柴犬の子犬はいつからお風呂に入れる?
まず柴犬の子犬を家族として迎え入れたら、ワクチンなどの病気の予防やごはんの他に、日常のお手入れ方法についても考えていくことになります。
お家でできるケアの中でも大きな役割を果たすのが、ブラッシングやシャンプー、ドライング(乾燥)といった流れで行うお風呂です。
わんちゃんをお風呂に入れることで、
- 愛犬の皮膚や被毛を健康に保つ
- 一緒に暮らす人の生活環境を衛生的に管理する
といった効果が得られるため、お風呂に定期的に入ることはとても大切です。
柴犬の場合は短毛種のため、毛の長さはあまり気にしなくても大丈夫ですが、それでも皮脂汚れや日々の暮らしで付いてしまうほこりや泥などをつけたままにしないように、月1回程度の頻度でお風呂に入れてあげると効果的です。
子犬の場合、お家に迎え入れるのは早くても生後2ヶ月頃からになりますが、いつからお風呂に入れても良いのか悩む飼い主さんも多いでしょう。
結論を言えば、お家に来て生活環境や生活リズムに慣れ始め、2回目の混合ワクチンの接種が終わる頃の生後3ヶ月頃を目安にすることをおすすめします。
生後3ヶ月頃と言えば、お家での遊びやパピー教室への参加もし始め、心の成長期でもある社会化期真っ只中です。子犬にとってお風呂という新しい刺激を経験するのには良い時期であり、飼い主さんにとってもその子の性格を把握できる時期でもあるため、「どんなことに気をつけてシャンプーをしてあげるべきか」がよりわかりやすくなるでしょう。
ただし、警戒心が強く、水猟犬のような歴史を持たない柴犬たちは、お風呂が苦手な子も多いものです。そのため、お風呂嫌いにならないようにする工夫は必要で、「初めてのお風呂」が怖いものにならないよう、飼い主さんがあらかじめお風呂に入れるための手順を確認しておく必要もあります。
これから、洗い方の手順と、万が一すでにお風呂が嫌いな柴犬と暮らしているという飼い主さんに向けて、その対処法もご紹介します。
柴犬をお風呂に入れる際の正しい洗い方
まずは愛犬をお風呂にスムーズに入れてあげられるよう、その手順を確認してみましょう。
1.皮膚や体調ををチェック
お風呂に入れても大丈夫かどうか判断するには、
- 体の表面に傷や赤み、脱毛部分はないか
- 地肌に触れた時に熱っぽさはないか
- 元気や食欲のなさといったいつもと違う行動はないか
をチェックしておきましょう。
柴犬の毛はとても密に生えているので、かき分けて確認してみないと皮膚の異常に気づけないこともあります。また、傷や皮膚炎がある中でシャンプーをしてしまうと、時には化膿させたり炎症を悪化させることにつながります。体調が悪い場合でも、準備から乾燥までお風呂に入るとなると1時間はかかるため、より疲れさせてしまうことにもなってしまいます。
お風呂に入れる前には、ぜひ愛犬をよく見ておきましょう!
