アニマルセラピーの概要
アニマルセラピーとは、動物とのふれあいにより心身の機能を高め、クオリティーオブライフの維持・向上を目指す療法の一種。
欧米での歴史は古く、18世紀のイギリスで既に試みられていた記録があります。
2つの種類があるアニマルセラピー
このアニマルセラピーという言葉自体は日本の造語で、正確には動物介在療法と動物介在活動の2つを総称しています。
動物介在療法(Animal Assisted Therapy=AAT)
医学的治療を目的とする補助療法として医者や看護士、ソーシャルワーカーなどの医療者、作業・心理・言語療法士などが、動物ボランティアと協力して行う。
動物介在活動(Animal Assisted Activity=AAA)
特別な治療効果を目標にはせず、病院や施設などの入所者とペット動物が触れ合う活動。教育、ふれあい的な意味合いが強い。
日本は主にAAAが中心
AATが既に一般的な療法として普及している欧米に対し、日本の場合は、日本動物病院福祉協会や日本アニマルセラピー協会、その他ボランティア団体などがAAAを中心とした活動を行っています。
アニマルセラピーの効果が期待できる場面
人の心と体の健康を高める
以前から、犬と暮らす人のほうがストレスが少ないとか長生きするなどと言われてきましたが、犬を1頭迎えただけでガンコなお父さんが優しくなった、家族の会話が増えた、初対面の人ともすぐに親しくなれたなど、犬を飼った人の多くが実際に経験したことがあるかと思います。
2013年にはイギリスで「犬と暮らす高血圧の飼い主の血圧が低下した」という研究結果が報告されており、最近では、犬と接するとオキシトシンという、ストレスを軽減する俗称“幸せホルモン”が分泌されることも広く知られるようになりました。
荒れた心を穏やかにし、寂しさから引きこもる人の心を開き、心の傷を癒し、生きる希望を引き出して体の問題を改善する・・・・。犬達から人が受ける恩恵ははかりしれません。
アニマルセラピーは、そうした犬の持つ“癒しの力”を積極的に利用するセラピーなのです。
様々な施設へのふれあい訪問活動
- 高齢者介護施設
- 病院
- 様々な養護学校など
- 小学校
日本では主にふれあい活動がメインになりますが、上記のような施設を訪れ、お年寄りとの触れ合いや、子ども達へ、犬との接し方をはじめ命の大切さを伝えたり、病床やリハビリ中の人々を励ます、などの活動が行われています。
人の心を開く犬達
欧米では、受刑者や問題児童に保護犬のトレーニングを行わせた結果、所内での暴力が減り再犯率が低下、社会復帰が容易になったなどの報告があります。
日本における取り組みとしては、島根あさひ社会復帰促進センターにおいて受刑者が盲導犬候補のパピーを育成するという初の試みが2009年から始まり、2013年には第一号の盲導犬が誕生したニュースが報じられました。
愛知県の児童施設では、治療を必要とする被虐対児童に対するアニマルセラピー(犬)を導入しており、2014年には八街において少年院での犬を通じた矯正教育プログラムがスタート。
また、聖路加国際病院では2003年に初めて小児病棟にアニマルセラピーを取り入れセラピードッグを迎え入れており、少しずつアニマルセラピーを導入する動きが始まっているようです。
アニマルセラピーに向いている犬種
レトリーバーや、ボーダーコリーなど、人と共同で作業する能力が高い犬種、または犬に慣れていない子どもやお年寄りにも安心感を与える、小さくて愛らしいチワワのような小型犬が向いているとも言われていますが、実際の現場ではミニチュアダックス、シェパード、プードル、MIX犬など様々な犬種が活躍しています。
アニマルセラピーの場合は、盲導犬のような訓練は求められず、個々の性格により向き不向きが決まるようです。
- ワクチンなど健康上の条件を満たしている
- 人が好きで他の犬とも友好的
- 「おすわり」「まて」などの基本的しつけができている
- 人に触られても嫌がらない
- 見慣れないもの、音にも怖がらない
- 吠えない咬まない
などの条件にかなえば、どのようなワンちゃんでもなれる可能性があります。
活動団体によっては適性テストを設けているところもあります。
さいごに
その他様々な海外の動き
海外では、難読症や吃音証など人前での音読にストレスを感じる子どもを対象に、特別な訓練を受けたセラピードッグが読書のサポートをする活動や、ユニークなものとしては、学生達の試験や勉強ストレスを犬達が癒す“Paws to de-Stress”なるブログラムを導入する大学もあるそうです。
調べれば調べるほど、海外では犬によるアニマルセラピーが盛んで、“ふれあいによる癒し”から“治療”に至るまで、様々な現場で活用され大きな成果を上げていることが見えてきて、あらためて「犬」という動物の素晴らしさ、可能性に心を動かされました。と同時に、日本が大きく遅れをとっている理由は何なのか、という疑問がわいてきました。
日本で大きく普及しない理由は?
