犬がウンチの後に後ろ足で蹴るときの心理

ウンチを隠したいわけではない？！

犬がウンチをした後で、後ろ足でザッザッと蹴り上げるような動作をすることがあります。この動作をずっと「ウンチを隠そうとしているのかな？」と思っていました。猫が自分のウンチを砂で隠そうとする習性のイメージが強かったため、てっきり犬も同じような理由なのかなと考えていました。しかし、

• 蹴る方向がバラバラ
• 土がウンチに全然かかってない
• アスファルトやフローリングでも行う

以上のような蹴り方であるということから、実はウンチを隠そうとしているのではないという考えの方が有力であることが分かりました。

排泄後の蹴り上げは「マーキング」

ウンチを隠しているわけではなかった

犬がウンチの後に後ろ足で蹴り上げるのは、実はウンチを隠そうとしているわけではなく「マーキング」の一種であるという考えがあります。隠そうとしているわりにはウンチに全然砂や土がかかっていなかったり、てんでバラバラな方向に蹴り上げたりするときもあることを考えると、マーキングであると考えた方が合点がいきます。

肉球のニオイをこすり付けていた！

犬の肉球のあたりには汗腺があります。ウンチをした後に後ろ足でザッザッと蹴り上げるのは、その場に肉球のニオイをこすりつけようとしているためであると考えられます。人間には嗅ぎ分けられないようなニオイでも、犬にとっては「ここで誰がウンチをしたのか」が分かるのです。

ニオイだけではなく目印としても

ニオイによるマーキングのほか、ウンチをした場所の土を蹴っておくことで「目印」にしているという理由もあります。後ろ足で勢いよく蹴り上げると、後ろ足の爪によって地面に跡を付けることができます。ニオイだけでなく、視覚的にも分かりやすくウンチをアピールしていたのです。

どうしてウンチをアピールするの？

犬の縄張り意識

犬は縄張り意識の強い動物です。野生時代の犬は群れを作って集団生活をしていたため「仲間」と「その他」の区別をする意識が強く、自分たちの行動範囲にはマーキングをして縄張りを主張する習性があると考えられています。

仲間を守って生きていくため

野生時代には狩りをして生きていかなければならず、もちろん狩りに失敗してごはんにありつけない日もありました。他の群れからごはんを横取りされないように、そして群れの中にいるメスや子犬を守るためにも「ここは自分たちのテリトリーだ」と強く主張する必要があったのです。
家庭犬となった現在の犬にもこの習性が残っているため、お散歩中にマーキングをしたり知らない人に吠えてしまったりするという行動が見られます。

ウンチは最高の名刺代わり

なぜ犬がウンチのニオイを隠すどころか大っぴらにアピールしようとするのかというと、犬にとってウンチやオシッコなどの排泄物のニオイは最高の名刺代わりとなるものだからです。犬は聴力も優れていますが、嗅覚が大変発達しています。犬にとって「ニオイの情報」は、目で見る世界よりも明確に物事を認識する重要なものなのです。おしりのニオイを嗅ぎ合うのが犬流の挨拶であるように、ウンチをして肉球のニオイまで付けておくという行動が強力な縄張りの主張になるのです。

メスよりもオスの方が縄張り意識が強い

男女平等化が進む現代社会ですが、犬の社会では群れのリーダーとなるのはオスです。そのため、メスよりもオスの方が縄張り意識が強い子が多くいます。特に去勢手術をしていないオスの方が本能的な欲求が強いため、縄張りを強く主張したがる子が多いです。そのため、ウンチ後の蹴り上げ行動もオスに多く見られます。

まとめ

犬がウンチをした後に後ろ足で蹴り上げる行動は、ウンチを隠したいわけではなく「ここはボクの縄張りだぞ！」とアピールするためであるという考えが有力です。ウンチをした後に後ろ足で蹴り上げることで、汗腺がある肉球のニオイをこすり付けると同時に爪の跡も残して視覚的にもアピールしようとするのです。隠すのとは真逆で、むしろアピールしているというところが驚きですね。

猫の場合は、自分の存在を隠すためにウンチを砂で隠すという習性があるため、犬の場合も同じような理由だと勘違いしやすい行動であると感じます。蹴り上げているときのわんちゃんがどこか誇らしげなのも納得ですね！