2.ブラッシングで抜け毛を除去
愛犬の体を洗う前には、まずは体の表面に残っている抜け毛の処理をしておきましょう。
柴犬の毛は短毛なのでもつれることはほぼありません。しかし、「ダブルコート」と呼ばれる
- 上毛(オーバーコート)
- 下毛(アンダーコート)
の二重構造になっているため、季節の寒暖差に合わせて保温の役割を持つ下毛がどんどんと抜ける換毛期があります。柴犬と暮らす家庭にとって、換毛期に抜ける毛の量は毎日の掃除が必要になるほどです。
抜け毛を体にたくさんつけたままシャンプーをしてしまうと、洗いながら抜け毛の処理も行わなければならないため、お風呂の時間がかなり長引いてしまいます。また、排水溝が毛で詰まってしまい、後から大変な掃除の労力が必要になることもあります。
あらかじめ下毛を中心にブラッシングを行い、お風呂の時間を短くして愛犬への負担を減らしておきましょう。
3.全身をお湯でよく濡らす
お風呂場にはシャンプーやタオル、スポンジなど、あらかじめ必要なものを準備しておきます。一旦体を濡らしてから「あれがない」「これがない…」とバタバタしてしまうと、水が好きというわけではない柴犬にとって、心地よくない時間・体が濡れて寒い時間が長くなってしまいます。
準備ができた段階で愛犬を洗い場まで誘導し、まずは「人が使うにはちょっと冷たいかな?」と感じるくらいのぬるま湯で、毛の根元からしっかりとシャワーを使って全身をよく濡らしましょう。こうすることで表面のほこりなどをある程度洗い流し、皮脂汚れを浮かしてシャンプー剤をなじみやすくしておくことができます。
普段人が使うような40℃ほどの温度は犬にとっては熱く、警戒心の強い柴犬にとって、体にふりかかる熱い湯温がお風呂に対する嫌悪感につながりかねません。また、柴犬に多いとされるアトピー性皮膚炎などの皮膚の症状を併せ持っている子の場合、熱いお湯が刺激になってかゆみが増す原因にもなります。
4.犬用シャンプーをよく泡立てて洗う
全身をしっかり濡らしたら、シャンプー剤の登場です。人と犬では皮膚のpHが異なるため、皮膚が荒れないように必ず犬用シャンプーを使用してください。
汚れを落とすためにはしっかりと泡を立てることが肝心です。体にシャンプー剤をかけながら泡を立てるよりも、先にスポンジなどで泡立てたものを活用するとよりきめ細かい泡がすぐにできて洗いやすくなります。
病院から処方された薬用シャンプーを使う場合には、皮膚の症状が出ている部分から洗い始め、薬用成分がしっかりとしみ込むようにマッサージをするつもりで優しく洗いましょう。薬用シャンプーの効果を得るためには約10分程度置く必要がありますが、患部から洗い始めておけばあっという間に10分は経ちます。
全身を洗い終われば、シャンプー剤が体に残らないようにしっかりとすすぎましょう。
特に、
- 脇の下
- お腹
- 股の間
- 指の間
には残りやすいので要注意です。
5.必要に応じて保湿コンディショナー
シャンプーが終われば必要に応じて、洗面器などの容器を使い、保湿・被毛のツヤのためのコンディショナー(リンス)をお湯で薄めて全身にかけて馴染ませましょう。
その後、シャンプー剤と同じくしっかりとすすいで体に残らないようにしておきます。乾燥する季節やフケが多いような時には、皮膚の健康管理のために追加してあげることをおすすめします。
6.生乾きにならないようしっかり乾燥
体を洗い終わったら、濡れた被毛をしっかりと乾かしてあげましょう。
柴犬のような毛が密に生えている犬種の場合、表面が乾いたように見えても下毛がしっとり濡れていることがよくあります。シャンプー後の生乾き状態は、皮膚の健康を害してしまったり、子犬や老犬の場合は体温低下につながります。
それを防ぐための乾燥行程ですが、大切なのはドライヤーを使う前にできるだけタオルで水分を取っておくことです。人の髪の毛でも試してもらえばわかりますが、濡れた毛をタオルドライせずドライヤーだけで乾かそうとしても、時間がかかってなかなか乾きません。
ドライヤーのような機械音は、柴犬だけでなく多くのわんちゃんが不快に感じたり恐怖を感じる音のため、できるだけ短い時間で済ませられるとベストです。また、乾燥時間のためにずっと拘束されることは、独立心が強く自分の時間も大切にする傾向の強い柴犬の場合、途中で嫌になってしまったり大きなストレスとなってしまうことがあります。
タオルドライをしっかりしつつ、ドライヤーを活用しましょう。ちなみにドライヤーは体から20~30㎝は離し、愛犬の体にとって熱くないかを飼い主さんの手を当てて確かめながら使ってください。風が当たっている部分の毛の根元を、手やブラシでしっかりと動かしながら乾かすと、下毛をより乾かしやすくなります。
そして、冷風と温風を交互に当てて、ドライヤーによる熱中症を予防するのもポイントです。冷風を当てるとまだ湿気が残っている部分が冷たくなってわかりやすいため、生乾きを防ぐための目安にもできます。
シャンプー剤のすすぎと同じく、脇の下や指の間など細かい部分に水分が残りがちなので、愛犬を乾かす時にはぜひチェックしてあげてくださいね。
もう少し細かい洗い方のポイントについては、以下の動画も参考にしてみてください。
柴犬がお風呂を嫌がるときの対処法は?