この10年余で、日本でも犬をコンパニオンアニマル(伴侶動物)とする認識が広まりはしたものの、街へ出れば犬が出入りできる場所はまだまだ限られ、飼い主側の全体的なマナー水準も低いと一般的には評価されており、衛生面や事故への懸念を払拭しきれない背景があるようです。
もし、自分が長期治療で入院したとき、愛犬が会いにきてくれたなら・・・(アメリカで実際に行われています)、犬を飼えない環境でも、毎日のようにセラピードッグ達と触れ合うことができたなら・・・。
そのようなことが日本でも可能になる日がくるかどうか・・・・犬の飼い主ひとりひとりの肩にかかっていると言えるかもしれませんね。
ユーザーのコメント
20代 女性 こなつ
犬を飼うと自然とお散歩で外に出ることが増えて、犬と一緒に出かけれるカフェに一緒に出かけたりするようになって、脱引きこもり!!!!!です。犬に本当に支えられました。
セラピー犬に向き不向きって、個人的に犬種はあまり関係ない気がします。わんちゃんの性格もありますし…。人に害を与えなければ動物に癒されること間違いなしです!
30代 女性 TIKI
今年、年齢的にきつくなってきたので引退しましたが、今まで沢山のお年寄りと触れ合って、本当にいい経験が出来ました。「この年だとワンちゃんが飼えなくてね~。触れるだけで嬉しいよ~。」とか、「昔可愛い犬を飼ってて、この子を見ると思い出しちゃうわ・・・」と涙ながらに撫ぜてくれたり、こちらがジ~ンときてしまう事が多々ありました。
愛犬はただ一緒にいるだけで、特別な事はしていませんが、アニマルセラピーとは人を癒すとても素晴らしいものだと思いました。
20代 女性 コエリ
私が悲しい時、愛犬はそっと涙を舐め、励まそうとしてくれます。逆に嬉しい時は、一緒にたくさん遊び癒しをくれます。
犬を飼う事により、人間の視野は広がると感じています。
また、その犬達により心が救われている人がたくさんいるのも事実です。
アニマルセラピーは素晴らしいお仕事だと思います。人とペットがずーと幸せでいれますように。
30代 女性 れーちゃん
50代以上 女性 Irisalice
ただ、犬が飼える集合住宅さえ少ない日本で、病院に犬を連れて行くことが認められるのはいつになるやら!? 犬と暮らす文化の土壌が、特に欧米とは違うとつくづく感じます。
40代 女性 デコポン
30代 女性 ユウコ
ペロペロされたりワンちゃんの温かさを感じるのが良いのでしょうか?もしかしたら、あのモフモフがぬいぐるみを抱っこしてる時に感じる安心感に近いのかもしれませんね♪
動物の力は人間の心までも癒してくれるなんて不思議な感覚です。
女性 ポムポム
もし、自分がたった一人になってしまったとき、飼っているワンコでなくても犬にふれあえたらと願うと思います。アニマルセラピーがもっともっと広まることを期待しています。
女性 mocmoc
小型犬は自分が守ってあげたい存在になると思いますし、大型犬は自分を守ってくれる包容力があると思います。
祖父は動物が好きだったけれど自宅で飼うことはできない人でした。段々と外に出るのも億劫になっていた頃、私が愛犬を連れて行くと嬉しそうに頬を緩ませ、愛犬を隣に置いて一緒に外を見たり、中庭に出て軽く遊んであげたりしていました。いつもは走り回る愛犬も祖父に合わせてゆっくりと動いていた姿を思い出します。もちろんしつけがちゃんとされていることが前提ですが、犬は人に合わせられる動物です。
犬とのふれあいはとてもいい刺激になると思います。もちろんプラスの面ばかりではないですが、ご飯やお風呂、お散歩など犬に頼られる場面が多いほど、自分から動くきっかけになり、愛犬は自分が守ってあげなくてはならない存在だと感じることができると思います。必要とされるのは嬉しいことです。
