1.野生の本能
ドライフードをひと粒ずつ咥えてボウルから離れた場所へ運んだり、ソファやテーブルの下などに運んでからフードを食べる犬がいます。
野生の犬は食べ物を巡って日夜競争をします。餌のために仲間と血肉の争いを避けようとする賢いオオカミは、捕獲した獲物を安全な場所へ保管する習性があります。
犬の多頭飼い、あるいは異種のペットがいるご家庭では、犬が自分の餌を守るために安全な場所へ運ぶ野生の本能が現れることがあります。ただし、単頭飼いでも見られることがあります。
対策
「これはボク(私)のご飯なの!」と餌を守っているため、粒をボウルに戻したり犬の体に触れようとすると威嚇して噛む恐れがあります。犬を怒らせないようにしばらく様子を伺いましょう。
愛犬が落ち着いたところで、床の上に散乱した粒を知育玩具に仕掛けるなどして、餌を報酬として与えてみるのも一つの方法です。
2.寂しいなぁ・・・飼い主さんと一緒に食べたい
愛犬がリビングに餌を運んだら、一人で食べる寂しさを感じているかもしれません。ペットの犬は基本的に社交的なので、餌を守る必要がないと感じた場合は「飼い主さんに会いたい」「一緒にご飯を食べたい」と思っているかもしれません。
人間と暮らす犬は、家族みんなで食事することを好みます。愛犬が飼い主さんの近くに餌を運ぶのは、そばで見守ってくれる相手だと信頼しているからです。
対策
- 家族の食事時間に合わせて犬に餌を与える
- フードボウルを飼い主さんの顔が見える場所へ移動する
3.一人で食べたい
多頭飼育で犬を飼っているなら、他の犬や人間に対して餌を奪われるのではないかと警戒している証拠です。野生の犬にとって食事中は一番危険なタイミング。いつ命を奪われるか分かりません。愛犬を家族に迎えて日が浅い時や、犬が飼い主を信頼していない可能性があります。
書籍『Good Owners、Great Dogs』の共著者、ドッグトレーナーのSarah Wilson氏によると、犬はストレスや不安を感じると、他の犬や家族からも離れたいと思うことがあるようです。個体によってはボウルごと口に咥えて静かで安全なキッチンの片隅に運ぶ犬もいるようです。
考え方
犬が餌をどこかの場所へ運ぶのは、そこが一番安心する場所だと感じているからです。警戒心の強い犬はクレートやケージの中で食べることも。犬が攻撃的になったり危害を加えない限り、性格の一部だと受け止めてあげましょう。
4.ボウルにドライフードが当たる音が気になる
金属製のフードボウルを使っている時に見られることがあります。ドライフードがステンレス製のボウルに当たる音が気になってイライラしているのかもしれません。
対策
音に敏感な犬は、甲高い音に関しては特に敏感に反応します。ステンレス製のボウルを使っている場合は、プラスティックや陶器のボウルに変えてみるのも一つの方法です。
5.温かい場所で食べたい
寒い季節だけ見られる場合は、ひんやりしたフローリングの上にボウルを置いているせいかもしれません。
エアコンが良く当たる場所や、床暖房のほんわかとした温もりが心地良いことを犬は良く知っています。犬は温かい場所を求めて餌を運びます。
対策
ボウルの下に小さなマットを敷くか、カーペットが敷いてあるエリア、または床暖房を入れている場所にボウルを移動しましょう。
6.お腹が空いていないから
同じフードを与えても、日によって食いつきが異なることがありますよね。完食する日がしばらく続いたと思うと、ある日突然フードを残したり、ボウルのそばに粒が散乱していることがあります。
「遊び食い」という可能性もあります。ボウルの中のフードを少しだけ食べて、完食せずにどこかに遊びに行ったり、餌を運んだりする遊び食いの一種かもしれません。
餌を食べることに関心がないか、空腹でないのかもしれません。ただし「お腹が空いたら後で食べよう」と考えているので、他の犬に食べられないようにどこかへ運ぶのです。
対策
ドライフードにふりかけをかけたり、飼い主さんの愛情がこもった手作りおかずをトッピングするなどして、食欲を湧かせる工夫をしてみましょう。1日1食に切り替えて様子を見るのも一つの方法です。
まとめ
わが家の先住犬はフードボウルを守るタイプで、後住犬は粒を運んで食べるタイプです。それぞれの性格の違いもあるかもしれません。音や匂いに敏感な犬は、餌を食べるタイミングや周囲の環境など、さまざまな要因が影響して餌の粒を運ぶことがあるようです。
愛犬を家族に迎えて日が浅いうちは、犬との信頼関係が築けるように食事の時間はそっと見守りましょう。行動が気になる場合は、愛犬が安心して食事ができるプライベートな場所を見つけるか、家族が見える場所で食事を与えることをおすすめします。