柴犬がなつかない原因
柴犬はなつかない、狂暴、すぐキレる、頭が悪い...なんて言われることがあることをご存知でしょうか。柴犬は確かに警戒心や自立心が強い犬種ですが、これらの悪いイメージはまったくの誤解です。
柴犬に対する見方や接し方をほんの少し変えてあげることで、関係性を改善することができます。まずは、柴犬がなつかない原因について見ていきましょう。
信頼関係が構築できていない
柴犬は、飼い主さんが自分を守ってくれる、信頼できる相手だと思えば、尊敬して忠実な態度を示してくれます。
しかし、信頼関係がきちんと構築できていなければ、言うことをきかないことがあったり、反抗したり、心からなつかないこともあります。
また、信頼関係は1度築けば一生続くというものではありません。ちょっとした出来事で、信頼関係がなくなってしまうこともあります。
愛犬が安心できない、迷ってしまうといった行動を飼い主さんが取れば、せっかく築いた信頼関係が振出しに戻ってしまいます。
コミュニケーション不足
学校、仕事、用事などで家を空ける時間が多く、あまりかまってあげられない、ということもあるでしょう。
しかし柴犬は、少ない時間であっても自分に集中して愛情をたっぷり注いでくれる人に、なつかないということはありません。
スキンシップ不足やコミュニケーション不足によって、十分な信頼を得られていないことが考えられます。
柴犬はクールな態度なので、かまってほしくないのかな?なんて勘違いしてほっておくと、ますますコミュニケーション不足につながってしまいます。
飼い主の気分で接している
柴犬はとても独立心が強い犬種です。冷静な判断力を持っていて、興味がなさそうな態度でも、飼い主さんが本当に自分のことを大切に思ってくれているかを見ています。
飼い主さんの気分で接し方を変えていると、飼い主さんに対して壁を作ってしまうことがあります。
柴犬は冷静沈着でクールな態度をとることも多いですが、その態度とは裏腹に飼い主さんの感情や行動に敏感です。飼い主さんの気分で振り回されてしまうと、不信感を抱いてしまっても不思議ではありませんね。
過度な愛情を注ぎすぎている
柴犬によっては、過度な愛情をうっとうしいと感じることもあります。これは、その犬の性格によって異なるため、一概にすべての柴犬が過度な愛情表現を苦手とするわけではありませんが、本来柴犬は自分だけの時間を大切にする性質を持っている犬種です。
離れようとしているのに抱きしめて引き止める、寝ているときに可愛いからと撫でる、しつこくかまいすぎる、といったことは柴犬にとって嫌だと感じる行為です。嫌なことをする人になつくはずもなく、距離を置かれてしまうのですね。
叱り方を間違えている
何かイタズラをした後に叱る、必要以上に叱る、いつまでも叱り続ける、感情的になって大声で叱る、体罰を与える、といった叱り方をしていませんか?
柴犬はとても賢い犬種ですが、2~3秒前に行動した短期記憶は記憶として定着させることはできません。
これは柴犬に限らず、どんな犬種でも実証されています。犬は感情で物事を記憶するため、イタズラや悪いことをしたその瞬間に間髪いれずに叱れば理解することができますが、数秒後に叱っても犬は何で叱られているか理解できず、飼い主さんが理由もなく叱る=怖い人と認識してしまいます。
社会化不足
柴犬がなつかないのは性格と思われてしまいがちですが、子犬の頃の社会化不足がなつかない原因となっていることも。特に日本犬である柴犬の人に対する社会化は、他の犬種よりも重点を置く必要があります。
柴犬は成長してからも社会化は続けることが可能ですが、警戒心が強くなってくるので慎重に行わなければいけません。
柴犬の性格の特徴
柴犬がなつかない原因で考えられることは様々ありますが、誤解されやすい柴犬の性格や習性を理解してあげることが、接し方や信頼関係の構築に重要なポイントとなってきます。柴犬の性格の特徴を知って、今後の関係に役立ててくださいね。