病は気からといいます。犬とのふれあいで心の曇りが晴れていけば、不調も少しずつ改善されていくと思います。
40代 女性 トマト
駅近くの広場で募金活動されていた団体の方が連れていたのは大きなスタンダードプードルとボルゾイでした。
二匹とも優しい目をしていてとっても大人しい女の子でした
盲導犬もそうなのですが、セラピー犬も女の子が多いそうで、優しくて大人しい女の子の方が、遊び好きで、やんちゃ坊主な男の子に比べると適しているそうです。
いま世界中で注目されている動物介在療法であるアニマルセラピーの効果は医療や福祉、教育現場などで、活躍しているそうです。
そういったいろいろな現場に貸し出されセラピストさんたちと一緒に出向き癒しの場を提供する取り組みをされているアニマルセラピーの協会もあるそうです
愛犬を亡くしてペットロスに苦しんでいる方にもカウンセリングを含めた活動を行っているところもあるそうです。
女性 蓮
20代 女性 くまのすけ
人のことが大好きで触れるのが好きなわんちゃんからしたら、すごく楽しいお仕事なのかもしれません。
アニマルセラピーの話はよく聞きますが、最近では病院でのアニマルセラピーも行われているところもあるようです。
わんちゃんと出会うまでは治療にも消極的だった女の子が、わんちゃんのおかげでその子の「生きたい!リハビリ頑張りたい!」という気持ちが高まって徐々に笑顔をみせるようになり、見事に辛い病気を乗り越える事が出来たという素敵な出来事も聞いたことがあります。
わんちゃんには目に見えない素晴らしい力を感じますね。
小さい子から大きい子まで幅広く活躍できるアニマルセラピー活動。私も次にわんちゃんを飼ったら一緒に参加して、もっと多くの人にわんちゃんのもつ素敵な力を感じて欲しいです。
20代 女性 めろんそーだ
私自身も愛犬から癒しを貰っています。飼い始めてから生活リズムもかわりましたし、自分の子供のようならものなので本当なら可愛くて可愛くて仕方ないです。怒る時も大変に思う時もありますが、人の気持ちに敏感で誰より私の味方でいてくれる。そんな愛犬が大好きです。
アニマルセラピーでは、様々な犬種が活躍していますね。日本と海外では規模や活動内容に違いがありますが、近年では日本でもアニマルセラピーが広まってきている気がします。
以前テレビでアニマルセラピーで活躍するわんちゃんの条件が紹介されていました。犬種は関係ないようで・吠えない・噛まない・大きな音でも興奮しない・人や犬が好き。などなど比較的穏やかで落ち着いたわんちゃんが向いているように感じました。
ただひとつ悲しくなったのは、老人ホームなどでテラピー犬と触れ合う際に中には周りの方に気付かれないようにコソッと犬をつねる、嫌なことをするなどする人もいるそうです。ありえないですが。
もしアロマテラピーの活動に参加する機会などがあれば、そういった事にも目を配る事は大切だなぁ時も思いました。
書かれているように日本では今だに法律でペットは物という扱いですし、ペット不可の場所が多いですよね。公共機関にも制限などが厳しかったりと中々理解されるのは難しいですね。
動物と人との暮らしがもっと密に広がり、アロマテラピーなどで一人でも救われる人が増えればいいなぁと思いました。
女性 むすび
いますが、いつもうちの愛犬を見ると一緒に遊んでくれるのです。犬が大好きで昔は
ずっと犬と生活をしていたようですが、やはり高齢になり犬を飼うことが難しいとの
ことです。肌で犬の毛質を感じたり、動いているものを触ったりすることはこちらも
エネルギーがもらえて健康になると思いました。癒しの効果ですね。