飼い主にされて犬が嫌がること
ハグ・抱っこする
愛犬のことがかわいくてたまらないとき、ついハグをしたり抱き上げたりすることがあると思います。しかし、犬は意外とこれらを嫌がることが多いので注意が必要です。特に強い力で抱きしめられたり顔同士を近づけてキスされたりすることに拒否反応を示す犬が多いので、愛犬の反応をしっかりと見て、嫌がっている様子が見られたら控えるようにしてあげてください。
マズルや足先を触る
愛犬の顔を撫でることはよくあることだと思いますが、マズルや耳などは触られるのを嫌がる犬も少なくありません。また、足先も神経が多く集まっていて敏感な場所なので触られたり握られたりするのを嫌がる犬もいます。
驚かせる・からかう
愛犬とコミュニケーションを取りたくて、ついついからかうような遊び方をしたり驚かせて反応を楽しんだりする飼い主さんもいると思います。遊びとして愛犬も喜んでいるのであれば問題ありませんが、そのような行動に本気でストレスを感じてしまい、飼い主への信頼をなくす犬もいるのであまりやらないようにしてあげてください。
寝ているのを起こされる
犬は1日の多くの時間を寝ています。家で一緒に過ごしている時間もそのほとんどが寝ている、または横になって休んでいるということもあると思います。寝ているときに急にちょっかいを出されて起こされると犬はとても不快に感じますし、体を十分に休めることができないのでむやみに起こすことは控えましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
ハグや抱っこを嫌がると聞いて、驚く方もいるのではないでしょうか?確かに人に触られて喜ぶ犬が多いのは事実です。しかし、あなたの愛犬が必ずしもそうだとは限りません。
犬も人と同じパーソナルスペースを持っています。パーソナルスペースとは他者との物理的な距離感の許容度のことを指します。例えば電車に乗るとします。車内はガラガラです。あなたは席に座りました。見ず知らずの人が真隣に座ってきたらどんな気持ちになるでしょうか?あまりいい気持になりませんね。近さにプレッシャーを感じたりするでしょう。
犬も同じ感覚を持ち合わせています。ハグや抱っこで急激に距離感が縮まると嫌がるケースが確認されています。距離感を大切にしてあげことが大切だと言えるでしょう。
犬が嫌がる行動、無意識にしてない?
ハグやからかいなど、犬に直接する行為だけでなくても犬に不快な思いをさせてしまうことは多くあります。飼い主さんが大声を出したりイライラして物に八つ当たりしたりする行動を見ると、犬は自分に対しての行動でなくても緊張して不安を感じてしまうでしょう。
また、家族間で喧嘩が頻繁に起こったり、不穏な空気が漂っていたりすると、犬はそれを察知してしまうことがあります。そのような雰囲気を苦手とする犬も多く、飼い主さんの機嫌を取るような行動を取ったり息をひそめて気配を消すような行動を取ったりします。
また、留守番時間があまりにも長いことや、犬の目を見てコミュニケーションを取る時間がないほど慌ただしく過ごしている場合にも犬がストレスを感じます。そのような場合には拒否反応もわかりにくく、気が付いたときには過度なストレスで問題行動や身体的なトラブルにつながってしまっていることもあります。
監修ドッグトレーナーによる補足
感情は非常に高い伝染力を持っています。犬はその感情に影響を受けるのです。例えば町中で悲鳴や怒号、歓声が聞こえるとどうでしょうか?それらに影響を受けませんか?恐怖や怯えを感じたり、逆に喜びや心の踊るような興味を惹かれたりしませんか?
犬達も同じなのです。愛犬に直接感情を向けていなくとも敏感に受け取ってしまうのです。そのために状況を改善しようとし、機嫌をとるような行動や気配を消すような行動をしてしまうプロセスを辿ってしまいます。飼い主さんの影響力は非常に大きいウェイトを占めているんですね。ですから自分自身の感情のコントロールが必要になってきます。
嫌がる犬が見せる拒否反応3選
あくびをする、体を掻く
犬がストレスを感じているときや飼い主がしている行動に対してやめてほしいと感じているときなどに、あくびをしたり体を掻いたり体をぶるぶると震わせたりすることがあります。これらは『カーミングシグナル』という犬のボディランゲージの一種で、自分の気持ちや相手を落ち着かせるためにとる行動です。
叱られているときなどにあくびをする犬なども多く、飼い主さんは「怒られているのに全然聞いていない!!」とさらに怒りを増長させがちですが、実は十分に怒りを理解しており「もうやめて」と飼い主さんに伝えているのです。
顔を背ける、背中を向ける
犬が飼い主さんにされることに対する拒否反応としてわかりやすいのが、顔を背けて目を合わせないようにしたり、くるりと後ろを向いたりする行動です。苦手な相手や行動に対して目を背けたり背中を向けたりすることで、犬なりに拒否・拒絶の意思をあらわしています。
地面のにおいをかぐ
犬を呼んだり話しかけたりしたときに、地面のにおいをいつまでも嗅いでいたりゆっくり弧を描くように歩いてきたりする行動も犬の拒否反応のひとつです。呼ばれたり話しかけられたりした後に、歯磨きやシャンプーなど犬があまり好ましくないと感じていることがある場合によく見られる行動です。
監修ドッグトレーナーによる補足
カーミングシグナルは必ず覚えておきましょう!知っておくことで愛犬の誤解を解くことが出来るようになっていきます。上記に挙げられた3つは直接的に考えれば「怒られている状況をごまかそうとしている」と受け取りかねません。しかし現実は違うのです。ストレスの上限に達しているサインを送ってくれています。
人は進化をした生き物で感情が非常に豊かにあります。感情を大きく強く持っているので、感情が気分に強く影響を与えています。犬という生き物は感情を持っていますが人ほどは発達はしていません。
例えば人は10の感情を持てるとしましょう。怒る感情を相手に10伝える事が出来るのです。しかし犬は3しか受け取れないとしたらどうでしょうか?7は余分になってしまうのです。余分になってしまった分は犬にとってストレスとなり不要なのです。 犬達はそれを知らせるためにカーミングシグナルを出して人に伝えているんですね。
まとめ
愛犬へのかわいさ余ってしてしまう行動や、直接犬に向かってしている行動ではないことでも犬が拒否反応を示したりストレスを抱えてしまったりすることがあります。ハグや抱っこなど愛犬が好きでたまらないからこそしてしまうことについては、愛犬の反応をしっかりと見てあまり喜んでいない様子や拒否反応が見られたら、できるだけやめてあげるようにしましょう。
その代わり、愛犬が喜ぶ場所を撫でてあげるなど、お互いが心地よく感じられるスキンシップをとるようにするといいでしょう。
また、犬はとても繊細な動物なので家庭の中の雰囲気や飼い主さんの機嫌を敏感に感じ取ることがあります。犬に過度なストレスを与えてしまわないよう、安心して過ごせる空間づくりも意識してあげてくださいね。