犬が穴掘りするのはなぜ?理由と行動の意味、対処方法について解説

犬が穴掘りするのはなぜ?理由と行動の意味、対処方法について解説

皆さんは愛犬が穴掘りするような行動を見たことがありますか。「フローリングだから掘れないのに…」なんて思うこともありますが、実は犬の穴掘りには意外な理由があるのです。

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犬が穴掘りをする理由

穴掘りする犬

今回は犬が穴掘りをする時に考えられる理由をご紹介していきます。穴掘りといっても、理由はさまざまです。状況や愛犬の様子、声をかけた時の反応などを見て、理由を考えてみましょう。

理由1:寝床を居心地が良い環境に整えている

犬用ベッドで眠るチワワ

ベッドやサークル、ケージの中で、穴を掘るような仕草をする犬は多いです。この行動は、野性時代の巣穴作りが今も習性として残っていることが理由です。

野生動物として暮らしていた頃の犬は、穴を掘って自分の寝床を作っていました。自分が寝やすい大きさ、暗さ、環境を考え、快適に体を休める環境を作る習性があったのです。

そのため、現在でも自分の寝床であるベッドやケージの中で穴を掘る仕草をし、自分にとって寝心地の良い環境を整える習性が本能的に備わっていると考えられます。

理由2:楽しいから穴を掘っている

砂浜で穴掘りする2匹

元々犬は、他の動物を狩ることで生活していました。そのため、穴を掘り、土の中にいる虫や動物を補食していたこともあったと考えられます。

現在では、ドッグフードやさまざまな犬用フードが販売され、美味しく食べられているため、他の動物を狩猟する必要はありません。しかし、当時の本能は未だに残っているため、時々遊びとして穴を掘る動作をすることがあります。

本来持つ本能的動作をすることで、「楽しい」と無我夢中になってしまい、ついつい長い時間穴を掘る動作を続けてしまう犬も珍しくありません。

理由3:リラックスしようとしている

寝床を居心地の良い環境に整えようとしているという話がありましたが、その理由と似ています。リラックスしたい、ゆっくりしたいと思った時に、自分が休みたい場所へ行き、穴を掘る動作を見せる犬もいるのです。

中には、その行動が1つのルーティンとなっている犬もいます。例えば、散歩から帰ってきた時やごはんを食べた後など、決まった時に穴を掘る動作を見せる場合は、「一息吐こう」「満足したぞ」という意味合いがある可能性が高いです。

理由4:ストレスを紛らわすために穴を掘る

丸まる犬

何かをかき消すように執拗に穴掘りの行動を繰り返す犬の場合、ストレスが溜まっている可能性があります。強い不安や不満、寂しさを忘れるために、穴掘りをすることで、そのストレスを発散させようとしているのです。

よく見られるシーンとしては、雨が続き散歩になかなか行けない日が続いた時や、飼い主さんがなかなかかまってくれない時などが挙げられます。

声をかけてもやめようとせず、無我夢中になって穴掘りを続けている場合は、強いストレスを感じている可能性があるので、何に対してストレスを感じているのか考えてみましょう。

理由5:認知症の影響で穴を掘ってしまう

シニア期に入ると、途端に行動がゆっくりになったり、今までできていたことができなくなったりしがちです。また、人間と同様に認知症になってしまう犬もいます。そんな認知症の行動の1つに穴掘りが挙げられます。

同じ行動をわけもわからず繰り返してしまう…当人も気付かずに行ってしまってるため、声をかけたり、飼い主が無理に止めたりしなければ、ずっと行っていることもあります。

明らかに穴掘りをし続けている、おかしいと違和感を覚えた場合は、認知症やその他の病気を疑うようにしてください。

犬の穴掘り行動の対策方法

綿まみれの犬

基本的に、穴掘り行動は犬の自然な行動であり、やめさせることはできません。

ですが、花壇を荒らす、ソファやクッションを破くなど、実際に被害が出ている場合は、犬にストレスを与えずに実害を回避する必要があります。

この対策で重要なのは、「やめさせる」ことではなく、「やめてもいい」という場を作ることです。

生活環境を見直す

犬やイヌ科の野生動物の祖先は、巣穴を寝床としていました。そのため、人間と一緒に暮らす犬も、自分たちの寝床や休憩所を快適にするために穴掘り行動していると考えられています。