最初にお話した通り、番犬としても活躍してきた柴犬は警戒心が強い傾向があり、飼い主さんともベタベタと甘えるというよりは距離感を大事にすることが多い犬種です。そのため、「お風呂」という新しい刺激に対して他の犬種よりも敏感になりがちで、いったん嫌いになったものはその賢さからずっと記憶していることも多いものです。
そんな柴犬がお風呂嫌いになるきっかけとして、
- シャワーの音や感触が怖い
- 足先や顔周りなど敏感な部分を長時間無理やり触られる
- お湯が耳の中や口に入ってきて不快
といったことがあります。
こういった「お風呂って嫌!」という経験をした結果お風呂嫌いになる子は圧倒的に多いため、それを防いだり不快感を和らげる工夫をぜひしてあげましょう!
シャワーが怖い場合
わんちゃんたちにとって、細い水流が体を当たる感覚は馴染みがないものです。そんなシャワーが目の前からいきなり迫ってきたら、「一体これは何だ!?」とびっくりしてしまいます。神経質な子も多い柴犬であれば、パニックになってしまうこともあるかもしれません。
シャワーの感覚や音への不安を和らげてあげるためには、
- 最初は弱い水圧で優しく声かけをしながら体に当てる
- 体の後ろの方(後ろ足など)から始める
- シャワーヘッドは体に直に当てるように間近で持つ
といったポイントを意識しましょう。
シャワーの音や体に当たる刺激は、シャワーヘッドをぴったり当てることでかなり緩和されます。
もしもどうしてもシャワーが苦手という子の場合は、人のバスタブのように愛犬がすっぽり収まるくらいの洗い桶を用意して、お湯を中に溜めてつからせながらシャンプーをしてあげるのも良い方法です。人用のバスタブにあらかじめお湯を多めに溜めておけば、そこから洗面器などでお湯をすくって愛犬の洗い流しに使ったり、洗い桶の中のお湯を交換するのもシャワーを使わずに済んで簡単になります。
この方法をとることでシャワーの時間を極力減らすことができるため、柴犬のお風呂嫌いの改善につながることもありますよ。
敏感な場所を触られるのが嫌な場合
ベタベタと体を触られ続けることが好きではない子が多い柴犬では、足先や顔周りなどは特に触られるのが嫌な部分になりがちです。お風呂場では触られる時間が普段よりも圧倒的に増えることで、場合によっては飼い主さんに対して嫌がって怒ったり、暴れてしまうこともあるでしょう。
そんな時に「じっとして!」と飼い主さんから怒られたりすれば、触られることと相まって「お風呂」に対するイメージは最悪になってしまいます。
敏感な体の先の部分に触られることに愛犬を慣らすには、毎日の生活の中で少しずつ「足や耳を触られること=良いことが起こる」と関連付けて、良いイメージになるように準備してあげましょう。
たとえば、いつもののんびりとした時間におやつをあげて夢中になっている時に足先や口周りなど、愛犬が苦手な場所を触るようにします。そして、お風呂の時にはたとえ嫌がっても、過剰に叱ったり叩いたりといったことは避けてあげてください。
もしも、おいしいものがあれば気がまぎれるということであれば、シャンプーの時に1人が愛犬におやつをあげ、もう1人がその隙に苦手な場所をサッと洗うという2人体制での愛犬のお風呂もおすすめです。
顔周りを洗われるのが嫌いな場合
耳や目の周り、鼻の中などに水が入り、不快さを感じて嫌がっている子の場合は、顔周りを洗う時にシャワーではなく柔らかいスポンジを使ってあげましょう。顔周りにシャワーが当たるのが嫌な子も、スポンジであれば平気という子はたくさんいます。また、シャワーに比べ鼻や目に水が入ることも少ないというメリットもあります。
万が一耳に水が入ってしまった場合には、そこから外耳炎につながってしまうケースもあるため、お風呂あがりにコットンなどで耳の中を軽く拭いてあげると良いですよ。
柴犬をお風呂に入れる際に便利なアイテム
最後に、柴犬のお風呂をスムーズにするために便利なグッズもご紹介しておきます。もしもお家で活用できそうであれば、ぜひ試してみてくださいね。
ペット用バスタブ
シャワーが苦手な子や、薬用シャンプーのような薬液を浸透させる時間が必要な薬浴の時には、ペット用のバスタブを用意しておきましょう。人用のバスタブを共用することは、人と犬との共通の感染症(ズーノーシス)の問題からおすすめはできません。
