犬が背中を向けて座るのは信頼している証拠!
犬は警戒している相手に対して背中を向けることはなかなかしません。
なぜならば、信頼していないため背中を向けるということは何をされるかわからないので、警戒している相手のことは必ず目で場所や仕草を確認して常に対処できるようにするためです。
また、犬は信頼している人には背中を向けて寝たり何か他のことをしたりすることがありますが、その際も後ろから驚かしたり、ちょっかいを出したりするようなことをするのはやめたほうが良いです。
いくら慣れてきたとはいえ、そのようなことをしてしまったことが原因で犬が警戒し始めたり、信用できなくなってしまったりする恐れがあるからです。
犬が背中を向ける理由
直接的に「信頼」を表わしているわけではなく、別の理由から背中を向けるという行動をすることがあります。信頼とは言えないまでも背を向けているだけあって、相手のことを警戒はしていません。
ここからは信頼以外にどんな理由があるのか考察しました。もともと集団生活で上下関係がある犬ならではの理由や心情についてまとめました。
相手を落ち着かせようとしている
愛犬が悪さをした時、「どうしてこういうことをするの!?」「ダメでしょ!」と叱るという飼い主さんは多いです。何度も繰り返し悪さをされると、イライラしてしまうこともあるでしょう。
そんなとき、なぜか愛犬が飼い主に背中を向けることはありませんか?怒っている時に背中を向けられると「聞こえないふりでもしているの?」と、余計にイライラしてしまう人もいるかもしれません。
しかし、これは犬のカーミングシグナルの1つです。イライラしている人や敵意を持っている人に対して、気持ちを落ち着かせようとする時に見せるサインです。
つまり、この状況で飼い主が背を向けるということは、「そんなに怒らないで」と飼い主の心を落ち着かせようとする「降伏」に近い意味を持っています。
安心感を求めている
愛犬が隣にやってきて、わざわざ背中を向けるように座るという行動を目にすることはありませんか?「せっかくならばこちらを向いて座ったり休んだりすればいいのに」と思う人もいるでしょう。
しかしこの行為は、背を向けている相手に対して安心感を求めている時に見せる行動です。「あなたの隣に座って、安心して休みたいな」と思っているかもしれません。
また、外から物音が聞こえるなどちょっとした不安感を持っている時にも、隣にやってきて飼い主に背を向けるように座ることがあります。外を警戒し、弱点である背中を飼い主に預けることで万全の体制を整えているのです。
背中を撫でて欲しい、甘えている
リラックスした様子でちょっぴり背中を見せるように隣に寄り添ってくる行動は、その人に対して「撫でて」と甘えていることが多いです。
このような行動を見せるときは、まるで甘えるかのようにリラックスした表情を見せてきたり、寄りかかるように背中を預けてきたりと可愛らしい行動を見せる犬も多いです。
攻撃する意志がないことを伝えている
散歩中に他の犬や他の人と出会った時、なぜか背中を少し向けるような態度を見せることはありませんか?
犬が知らない人や親しくない人を相手にこのような行動をとる場合は、「こちらに敵意はありません」と友好的な関係を築こうという意思を見せています。
中には、相手の犬が警戒心を持って近づいてきていることに気付き、「こちらは攻撃しませんよ。安心してください」という気持ちを伝えようとする犬もいます。
社交的な犬やちょっぴり臆病な犬によく見られる行動で、決して「あなたに興味がありません」「コミュニケーションをとるつもりはありません」という冷たい態度を取っているわけではありません。
その他の犬が信頼する人にしか見せない仕草や行動
犬が背中を向ける以外にも、信頼していることを示す仕草や行動がいくつかあります。ここでは愛犬が信頼を示す代表的な8つのサインを紹介します。
愛犬との普段の生活でよく目にしていても、信頼のサインとは気づかず見逃しているものもいくつかあると思います。ぜひ参考にして、愛犬とのコミュニケーションを深めてください。
お腹を見せる
本来の犬は警戒心の強い動物です。急所となるお腹を見せるということは、いつでもその部位を狙われるということです。そのため、お腹を見せるという仕草をした場合はその人のことを信頼しているという証です。
犬からお腹を見せる仕草をしてきた場合はゆっくりと手を動かして、優しくお腹を撫でてあげてみてください。そうしたら犬もうれしそうで気持ちよさそうな表情をするはずです。
また、このようにお腹を撫でることが習慣化されてきたら、愛犬もお腹を撫でられるのが自分にとって良い行動であると認識して、日に何度も見せてきたり、もしかすると撫でてくれと自分から催促してきたりすることもあるかもしれません。
身体を隅々触られても嫌がらない
先ほどお腹は急所のため、信頼している人にしか見せないし触らせないと紹介しましたが、実はお腹だけではなく他の部位でも触ってほしくない所があります。
例えば指先や足先、鼻先などのあらゆる部位の先端部です。理由として、犬の身体のこのような先端部分はかなり敏感な場所のため触られたくないですし、たとえ信頼している飼い主さんでも触られると嫌がることもあります。
そのため、犬の身体を拭く際などにこのような先端部を拭いても嫌がらない場合は、たとえ我慢して拭かせていたとしても、信頼しているという気持ちの表れでもあるので、たくさん褒めてあげてくださいね。
