犬が目を見開く心理①期待・興奮
犬が目を見開いているときの心理のひとつに「期待や興奮」が挙げられます。大好きな人や犬が近づいてくるときやご飯や散歩の気配を感じて待っているときなどは、喜びの期待感でテンションが上がって目を見開くことがあります。ボール遊びやドッグスポーツなど体を動かすことが好きな犬が、そのスタートを待っているときなどにも、興奮状態になって目を見開いていることがあります。
こうしたプラスの感情で興奮状態になり、目を見開いているときは、口元が緩んでいたり口を開いてパッティング(ハアハアという速い呼吸)したりしていることが多く見られます。また、尻尾を腰から大きく振っていたり、小さく前足でジャンプしたりすることもあります。
犬が目を見開く心理②緊張・警戒・威嚇
犬は喜んで興奮しているときに目を見開きますが、それとは逆に不安感や警戒心が高まったときにも目を見開くことがあります。不安や緊張の場合は、顔がこわばったり引きつったりしていることが多く、体の筋肉も緊張していてあまり大きく動かない様子が見られます。
また、警戒心が強く相手やその場の様子から目を離せない場合などにも目を見開いて凝視するようなことがあります。耳を前向きにして尻尾を立て、目を見開きながらじっとしているときは、警戒心が高まっているときかもしれません。
また、対峙している相手に対して威嚇または攻撃性を示すときにも目を見開くことがあります。期待や喜びの興奮とは異なりますが、攻撃的になっているときにも興奮状態にあるため瞳孔が開いたような表情になることがあります。目を見開いて威嚇しているときは歯をむき出して鼻にしわを寄せ、低く唸ります。
逃げたくても逃げられない場合の消極的な威嚇の場合は、耳や腰が後ろに引き気味ですが、積極的な威嚇の場合は前のめりな姿勢になり、耳も尻尾もピンと高く立てています。
犬が目を見開く心理③飼い主の気を引きたい
2017年の電子ジャーナル『Scientific Reports』に掲載された研究によると、犬の表情の動きは人間が犬に注意を払っているときに活発になるということがわかりました。無意識による動きだけでなく、人の注意を引きコミュニケーションを図るために表情を動かしている可能性が高いと結論付けられたのです。その表情の変化のひとつとして、「眉を上げて目を見開く」という行動も見られたのです。
こうした犬の表情の変化は他の動物に対しては行われず、人間に対してのみ示されているということがわかっています。イギリス・ポーツマス大学の進化心理学の教授で、この研究の著者でもあるブリジット・ウォラー氏は、「犬は人間にペットとして飼われることで方向づけられ、より多くのコミュニケーションを取るために変化した」とまとめています。
まとめ
犬はボディランゲージや表情であらゆる感情表現を行います。目を見開くなどという表情の変化もそのひとつで、期待感による興奮や緊張感・警戒心のあらわれとも考えられています。
ただし、目を見開いているときの心理や感情は、目を見開くという表情の変化だけでなく耳や口元など他の部位や姿勢、尻尾の動きなども合わせて判断する必要があります。犬の感情をしっかりと読み取り、適切な対応をするためには、じっくりと犬の様子を観察することが大切です。
また、犬は人間とコミュニケーションをより多く取るために、目を見開くなど表情を動かすこともあるということがわかっています。そんな犬の気持ちを考えるととても愛らしい行動ですよね。