犬が怖がっている時の仕草①尻尾を下げる、体を低くする
犬が人に対して怖がっている時に最も多く見られるのが尻尾を下げる仕草です。
お尻を下げて尻尾を丸め足の間に巻き込む姿は、犬が怖いと感じている時の典型的な姿勢です。垂れている尻尾は、不安や自信のなさの現れで体の重心を後ろに下げているような姿勢「へっぴり腰」になっている状態です。
犬は、尻尾を下げたり足の間に丸め込み「自分のにおい=情報」を隠すことで不安や恐怖から身を守ろうとしている行動とと考えられています。他の犬のお尻のにおいは嗅いでも、自分のにおいを嗅がれるのを嫌がるのは、相手に警戒心を持っているからでしょう。
犬がこのような様子を見せている時は、むやみに近づかないようにしましょう。その場からゆっくりと離れるようにするか、その場から動かずに犬から近づいてくるのを待つようにしましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬が尻尾を下げて怖がっている仕草を見せている時に、撫でて安心させようとするのはNGです。犬に慣れている人ほど、安心させてあげようと優しく撫でてしまう傾向があります。
安心させようとする優しさはとてもありがたいことですが、怖がっている犬にはさらなる恐怖を与えてしまう可能性があるのです。優しさは気持ちだけに留め、犬から近づいてくれるのを静かに待つことが大切です。
犬が怖がっている時の仕草②目線を合わせない
犬が怖がっている時に、こちらに目線を合わせないのも仕草のひとつです。犬は、警戒心を持っていたり怖いと感じている相手に対して、目を合わせようとしません。
犬が目線を合わせるのは、信頼している相手とのアイコンタクトか、もしくは恐怖を感じて喧嘩やトラブルを避けるために視線をそらしたり下を向くことがあります。また、不安を感じながらも少し興味がある時は、地面のにおいを嗅ぎながらウロウロしたり、弧を描くように遠回りしながら近づいて来たりすることも。これらの仕草は「あなたへの敵意はありません」という意思表示だと考えられています。
犬がこれらの仕草を見せる時には、犬が安心して距離を縮めることができるように優しく声をかけたり、静かに待っていてあげましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
人間が怖いと感じた相手に対して目線を逸らすように、犬も恐怖や警戒心を持つ相手とは目を合わせたくないと感じています。
犬が警戒から安心へと気持ちが切り替われば、自然とこちらに目線を向けてくれるようになるでしょう。時間はかかりますが焦らずにこちらを向いてくれるまで待つことが大切ですよ。
犬が怖がっている時の仕草③吠える・唸る
犬が強い恐怖心を抱いている時は、唸る・吠える・歯を剥き出す・噛みつくなどの攻撃行動を見せることもあります。突然このような行動を取ることはなく、先述したようなこれ以上近づかないでというサインを出したのに近づかれた場合などに、このような攻撃行動に転じることがあるのです。
犬が攻撃行動を見せるのは、「これ以上近づかないで」「触らないで」という警告の意味を持ちます。特に激しい攻撃性を見せる犬は、過去に人から暴力を受けたなどのトラウマを抱えていたり、人と接触を持ったことのない犬に多い傾向があります。
人に対して強い恐怖心や警戒心を持っている犬に対しては、決して安易に近づかないようにしましょう。犬は、攻撃する前に最大限の警告を出しているので、その気持ちを無視してはいけません。
「近づかない、何もしない、だから怖がらなくていいよ」ということを伝えるために犬と目を合わせないように顔や体をわかりやすく横に向け、ゆっくりとその場を離れて距離を取ってあげるようにしてください。トラウマを抱えている犬と距離を縮めるためには、長い時間を必要とします。
まとめ
犬が人を怖がっている時には、尻尾を丸めて体を低くしたり、目線を合わせないように地面のにおいを嗅いだりする仕草が見られます。
怖がっている犬に強引に近づくことはNGですが、犬が怖がりながらも人に対して興味を示しているようであれば、その場から動かずに犬の方から近づいてくれるまで静かに待ってあげましょう。
また、強い恐怖心や警戒心を持っている犬は、吠える・唸る・噛むなどの攻撃行動で人を近づけないようにすることもあります。あまりにも強い恐怖心を持っている場合は、不用意に近づくと本気で噛まれてしまうこともありますし、「警告が伝わらなかった」と犬は感じてより人を嫌いになってしまいます。このような場合は、犬の攻撃行動がおさまる距離まで離れて落ち着かせることが大切です。
虐待などのトラウマを抱えている子や、人との接触がほとんどなかった子などを家族に迎えたのなら、信頼関係を築くのは簡単なことではありませんが、訓練士やドッグトレーナーなど専門家に相談することも選択肢として、人は怖くないことを理解してもらえるよう、諦めずに関係性を築いていきましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬が唸る、噛むなどの行動を取る時は、強い恐怖や大きなストレスによって追い詰められた状況です。人間に対しての不信感が強いため、信頼してもらうまでには1年、2年といった長い時間が必要となることも少なくありません。
無理はせずに専門家に相談しながら少しずつ人は怖くないことを教えてあげましょう。焦らず諦めずに愛情を持って接していけば、必ず信頼関係を築くことができますよ。