おしりをくっつけてくる
犬の祖先はもともと集団生活をしていたため、基本的に群れで暮らしを共にしていました。群れの中で力の弱い子どもたちを外的から守らなければなりませんでした。
そのため、犬同士でおしりをくっつけて、四方八方に隙が生まれないようにして警戒してきました。こうしたことから、おしりをくっつけ合うという行動は信頼できる仲間だけということを表わしています。
人と暮らすようになっても昔の習性の名残から、飼い主さんへの信頼の証としておしりをくっつけてくるのです。
顔をなめてくる
犬が顔をなめてくるのは、信頼の証以外の何物でもありません。飼い主さんのことがとても好きで、愛情を最大限表現したいということでもあります。犬同士ではなめるということは、ごく普通のコミュニケーションです。
例えば、母親は子犬をなめて血行を良くしてあげたり、子犬は母親をなめて甘えたいという気持ちを伝えます。飼い主さんが顔をなめられるというのは母親にするのと同様に、飼い主さんに甘えていると考えられます。
手をなめられる場合も同様に甘えられていると思ってよいでしょう。ただし犬の唾液には雑菌がたくさん含まれているので、なめられたら石鹸で洗うようにしてください。
近くで一緒に寝る
人間でも犬でもどんな動物でも寝るというのは、最も無防備な状態です。そのため、そばで一緒に寝るというのは、相手のことを安心・信頼していると言えます。しかも犬は聴覚・嗅覚に優れ、警戒心が強い動物です。
そんな用心深い犬が飼い主の近くで一緒に寝るというのは、「ここは安全で誰からも襲われない」「もし襲われても飼い主さんが守ってくれる」といったように飼い主さんに全幅の信頼を寄せていると言えます。
また、飼い主さんのことが好きすぎて、そばから離れたくないという気持ちの表れでもあります。いずれにしても、近くで一緒に寝るというのは、信頼と愛情無くしてはできない行動なのです。
じっと見上げてくる
ふと気が付くと、愛犬からじっと見上げられたことはありませんか?これは単におやつやごはんのおねだりをしているというよりも、飼い主の視界に入ることで気にかけて欲しいという承認欲求の表れです。
承認欲求というのは、信頼している相手から受けたいものです。つまり、じっと見上げるというのは飼い主のことを信頼している行動とも言えます。
愛犬からじっと見上げられたら、視線を下げて声をかけるようにしてください。目を見て、なでてあげるととても喜んでくれますよ。
名前を呼ばれると嬉しそうにする
犬は自分の名前を認識しているというよりも、名前を呼ばれると飼い主さんから「何かが始まる合図」と理解しているようです。
そのため、名前を呼ばれて嬉しそうにするのは、「楽しいこと」が始まる合図だと思っています。このように名前を呼ばれる=楽しいことと認識できるようになるのは、飼い主さんと愛犬の間で信頼のおける時間が積み重ねてきた証です。
名前を呼ぶと嬉しそうにして尻尾を振って近づいてきたら、ちゃんと可愛がったり遊んであげるようにしてください。
ちなみに叱るときには、名前は呼ばないようにした方がよいでしょう。せっかく付けた名前なのに、呼ぶたびに愛犬が怖がるようになるのは飼い主さんにとっても悲しいことですからね。
移動したら後ろからついてくる
ご飯や、好物のおやつ、もしくはお気に入りのおもちゃを使い気を引いて動いて犬が続いてついてきた場合は、それらを求めているという理由でついてきているのかもしれません。
ですが、何も使わずに移動しただけで犬が後をついてきたら信用している表れかもしれません。
犬の背中を見せる行動はしつけにも使える!
犬が自分自身や相手を落ち着かせるためにする行動をカーミングシグナルと言い、犬独自のコミュニケーション方法です。
苦手な犬に目を合わせず、敢えて背中を見せて「敵意がないこと」を示す行動はこのカーミングシグナルのひとつで、相手の犬に服従の意思を表わします。
背中を見せるというのは、単に争いを避けるだけではなく、友好的な関係に発展することを目的としています。この背中を見せるカーミングシグナルを愛犬へのしつけにも活用することができます。
使い方はとっても簡単です。愛犬に「敵意がない」「攻撃する意思がない」ことを示すために、飼い主さんが愛犬に背中を見せるのです。
すると、愛犬はカーミングシグナルと察して、飼い主さんのことを「この人は仲良くなりたいんだ」とわかろうとしてくれます。愛犬の警戒心が強くなかなか仲良くなってくれないときは、愛犬に背中を見せるカーミングシグナルを利用するとよいでしょう。
まとめ
犬の性格によってこの他にも信頼している人にだけ見せる仕草や行動があります。ぜひ、まだ知らない犬の新しい発見を知ることによってより一層ワンちゃんとの暮らしが楽しくなると思います。
犬は群れによる集団生活をしていただけあって、コミュニケーション上手です。人と共同生活をするようになっても、それは変わりません。むしろ、自分の意思を飼い主さんに伝えようと貪欲なまでに行動で示してきます。
犬を飼うことの喜びのひとつは、こうした言葉が通じない関係にもかかわらず、お互いに気持ちを通じ合わせることができるということです。
愛犬からの小さなサインに気づいて、気持ちが通じ合えるようなコミュニケーションができるといいですね。