繊細な性格
柴犬は強そうに見えるだけでなく、攻撃的な行動を起こすこともあり、わがままで頑固な性格と思われがちです。
しかし、柴犬はとてもデリケートな心の持ち主で、その繊細な性格から恐怖心や不安感を強く感じてしまいます。そのため、攻撃的に出ることもあり、狂暴、キレやすいと思われてしまうのです。
忠実で忍耐強い
実は柴犬は、とても忠実で忍耐強いことが一番の特徴です。信頼できると認めたら、飼い主さんの指示をきちんと守る忠実さがあり、じっと我慢するといった忍耐強さもあります。
世界中で柴犬が人気なのは、ツンデレな態度が魅力なだけではなく、この忠実さや忍耐強さが他の犬種より群を抜いているから。誤解されやすい柴犬ですが、パートナーにするには理想の存在なのです。
人懐っこく甘えん坊
愛犬がなつかないと悩んでいる飼い主さんは、柴犬の性格が人懐っこく甘えん坊ということに驚きを隠せないかもしれません。
人懐っこい柴犬を見ると、「あの子とうちの子は性格が違うから...」なんて思っていませんか?もちろん、個体差によって人懐っこさの度合いや甘えん坊の度合いは異なります。
でも、基本的に柴犬は自分が認めた飼い主さんに対して絶対の愛情を持っています。他の人になつかないことはあっても、飼い主さんの前では甘えん坊。
シャイな性格で上手に甘えたいことを表せなかったり、独立心から飼い主さんに媚びることはありませんが、飼い主さんが大好きなのです。
愛想をふりまかない
柴犬がなつかないと言われるのは、愛想をふりまかないからかもしれません。もともと柴犬は猟犬でしたが、警戒心の強さや愛想をふりまかないことから番犬としても適しています。
誰にでも愛想の良いフレンドリーな柴犬もいますが、基本的には知らない人にはもちろん、飼い主さんであっても愛想をふりまくといったことはしません。
集中力がない
柴犬は古来から猟犬として人間と共に生活してきました。猟犬に集中して人間の指示をきくといった性質は求められていなかったため、集中力が長続きしません。
長時間のトレーニングや遊びには飽きてしまうため、しつけやトレーニングを行う際は2分程度が限界とされています。
学習能力がある
柴犬は集中力はありませんが、とても賢い犬種です。一度覚えたことは忘れない犬種、とも言われるほど、学習能力が非常に高いことで知られています。
ただ、賢いがゆえに自分で考えてしまう傾向があり、理解できなければ従わない、といった一面が「頭が悪い」と誤解されてしまうようです。
柴犬はオオカミのDNAにもっとも近い犬種であることが証明されていますが、オオカミも賢すぎるため自分で判断して考える傾向があります。理解させなければ覚えてくれない、そのDNAが柴犬にも引き継がれているのかもしれませんね。
触られることが苦手
柴犬によっては、触られることが苦手なことも。スキンシップを好む柴犬もいますが、飼い主さんにちょっとあごを乗せるだけで満足な柴犬もいます。
しつこく撫でられたり、爪切りや歯磨き、耳掃除などの束縛されるケアを苦手とする柴犬は多く、時には怒り出すことも。
変化が苦手
柴犬は警戒心が強い犬種です。どんな犬種であっても警戒心はありますが、好奇心のほうが勝ることも多く、環境や物事の変化にはストレスを感じてもそれなりに対応できます。
しかし、柴犬は好奇心よりも警戒心のほうが勝るため、新しいフードやおやつ、おもちゃ、知らない人や犬などをなかなか受け入れることができません。慣れない環境におかれると、普段できていることもできなくなってしまうこともあるのです。
柴犬と仲良くなるための接し方
見た目や態度とは裏腹に、とてもデリケートな心を持つ柴犬は、一般的な洋犬とは異なる性質が多々あります。洋犬と同じ接し方をしても、柴犬はなつかないということをまず理解しておきましょう。そして、柴犬には柴犬にあった接し方で接してあげると、距離がグッと縮まりますよ!
