診断も行い体調管理はしっかりしているそうです。
人間だけでは防ぎきれないことを犬が防いでくれるなんて、昔から犬にはたくさん助けられていますね。
女性 あゆ
それにしても犬の特異な能力で私たちの生活は守られていると思うと、それを見つけ出して利用している人間もすごいですよね。もちろん犬もすごいです。
女性 栗
10代 男性 RK
宿題のアイデアになりました。色々と知れました。
くどいですが色々とためになりました。
10代 女性 イミンホ