ドッグトレーナーに向いている人
ドッグトレーナー志望者の方に僕が先ず質問するのは、
「なぜドッグトレーナーになりたいと思ったのですか?」
という事です。
この返答の多くは「はい!犬が好きなんです!」と、これは当たり前なのですが「人が苦手なんです。だから犬と関われる仕事がしたいんです!」というのが案外多いのです。
これははっきり言って不正解であり不適性なんですね。
我々トレーナーは犬をコントロールできる事は当たり前で、飼い主さんに如何に犬の本質やテクニックをお伝えできるか、愛らしいパートナーと幸せに過ごして頂く術をご理解頂くこと。
つまり犬の本質を納得し、得心して実践して頂くための説得力や話術も必須条件になるのです。
また安全面から見てみるとドッグトレーナーにもタイプがあり、パピー相手のしつけ教室のドッグトレーナーから、僕のように飼い主さんが手に負えなくなってからSOSを発信され駆け付けてレッドゾーンの犬達を改善させていくドッグトレーナーまで幅があります。
他にもアジリティーが得意な方、ディスクが得意な方など様々です。
優秀なドッグトレーナーには特徴とか共通点があります。
前置きが長くなりましたが早速、向いている方についてご説明しましょう。
犬の前で毅然とした態度が取れる
人は無意識に犬の前で「ご機嫌をとる」様な振る舞いをしてしまいがちです。
しかし稀にとてもフレンドリーに、それでいて堂々と毅然とした態度で接する人を目にする事があります。
これはドッグトレーナーとしての「資質才能」だと僕は思います。
「ご機嫌をとる」振る舞いとは分かり易く説明しますと、
「可愛い♡あらーどうちたの〜♬ちょーですか〜♬」
とテンションが上がったり、まるで赤ちゃんや猫をあやす様に接してしまう人です。
前者は重要な犬とのファーストコンタクトで、相手に「上位」もしくは「僅差」と認識させるのです。
全犬種に言える事ですが犬の眼力、洞察力は侮れません。
犬の前で穏やかでおおらかでいられる。
かといって犬の前で毅然とし過ぎたり力を誇示し、抑圧しようとすればそれは犬の心理として「警戒」や「威嚇」「闘争」に変わります。
犬が一番好むエネルギー『穏やかさ』『おおらかさ』を持ち合わせている人に犬は警戒を解き、心を開いてくれるのです。
何より穏やかな良いエネルギーを犬に注げる人が結構おられるのも事実です。
そして犬とのコミニケーションによって信頼関係が築きやすいのです。
観察眼に優れている。
これは経験値が必要な部分でもありますが、「空気を読む」という能力はとても大切です。
ある意味その場の雰囲気、つまりエネルギーを感じる能力に長けた人はドッグトレーナーの資質充分ですね。
犬は人よりはるかに相手のエネルギーを読む洞察力に優れています。
これは野生の名残です。
犬は時として目まぐるしく変化します。
洞察力が必要なのは、その一瞬のタイミングを逃してはいけないからですね。
ドッグトレーナーに向いていない人
感情の起伏が激しい。
これは特化して言うと興奮しやすい人、リアクションの大きい人を指します。
犬が好きで犬を見るとテンションが上がってしまう。
これは犬にとっては好印象ではありません。
それにレッドゾーンの犬を前にして怖気付いて引いたり、緊張したり不安を覚えるのも感情が動き易く、犬にとっては不安を覚えます。
もちろん僕も人間なのでそういう部分はありますが、それを犬に見透かされない様にする努力をしましたね。
くよくよしたり悩みやすい
簡単に言ってしまうと、犬は自分本位の超ポジティブな思考をします。
そこにネガティヴなエネルギーのトレーナーが現れて、自分の縄張りに侵入して来たら犬はどうなるでしょう?
