構ってほしいの?犬が『邪魔』をしてくるときの心理
1.退屈
犬と一緒に暮らすと、意外に睡眠時間が長いことに驚きます。子犬で一日平均18時間程度、成犬で12~15時間、シニアになると一日の大半は寝て過ごします。起きている時間は散歩や食事をします。ということは、一日のうち成犬が起きているのは9時間ほどということです。
その間、部屋で特に何もやることがなければ犬も退屈を感じます。犬の知能は3~4歳くらいの子供と同じということを考えると、元気いっぱいの幼稚園ぐらいの子供が「退屈だから遊んで~!」とお母さんにまとわりついてくるのと同じことだと言えるかもしれません。
監修ドッグトレーナーによる補足
室内飼いの場合に退屈しのぎの行動が多く見られます。犬自身が退屈を感じてしてまうと、解消するために飼い主さんの邪魔をします。
仕事や用事が済んだ後や休憩中など、まとまった時間を作って愛犬の相手をしてあげましょう。
2.期待と興奮
車の運転中、運転席周辺をせわしなくうろうろしたり、大きな声で鳴いたり顔を舐めたりしと、犬が運転の邪魔をすることがあります。
そんなときは、「楽しいところへ連れてってもらえる!」「どこに行くんだろう?」という期待と興奮が混ざった心理状態になっていると考えられます。
3.好奇心
飼い主さんがパソコンなど、机の上で作業をしているときに邪魔をするのは「何をしているの?」という好奇心からです。
大好きな飼い主さんが自分に一切注意を払わず、何かに没頭している姿を見て「何か面白いことをしているの?」と興味を持ちます。何か楽しいことがあるのなら、自分も参加させてほしい…という感情からの行動で、愛犬にしてみれば飼い主さんの邪魔をしているという自覚は全くありません。
4.寂しい
根っからポジティブな性格の犬なら、飼い主さんが何かに没頭していて自分に構ってくれなければ、その作業に好奇心を抱きます。
けれども、少し甘えん坊で繊細な性格の犬なら「放っておかれた…」と寂しくなってしまうことがあるでしょう。「こっちを見て、話しかけてよ」というアピールのために、飼い主さんの邪魔をすると考えられます。
5.空腹
飼い主さんが仕事や家事に忙殺されている間に、愛犬の食事の時間が過ぎていたり、単純に「おやつが欲しい」とおねだりしたりするとき、執拗に飼い主さんの仕事の邪魔をしてくることもあります。
犬に邪魔されて困ること4つ
たたんだ洗濯物の上で寝転ぶ、転がりまわる
たたんだ洗濯物を地面を掘るような仕草で散らかすことがありませんか?あるいは、せっかくきれいに洗った洗濯物の上に我が物顔で乗っていたり、洗濯したてのシーツの上で寝転ぶなどの「家事の邪魔」をすることがあります。
取り込んだ洗濯物に飼い主さん家族のニオイがうっすらと残っていて、さらにフワフワと柔らかいし、取りこんだばかりなら太陽の熱でほんのりと暖かいなど、犬が大好きな要素が詰まっている状態でしょう。
人間でも、干したての布団に洗い立てのシーツがかけてある上に寝転と、心地よくてうっとりしますよね。犬はさらに「大好きな人のニオイ」まで感じるのですから、洗濯物の上で遊んだり寝転んだりしたくなるのは無理もないことかもしれません。
パソコンなどを触っていたら前足で邪魔をする
私たち飼い主は、犬や猫の前足を「おてて」とうっかり口に出してしまうことがあります。パソコンなどを触っているときに、腕を前足で引っ掛けられたりすると、「こら、おててが邪魔!」と愛犬を叱ったりすることがあるでしょう。
作業の時間が遅くなるだけならまた良いかもしれませんが、あまりにも激しく邪魔をされると、ディスプレイに傷がついてしまったり、パソコン本体が机から落下して破損したりする恐れもあります。
車の運転の邪魔になるほど興奮して暴れる
言うまでもなく運転中に暴れられたら、交通事故を起こす要因になるので非常に危険です。
食事の準備中に邪魔をする
シンクの前で飛び跳ねたり、飼い主さんの足元をうろうろして作業の邪魔をしたりすると、飼い主さんが転倒して怪我をしたり、熱い油やお湯などで犬も飼い主さんも火傷する危険があります。
監修ドッグトレーナーによる補足
これら4つに共通するのは「人が何かを触った」ということ。犬は人の行動を観察しながら気を引こうと考えています。