しかし、実際には穴を掘れない場所に穴を掘ろうとしていることが多いため、寝床の居心地を思うように改善できず、いつまでも穴掘り行動を止めようとしないのではないかと考えられています。

このような場合は、寝床の固さやニオイを調整するなどして、愛犬が気に入って安心して使えるように配慮してあげましょう。

大切なものを隠せる場所を用意する

犬は、掘った穴にお気に入りのおもちゃや大切なおやつを隠して、後で楽しむ習性があります。この場合も、おもちゃやおやつを隠さない限り、いつまでも穴掘り行動を止められないと思われます。

お気に入りのタオルや毛布などを用意し、おもちゃなどを隠せるようにしてあげましょう。ただし、予想外のものまで隠していないか確認することが必要です。

指示でやめさせる

テリアやダックスフンドは、アナグマなどの小型獣の狩猟犬として種改良されてきました。地中の穴に逃げ込んだアナグマを追いかけ、巣穴から追い出す役割を担っています。

そのため、土の中から獲物や生き物(食べ物)の匂いを嗅ぐと、本能的に狩猟モードのスイッチが入り、穴掘り行動穴を始めることがあります。そしてそのまま穴を掘ること自体が楽しくなってしまい、なかなかやめられなくなることがあるようです。

このような場合は、「マテ」「オスワリ」などのコマンドを発して穴掘り動作から注意を反らしてあげましょう。一度、犬の気持ちを切り替えて遊んであげると、狩猟モードから遊びモードに切り替わります。

ストレスや常同障害の可能性も考える

犬が強いストレスを一定期間受けると、ストレスを解消するために穴掘り行動を繰り返すことがあります。

その状態がさらに進むと、「常同障害」と呼ばれる無意味な行動をいつまでも繰り返すような心の病気を発症することがあります。その結果、穴掘り行動をやめることができなくなってしまいます。

この場合は、犬自身が爪や指を痛めてしまうかもしれないということもあり、やめさせた方が良い状態です。

穴掘り行動が数十分以上続き、飼い主が声をかけても何も聞こえないかのように一点を見つめて一心不乱に掘り続ける場合は明らかに異常であると言えます。

すぐに動物病院で見てもらうことをおすすめします。その際、行動治療の専門医がいる病院だと安心です。

犬の穴掘り行動をやめさせるときの注意点

犬にとって穴掘り行動は本能のようなものであり、好きでやめられないものです。そのため穴掘り行動をやめさせる場合は、大きな声で感情的に怒ってはいけません。

ゆっくりとした口調で、あわてず冷静に「ダメ」と端的に伝えてください。急に感情的に怒られると、犬にとっては突然飼い主が豹変したように感じ、ストレスを感じてしまいます。

また、犬によっては褒められている、遊んでもらっていると勘違いすることもあります。冷静に穴掘り行動を注意されたとしても多少のストレスはたまるものです。

普段から十分に遊び、散歩にきちんと連れていくことを心がけてください。

まとめ

砂浜で穴掘りする犬

いかがでしたでしょうか。犬が穴掘りをする理由は、習性が大きく関係しています。しかし、その中でも寝床を求めていたり、ストレスを表していたりと細かい理由はさまざまです。

ストレスが溜まっているのであれば散歩やコミュニケーションを見直す必要があると思いますし、構ってもらうために掘っているのであれば別のアピール方法を教えた方がいいでしょう。

一生懸命ホリホリをしているときによく観察して「こんな気持ちかな?」と想像してみるのも楽しいです。退屈そうな場合は、遊びやスキンシップの時間を増やしてみてくださいね。

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