行動をルーティン化する
変化が苦手な柴犬は、いつも通りのことが好きです。時間まで決める必要はありませんが、1日の流れを固定してあげることで安心します。
お散歩に行って、足を拭くばしょはココで、家に入って...と、行動をルーティン化することを意識してあげましょう。
爪切りや歯磨き、耳掃除といった柴犬が苦手とするケアも、いつもと同じようなタイミングや状況で行うことで、愛犬がパニックになる状況を防げます。
爪切りや歯磨きは1日1本でもいいのです。デリケートな性質なので、少しの変化でも慌ててしまうことを覚えておいてあげましょう。
しつけは焦らずじっくり行う
柴犬の学習能力は高いですが、集中力が続きません。しつけを行う際は、焦らずじっくりと時間をかけて行うことが大切です。
きちんと理解できるように丁寧に教えてあげることや、気が散ってきたな、集中してないな、と感じたらその場はいったん引き下がりましょう。
変化は時間をかけて
警戒心の強い柴犬にとって、環境や物事の変化は対応できずにパニックになってしまいます。新しいフードやおやつ、おもちゃを試したいと思っても、いきなり変えてはなかなか受け入れてくれません。
おもちゃは慣れてくれるまで目のつくところに置いておいたり、新しいおやつは毎日のルーティンの中に組み込んだりと、時間をかけて慣れさせる必要があります。
新しいフードはいつものフードに10%だけ混ぜることから始め、20%、30%と徐々に増やしていくといいでしょう。増やした分、いつものフードを減らすことも忘れないでくださいね。
褒めるときは声掛けだけでなくご褒美とセットにする
他の犬種よりも理解力に優れている柴犬は、笑顔や言葉で褒められていることがわかります。もちろん、感情を読み取ることもできるため、ちゃんと気持ちを込めなければいけません。
笑顔で褒め言葉を伝えるだけでなく、大好きなおやつを与えたり、一緒に遊んであげることでご褒美感はアップします。
柴犬にとって何よりのご褒美は、飼い主さんと遊ぶこと。人でも犬でも、褒められるのは気分のいいものです。そこにご褒美がつけば、ますます嬉しいと感じますね。
柴犬と良い関係を築くためにも、褒めるときはとことん褒めてあげることが大切です。
撫でるのは性格を見て判断する
スキンシップやご褒美の一環で、愛犬を撫でるというのは柴犬には通用しないこともあります。触られることが苦手な柴犬を撫でるのは、不快感を与えてしまうことにもなりかねません。
撫でられることが好きな柴犬であれば何も問題はありませんが、その子の性格や態度を見て、撫でても嫌がらないか判断してあげましょう。
思い込みを捨てる
犬は○○だから...という思い込みは捨てましょう。
例えば、柴犬はボール遊びが好きだから、柴犬は触られることが苦手だから、犬はこうされると喜ぶからといった、一般的な犬に対する情報が、愛犬にすべて当てはまるわけではありません。人間にも個性があるように、その犬その犬で性格も違えば好みも違います。
情報や知識は知っていれば役に立つこともあり、知らないよりも知っていたほうが断然いいですが、愛犬としっかり向き合って、どんなことをしたら喜んでくれるか、何をされれば嫌がるか、何が好きで何が苦手かなど、思い込みを捨てて接してあげることが良い関係性を築くことにもつながります。
まとめ:柴犬を理解することで愛犬との距離を縮めよう!
今回は、柴犬がなつかないと言われていることについて、性格や習性からの誤解であることをご紹介しました。
日本でははるか昔から柴犬などの日本犬と共に生活していましたが、猟犬や番犬の意味合いが強く、犬は外で飼うもの、といった考えが主流でした。
侵入者を追い払う、吠えて飼い主さんに知らせるといった時代を長く過ごしてきた日本犬は、その歴史や背景から、警戒心やテリトリー意識が強く、飼い主さん以外に心を開かない、という生まれ持った気質が備わっているのです。
それに対して、多くの洋犬が愛玩犬として作り出されたため、日本犬である柴犬とはまったく異なる気質を持っています。洋犬で代表的なのは、飼い主さんに喜んでもらうことが嬉しいと感じること、ではないでしょうか。
柴犬などの日本犬は独立心が強く自分で考えてこうどうするため、喜んでもらうために何かをする、といったことはあまりないでしょう。
このように、同じ犬であっても、洋犬と日本犬では大きな違いがあるのですね。日本犬でもそれぞれ違いはあるため、柴犬の性格や習性を理解した上で、愛犬にあった接し方をみつけ、今まで以上に良い関係を築いていきましょう。