犬の変な座り方の理由①股関節形成不全
犬が座ったときに足が横に流れるような、いわゆる“横座り”をしている場合や、お尻をべったりと床につけてひざを大きく開くような座り方をしている場合には、股関節形成不全の影響が考えられます。
股関節形成不全は股関節が変形してしまう疾患で、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ジャーマン・シェパード、ニューファンドランド、バーニーズ・マウンテンドッグなどの体重の重い大型犬に多発しています。
遺伝性が強く生後半年程度から症状が現れ始め、生後1年~2年頃の成長期に顕著な症状を見せる傾向にあります。股関節形成不全では横座りの他、腰を大きく揺らしながら歩くモンローウォークや、左右の後ろ足を同時に上げるうさぎ跳びのような走り方、歩いている最中に頻繁に座り込むなどの症状も見られます。
また、股関節形成不全では関節の緩みが生じているためバランスが悪くなり、関節炎を起こして痛みを感じやすく、進行すると常に亜脱臼状態になってしまうこともあります。
犬の変な座り方の理由②膝蓋骨脱臼
「パテラ」とも呼ばれる膝蓋骨脱臼は、股関節形成不全と同様に遺伝性が高い疾患でトイプードルやチワワ、ポメラニアンなどの小型犬に多く見られます。とはいえ、大型犬種でも膝蓋骨脱臼は起こることがあり、遺伝性や先天性だけでなく後天的な要因で引き起こされることもあるので注意が必要です。
膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨=ひざのお皿と呼ばれる部分の骨がずれてしまうもので、内側にずれる内方脱臼と外側にずれる外方脱臼に分かれます。一般的に内方脱臼は小型犬に多く、外方脱臼は大型犬に多い傾向にあり大型犬の外方脱臼には股関節形成不全が影響していることも少なくありません。
その症状はグレード1~4までの4段階で分類され、数字が大きくなるほど重篤な症状となります。初期段階では無症状であったり筋力で自然に脱臼を直してしまったりしますが、グレード2以上では外科手術が検討され、重度の場合は早急な手術が必要とされます。
犬の変な座り方の理由③骨折
人間の場合は考えられないかもしれませんが、犬は何らかの事故によって骨折してしまってもその痛みを強く訴えないことがあります。元々犬は痛みに強い傾向にあり、本能から痛みを感じてもそれを隠すようにおとなしくしていることが多いのです。
そのため、座り方や歩き方がおかしいと思っていたら骨折していた、ということも。座り方がいつもと違ったり、座ることを嫌がったりするようなときは全身を注意深くチェックしてみましょう。触られることを嫌がる場所や腫れ・熱のある部位があれば骨折などのトラブルが起きている可能性があります。
犬の変な座り方の理由④お尻や尻尾のトラブル
体を横に傾けるようにして座ったり、座ってもすぐに立ち上がったり、おっかなびっくりといった様子でゆっくりと腰を下ろすようなときは肛門や尻尾などお尻の周辺に異常が起きている可能性があります。肛門に傷や炎症があったり膿が溜まっていたりする場合や、しっぽが垂れたまま上げたがらなくなるコールドテール症候群など尻尾のトラブルで座ると痛みを感じてしまい変な座り方になることがあるので、座り方に違和感がある場合はそれらの可能性も考えてみましょう。
まとめ
犬の座り方が変だと感じた場合、股関節やひざにトラブルを抱えていることが少なくありません。股関節形成不全や膝蓋骨脱臼など遺伝的要因が大きい疾患でも、発育段階で適切な体重管理や環境整備を行うことで発症を防いだり症状を軽くしたりすることは可能です。
反対に、それらの遺伝的要素を持っている場合に肥満になったり、滑りやすい環境で生活をしたりすると骨や関節に過度の負担がかかり、発達に悪影響を及ぼしてしまうのです。
股関節形成不全や膝蓋骨脱臼などになりやすい犬種はもちろん、どのような犬であっても特に発育過程での体重管理などには十分に配慮して、少しでも健康を守ってあげられるようにしましょう。
座り方が変だと感じた場合は、何らかの疾患や異常が隠れている可能性があることを考え全身のチェックを行い、犬の様子や状態に応じて動物病院で相談するようにしてください。
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20代 男性 匿名