飼い主が触っている何かから、自分の方に気を引きたいという気持ちが邪魔をする行動に繋がっているのでしょうね。
こんな『邪魔』のされ方は危険!すぐに対処すべき『お邪魔行動』
『邪魔』を制止しようとしたら本気で怒る
飼い主さんの仕事や家事の邪魔になるだけでなく怪我などの危険があるときには、毅然とした態度で「ダメ!」と愛犬の行動を制止しなければいけません。
もしも、その際に犬が鼻にシワを寄せ低く唸り、本気で牙を剥いて抵抗してくるのであれば非常に深刻な問題です。犬が感情のおもむくままに行動した際に、制御できない状態では様々なトラブルになりかねないからです。
車の運転の妨げになるような行動
自分たちだけでなく、他人をも巻き込み人の命を奪うことになりかねない危険な行為です。興奮した犬が悪いのではなく、興奮している犬の行動を制御できない飼い主に原因があります。
台所など火や刃物を使っているときの飛びつき
好奇心にしろ、飼い主さんに構ってほしいという要求にしろ、台所には危険なものがたくさんあります。
吠えてアピールする
前足で飼い主さんの腕を引っ張ったり、膝の上に乗ったりして動けないようにするだけでなく、飼い主さんの意識を自分に向かせるまで吠えてアピールするのは、犬の強烈な自己主張です。
「うるさいから仕方なく相手をする」や「吠えたので叱る」という対処法では、おそらく改善するのは難しいでしょう。
愛犬に家事や仕事の邪魔をされない方法4つ
ひたすら無視する
「どんなに邪魔をしても絶対に構ってもらえない…」とあきらめるまでひたすら無視し、眼中にないかのように愛犬の相手にしないようにします。
毅然と叱る
ダラダラと文句を言うのではなく、それこそ昔の雷親父が雷をドカーン!と落とすように、毅然と「ダメ!まて!」と指示を出し、愛犬の動きを制御します。
一定時間おりこうに待つことができたら、ご褒美を与えて褒めます。そして、作業が終わったらほんの数分でも構わないので、全身全霊で愛犬の相手をします。「ムチ」と「アメ」を上手に使い、メリハリのあるしつけをした方が犬も何が「ノー」で何が「グッド」なのかを理解しやすいはずです。
車の運転中のルールを決める
車の中では、どんなに興奮しても運転席付近には入れないようなルールを決めましょう。犬用のシートベルトを使ったり、車中ではキャリーバッグやケージに入れるなど安全に走行できるようにしましょう。
一人遊びができるおもちゃを与える
飼い主さんに構ってもらえなくても、一人で遊べるようなおもちゃを与えましょう。いわゆる「知育おもちゃ」で丈夫で長持ちするものや、おやつを中に入れてそれを取り出せるまで没頭できるものなどがオススメです。
まとめ
飼い主さんの邪魔をするのは、とにかく愛犬は飼い主さんが大好きだからです。意地悪や悪意ではなく、ただひたすら飼い主さんのことが気になって、ずっと自分に注目していてほしい…という、いじらしい気持ちの表れだと考えると、ついつい、許してしまいたくなります。
けれども、どんなに深い絆で結ばれていても、いざと言うときにしっかりと愛犬の行動を制御できないければ、他人に迷惑をかけたり、愛犬を危険な目に合わせてしまうかもしれません。
飼い主さん自身が「今、邪魔されなくないなあ」と思うのであれば、そのときに毅然と愛犬の「お邪魔行動」を制御できるような関係を築くことがとても大切です。
そして、なぜ愛犬が飼い主さんの邪魔をしていたのかを察し、そのときの愛犬の要求はあとでしっかり満たしてあげましょう。
そうすることで「今は構ってくれないけど、お仕事が終わったら絶対に遊んでくれる」と愛犬は飼い主さんのことをより深く信頼し、家事や仕事の邪魔をすることも少なくなってくるはずです。
監修ドッグトレーナーによる補足
「困った時だけ」しつけをしても成功率は高くありません。
日頃から「マテ・オスワリ・フセ・オイデ」など基本のコマンドのしつけをしっかりしましょう。2秒待てたら次は5秒にチャレンジ!と重ねていくことでいざというときにも伝わります。
基本のコマンドは、犬が人間社会において多くの人に愛されながら暮らすためだけでなく、愛犬の安全を守るためにも必要なしつけです。覚えるまでの時間に多少の差はありますが、正しく練習を積み重ねることで、どんな犬種でもいくつになっても必ず覚えてくれますよ。