ペット用のバスタブにもさまざまなものがありますが、
- プラスチック製で形がしっかりとしたもの
- 折りたたんで収納が可能な柔らかい素材のもの
の2タイプに分けられます。
伊勢藤 ソフトタブ ピンク 23L 日本製
こちらは柔らかい素材でできた簡易バスタブです。折りたたみができる反面やや浅型になってしまうので、全身しっかりつかるというよりは寒さを感じる時間を減らしたり、シャワーが嫌いな子のためのサポートとして使うのにぴったりな商品となります。
柔らかい素材のため、バタバタと暴れてしまう子の場合は形が崩れやすいので注意しましょう。また、大柄な男の子はサイズが小さいということが考えられます。体重10㎏ほどの小柄な柴犬であれば使いやすいですよ。
アイリスオーヤマ ペット用バスタブ BO-800E
形がしっかりしていて簡易の折りたたみバスタブよりも深さが欲しいのであれば、こちらの商品がおすすめです。バスタブにフードがついており、わんちゃんを包みこむようなサイズ感であるだけでなく、シャワーホースを引っ掛けることができるフックがついているのも便利なポイントです。
収納面ではやや場所を取ってしまいますが、愛犬が足をかけても柔らかい素材でできたものに比べて形が崩れにくいということも大きなメリットでしょう。お風呂が特に苦手という子の場合は形がしっかりとしているもので、より深く体をつからせることができるものの方が活用しやすいかもしれません。
タオルドライに便利な超吸収タオル
柴犬の毛は上毛と下毛が密に生えている毛質のため、ドライングが長くなりがちです。通常のバスタオルを使うだけでなく、プラスアルファのグッズを足してあげるだけで愛犬のお風呂にかかるストレスを減らしてあげることができます。
アイオン 超吸水ペットタオル 厚手 Lサイズ
プロのトリマーさんも多く使っているのが、こういったスポンジを薄くしたような吸水タオルです。バスタオルだけで水分をしっかり拭き取ろうとすると、複数枚のバスタオルを使わなければ、バスタオルがすぐにびしょびしょになってしまいます。
そこで、まず初めに浴室の中でスポンジタオルを使いざっと拭いておくと、乾燥時間の短縮につながります。スポンジタオルはギュッとしぼればすぐにまた拭くことができ、乾くのも早いため、その場で何度も繰り返し使うことができます。
Amazon「Winthome ペット用タオル マイクロファイバー」
これまで一般的なバスタオルを使って愛犬を乾かしていた飼い主さんもいるかもしれませんが、吸水力に優れたタオルに変えるだけで乾燥時間が大きく変わるということを、ぜひ体感してもらいたいものです。人の体の場合は犬のように毛が生えていないため、通常のバスタオルでも十分水気は拭き取れますが、わんちゃんの場合はそうはいきません。
こちらのタオルは大判サイズで柴犬の体もすっぽりと包みこめるのに加え、吸水力が抜群のため、ドライヤーの使用時間を短くすることができます。また、飼い主さんの手をはめることができるポケットもついているため、愛犬の体を拭く時にも拭きやすい仕様になっています。
両手が自由に使えるドライヤー
愛犬を乾かす時にはタオルとブラシ、どちらも同時に使いたいこともありますよね。そんな時に便利なのがハンズフリードライヤーです。
楽天「DUZ デュズ プレミアムハンズフリードライヤー」
パッと見た様子では布団乾燥機のような見た目ですが、ホースが伸び縮みし、ヘッドが自由な角度に変えられる自立型のドライヤーです。風量調節機能はもちろん、通常の人用ドライヤーに比べて音が小さいという評価もあるため、愛犬のドライヤーへの反応を見ながら活用することもできるでしょう。吸水タオルと併せて使うことで、乾燥にかかる時間が短くなることは間違いなしですよ。
このように、さまざまな便利グッズを使うことで、愛犬のお風呂への負担を減らすことができます。特に、お風呂嫌いな柴犬のために、できるだけ時間をかけたくないというご家庭の場合なおさらでしょう。お風呂をスムーズに終わらせるコツと便利グッズを活かしながら、飼い主さんにとっても愛犬にとっても快適なバスタイムにしてくださいね。