先ず印象が悪いため追い出そうとしますね。
そして自ら打ち解けようとはしなくなり、全く仕事になりません。
仮に「上手くいくかなぁ?この子は手強いなぁ」と思っていても犬に悟られない様にポジティブエネルギーを出せる事が大切です。
犬に恐怖心がある
これは案外気付いてない人が多いのです。
人も動物です。
いくら犬が大好きと言っても、人間の本能の部分で危機管理能力が働いてしまうのです。
つまり、荒ぶるレッドゾーンの子や、見た目が厳ついピットブルやドーベルマンなどの前で何も出来なくなる事があるのです。
それでは仕事になりません。
過去に志望者で「うちの子以外の犬はダメなんです〜(汗)」という人もいました。
「残念ながらあなたはトレーナーには向いていません」
僕はそう言う以外ありませんでした(涙)
ドッグトレーナーになるために必要な事
犬が大好きなのだからといって犬をコントロール出来るとは限らないことはお解り頂けたでしょうか。
それでも「ドッグトレーナーになりたい!」という方のためにポイントを2点。
犬の本質を学び習得する。
当たり前の事ですが『犬の本質を理解する事』、これに尽きます。
詳細は割愛させて頂きますが、犬の状態を把握出来ない事には何をどうすれば分かりませんからね。
これは犬から学ぶことがとても大切です。
世にある書籍、ネット等で勉強出来ますが「机上の空論」にならぬ様、犬達から学ぶことが一番だと僕は考えます。
犬だって人と一緒で「十匹十色」です。その日の機嫌だって違いますからね。
トレーナーライセンス取得。
これも情報が溢れていますので詳細は割愛させて頂きますが、ジャパンケンネルクラブさんをはじめ、ヒューマンアカデミーさんの様な各団体の通信講座等も充実していますので、仕事にしたいならライセンス取得は必須です。
僕もボランティアトレーナーの時はライセンスを持っていませんでした。
プロになるために慌てて取得しました(笑)
ドッグトレーナーになるためのまとめ
「ドッグトレーナー」と呼ばれるようになるのは簡単です。
それこそ通信講座でもライセンスは取得できるからです。
しかし仕事になるかならないか、本物か偽物かはその人次第なのです。
僕が現場での実際に何度も経験した事をお話しすると、ある飼い主さんは、「トレーナーさんに来てもらっていたのだが、犬は何も変わらなかった。挙げ句の果てにこの子は社会化出来ない子で無理ですと言われた。そんなものでしょうトレーナーって。だからうちはもう要りません!」
と吐き捨てる様に言われた事が何回もあります。
実に寂しい事です。
ドッグトレーナーとは人社会の家庭教師的存在ではない事をご理解して頂きたいですね。
「優秀なトレーナーに任せたからこの子は大丈夫!」と勘違いされている飼い主さんが実に多いのです。
これは人社会の概念であって、犬には全く通用しないのです。
飼い主さんが改善されない限り、犬は改善しない事を飼い主さんに納得して頂く事が最優先なのです。
それを踏まえた上で、接し方やテクニックを学んで頂ける事が犬の幸せに繋がります。
飼い主さんにトレーナーの知識を伝授し愛犬のトレーナーになって貰えるのが僕の理想です。
どうしてもドッグトレーナーになりたいとお思いのあなた!
先ずご自分の愛犬をコントロール出来るようになってくださいよ~(笑)
ユーザーのコメント
50代以上 女性 匿名
遊びに来た友人の子の病気の発作行動で人間不信になり、私にも吠えかかるほどになりました。ご飯をあげる以外は近寄れず、散歩にも行かれない日が続きました。
諦めたらこの子は終わってしまうと思い、連日犬から何が嫌なのかを教えてもらい、一つ一つに「私たちは怖くないよ。」の気持ちを伝えました。1ヶ月位の時間を必要としましたが、今では認めてくれて以前と同じ様に仲良くしています。
20代 女性 なつ
50代以上 女性 匿名
女性 ゴン吉
確かに犬好きさんでも「ご機嫌取り」な人と「厳しく接する」人の2パターンいると思います。愛犬を甘やかしすぎる人はしつけもできていない人が多いように思います。
ドッグトレーナーになりたいならもちろんですが、犬を飼っているなら、犬にも認めてもらえるような振る舞いがとても大事だと思いました。
経験してみて思ったことですが、1頭だけ飼うよりも、多頭飼いの方が犬の扱いに慣れてくるので信頼度も高くなるような気がしています。犬は犬社会を他の子から学べるので、1頭リーダー(先住犬)がいれば、その犬に従って自分たちで順番を考えたり、ルールを学んでいけるようです。もちろん犬に任せっきりではなく飼い主さんのしつけも必要ですけどね。
女性 もふころ
リアクションが大きい人は向いていないとされていますが、褒める時はオーバーなくらいの方が喜ぶので、いいと思いますよ。
50代以上 女性 瀬戸内海
本当に犬達のことを思うことができる人なら、コミュニケーションが苦手でも、恐怖心があろうと不安になろうと感情的になることがあったとしても
トレーナーになれると思います。
不向きであろう方を強いて挙げるとしたら
犬に接する時はもちろんですが
人と接する時も
どんな相手に対してだろうと
お互いに初めて向き合った時
敬意を払うことができない方は
トレーナーには向いていないと思います。
もちろんトレーナーとしての威厳や穏やかさ、知識や経験も大切だと思います。
しかし知識や経験もあってしっかりトレーニングのできる方でも、犬好きの枠から一歩引いて見てみると、公共の場でとんでもない態度や行動を平然としてる方も多いですよ。
ご自分がトレーニングする犬のこと、ご家族のこと、周りの人、環境、多様な価値観、あらゆる考え方に柔軟な感覚で対応できる方が向いているのではないでしょうか。
犬はそこまで人間の威厳だの穏やかさだのなんて気にしてませんよ。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌い。
合わないものは合わない。
だって野生だもの。