柴犬は小型犬?中型犬?大きさの基準が曖昧な理由について

柴犬は小型犬?中型犬?大きさの基準が曖昧な理由について

日本国内だけでなく、いまや海外でも人気犬種となった柴犬。ではこの柴犬の分類、果たして小型犬?それとも中型犬?曖昧になりがちな柴犬の「大きさの分類」について詳しく解説します。

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記事の監修

ダルメシアンの犬種向上のため、2001年に「スペイン・ダルメシアン・クラブ」を創立。以降、事務局長として2020年までクラブ運営に携わり、「ブリティッシュ・ダルメシアン・クラブ」協力の下、クラブ大会を企画・開催。クラブ・ブリーダーのダルメシアン聴力検査義務化を実現。また、ダルメシアンの遠足会なども企画し、時に20頭を超えるダルメシアンと野山で遊ぶ。現在、日本におけるダルメシアンの正しい普及と犬種向上に取り組む。

そもそも柴犬は「小型犬」だった

左向き柴犬

柴犬は現在、大きさの分類上では「小型犬」とされているのをご存知でしょうか?

ですが、小型犬というとチワワやポメラニアン、ミニチュアダックスフンドなどの犬種を思い浮かべて、ずいぶんサイズ感が違うのでは...と違和感を覚える方も少なくないはず。

というのも、柴犬は公的に「小型犬」と定められているわけではない(※1)のですが、日本犬種6種(※2)のうち、柴犬がもっともサイズの小さな犬だったため「小型犬」とされることが多く、いまでもその名残が残っているというのが一番の理由だといわれています。

ですが、様々な犬種がいる現代の日本では、柴犬を「中型犬」として分類される場面も多く、その曖昧さ故にちょっと困ったことも起きているのです。

※1:日本国内の犬種管理を行っているジャパンケネルクラブでは、犬種によるサイズ規定を行っていません。
※2:日本犬種6種とは、秋田犬、甲斐犬、柴犬、紀州犬、四国犬、北海道犬 を指します。

ブリーダー
鈴木桂子

日本犬保存会の規定では、柴犬のオスは体高39.5㎝(38~41㎝の間)、体重は9~11kg位。メスは体高36.5㎝(35~38㎝の間)、体重は7~9kg位、と規定されています。日本犬はオス、メスの違いを明確に規定するのが特徴です。

現在、体重による区分けが一番わかりやすく用いられており、小型犬が10㎏未満、中型犬が25㎏未満、大型犬が25㎏以上という規定が一般的です。

これからすれば柴犬は小型犬サイズに入りそうですが、オスで大きめの子だと10㎏以上になり、中型犬サイズになりますね。

トリミングサロン、ペットホテルでは「中型犬」扱い?

あれ?柴犬

一般的にトリミングサロンはペットホテルでは、犬種とサイズによって料金が定められています。これは犬は種類により毛量やサイズなどに大きな差があり、そのため必要な手間やお世話の仕方・時間が大きく変わってくるからです。

犬種により料金の規定がされている場合は問題ありませんが、なかには「小型犬」「中型犬」「大型犬」という分類で料金設定されている場合もあり、こういった場合に柴犬のサイズに飼い主と店舗側で認識の違いが生じてしまい、後々トラブルになるケースもあります。

こうししたトラブルを避けるためにも、犬種による料金設定がされておらず、値段に不安がある場合には予め確認しておくことが大切です。

ドッグランやドッグカフェでも大きさの分類は異なる

トリミングサロンやペットホテルのみならず、犬と一緒に入店できるお店などでは犬のサイズに関する認識について疑問に思われることがある方も多いのではないでしょうか。

例えば「小型犬のみ入店OK」と書いてあるドッグカフェ、「小型犬用」「中~大型犬用」と書いてあるドッグランなど、犬種や実際の体重による明確な規定がない場合には困ってしまう場合もあるかと思います。

こういった場合もトリミングサロンなどと同様に、何かあってからでは遅い場合もありますので、事前にお店の人や施設の管理者などにきちんと聞いてから利用するようにしましょう。

「豆柴」ってよく聞くけど本当は実在しない!?

成長しても小さな体躯で人気の柴犬、豆柴。実はこの「豆柴」という犬種は、厳密には実在しない犬種なのをご存知でしょうか?

プードルの種類としてトイプードルなどがあったり、またダックスフンドの種類としてミニチュアダックスフンドが存在するように、犬種によってはサイズによって呼称が変わる犬種はありますが、柴犬については実際は「柴犬」のみとなっているのです。

したがって豆柴とは、柴犬本来のサイズからは逸脱し、標準よりも小さいサイズの柴犬のことを大まかに指す呼び名であり、そこに明確な規定があるわけではありません。

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鈴木桂子

サイズによって料金が変わるシステムの場合、本来規定を設ける側が明確にしておくべきことなので、利用する前に料金確認をしておくのが確実です。曖昧な点はしっかり確認しましょう。聞かれる側も聞かれてはじめて問題点に気づくはずです。

「豆柴・ミニ柴」は厳密に言って、犬種として確定され認可されたものではありません。マンションなどで飼いやすいように、小型の個体同士を掛け合わせ矮小化しようとしている過程の「柴犬」であり、犬種の健全性という点から日本犬の血統を護る保存会からは、将来も公認されることはないでしょう。

現代の日本では「中型犬」に分類されることが多い

黒柴

日本犬以外にも様々な洋犬が存在する現代の日本では、柴犬よりもさらに小さなサイズの犬種がたくさんいます。

そもそも小型犬に分類されていた柴犬ですが、こういった柴犬よりも小さな犬種が増えたため、現在では柴犬は「中型犬」として分類されることが多くなりました。

現在も論争中?ペット可マンションの場合の区分

ペット可の賃貸マンション良くある表記の例として「小型犬のみ可」という表記、ご覧になった事有りませんか?ちまたの噂やネットの情報を見ると、やはり基準はまちまちのようです。

飼える規格が決まっているケース

1つのケースの場合、「小型犬のみ可(~8kgまで、~10kgまで)」という表記でした。この場合は、体重で制限されているため、たとえ小型の柴犬でも、今後の成長を予測できないため、飼う事は難しいと考えるべきでしょう。

規格があいまいなケース

逆に、マンションに問い合わせて、すんなり飼えたケースもあります。ですが、室内で飼うため柴犬の大量の抜け毛の処理や問題行動への対処が大変との事です。掃除やしつけをしっかりとすれば文句は言われないそうなので、トラブルにならないように暮らす事が大切なようですね。

なかには、体格の規定がまったくない無いマンションもあるようです。(※3)どうしてもマンションやアパートで柴犬を飼いたい場合は、近場はもちろんですが、住んでいる地域以外の場所でも、ペット可住居を検索してみると良いかもしれませんね。

※3:単純に記載ミスやなんらかの理由がある場合考えられるので、必ず管理者に確認しましょう

このように区分は様々で、規格が書いてある場合でも「柴犬ぐらいのサイズならOK!」という場合が多くあるようです。「柴犬は区分が難しいから…」と諦めず、まずは直接問い合わせて確認してみるのが良いみたいですね。

柴犬に合うグッズのサイズは小型犬用?中型犬用?

にっこり柴犬

分類では小型犬。でも、実際に企画されているグッズのサイズは分類通りではありません。グッズのサイズで、大型犬用、中型犬、小型犬用のように記載されている物も多いかと思いますが、実際にはどのサイズ選べばいいのでしょうか?

小型犬 ~ 中型犬のグッズを試そう!

柴犬はもちろん、どの犬種も成長によって体のサイズが変わります。そのため規格では「中型犬」とされている犬も、子供ならそのサイズは「小型犬」ですので、グッズも小型犬の物を選びます。

ですが柴犬の場合は、その交配によって大きくサイズが変わる場合があります。例えば、豆柴と呼ばれる種類の柴犬の場合、見たことがある方はご存じだと思いますが、グッズ等のサイズは全て「小型犬用」で揃えて問題無いでしょう。

その他にも、成長の具合や親の遺伝によって、サイズの小さい柴犬が生まれる場合があります。成長しても、中型犬まで育たず、「小型犬のグッズがピッタリ!」なんて事も多いようですね。

最近では、ネットの通販が便利になり、「あまり実店舗で犬のグッズを買わない」という人もいるかと思います。ですが、まずはサイズの確認がしやすい実店舗などで、実際にグッズを手にとって必ずご家庭の柴犬に合ったサイズの首輪やお洋服を買ってあげて下さい。

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鈴木桂子

グッズを探す場合は、子犬から飼っていれば成長過程に合わせればいいので、小型犬・中型犬といった、既定サイズにとらわれることなく、愛犬のサイズを選びましょう。

一番大事なのは首輪ですが、同じものをリピートして買うのでない限り、初めてのものは実店舗で首回りなど確認する方が無難です。

またレインコートなどの場合は、愛犬の体高と胴回りを測っておくことをお勧めします。あまりフィットしすぎたものよりゆったりサイズの方が、動きやすいので良いでしょう。

まとめ

比較する犬種によってサイズの分類や人々の認識が変わるのは興味深い話ではありますが、小型犬の場合・大型犬の場合など、犬のサイズによってお店の利用の可・不可が決まったり、サービスの料金が変わってくる場合には困ってしまいますね。

曖昧な分類や安易な思い込みはトラブルの元!事前にたずねることは決して恥ずかしいことではありません。後々のトラブルを未然に防ぎ、同時に犬も飼い主も気持ちよく施設やサービスを利用するためにも、少しでも不安がある時にはきちんと聞いて利用するようにしましょう。

ブリーダー
鈴木桂子

ドッグランやドッグカフェなど、サービスを提供する側でサイズの規定を設けている場合は、それを明確に示すのがサービスの基本です。疑問があれば指摘して、利用者が納得できるよう示してもらえるよう、働きかけましょう。

ルールを一方的に押し付けられるのではなく、改善すべき点は利用者側から要求してして、お互いが納得のいくルールになるのが理想ですね。

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