犬の筋肉にはどんな役割があるの?
犬の筋肉の役割は、大きく分けて3つあります。それぞれの役割について、説明します。
体の動き、姿勢を保つ役割
この項目での犬の筋肉の役割は、次の通りです。
- 体を動かす役割
- 関節を固定する役割
- 姿勢の維持
人間の筋肉も同じですね。犬もやはり筋肉で体を動かしますし、関節が固定され、各部位の筋肉で正しい姿勢を保ちます。筋肉が衰えれば猫背になりますし、体の動き、関節の可動域も小さくなります。
体の恒常機能に関する役割
- 熱を生み出すことで代謝を促す役割
- 血液を体中に送る役割
これもやはり人間と同じですね。犬も筋肉を動かすことで熱を生み出し、代謝が促進されます。また、筋肉がポンプの役割をして、血液を体中に送るのも、人間も犬も変わりありません。
つまり、筋肉を動かさないと、代謝が落ち、肥満につながります。犬の肥満予防のためにも、適度に筋肉を動かす運動が大事です。
体を守る役割
- 衝撃を吸収し耐える役割
- 血管や内臓を守る役割
筋肉は、歩行などによる衝撃を吸収し、骨や関節を守っています。適度に筋肉をつけておくほうが、犬も怪我をしにくくなります。
また、筋肉は犬の血管や内臓を守る役割もになっています。何かにぶつかったときなどに、内臓を損傷しないよう、体のクッションとしても機能しているのです。
犬の筋肉をつけるメリット
老化防止
これも人間と同じですが、犬も筋肉をつけることで、老化を防止するメリットがあります。筋肉をつけることで、運動機能の低下を予防し、健康な体づくりにつながります。
筋肉が衰えると、犬もあまり動かなくなります。立つ、座るなどの基本動作が負担になりますし、そうするとますます犬も動くのがおっくうになっていきます。シニアになる前に十分な筋肉をつけておくことで、こういった老化現象を予防することができます。
足腰が丈夫になる
犬も動物ですから、足腰が丈夫であることはとても大切です。人間と暮らしているので、天敵に襲われることはありませんが、いざという時に俊敏な動きができることは、怪我の防止につながります。
また、先述の老化防止の観点からも、足腰が丈夫であるのは大事です。シニアになっても散歩ができるように、若いうちからしっかりと足腰を鍛えておきましょう。
高齢になって、筋肉の衰えにより動かなくなると、体のさまざまな部分の機能が低下してしまいます。愛犬に長生きしてもらうためにも、足腰が丈夫になるような体づくりを心がけましょう。
犬の筋肉は生後6ヶ月~1歳に発達しやすい
犬の筋肉は、オスもメスも同様に、生後6か月から本格的に発達を始めます。赤ちゃんの時期は性別に関係なく成長しますが、生後6か月ごろからホルモンの影響で、オスとメスの違いが出てきます。
人間と同じく、犬もオスの筋肉は硬く、メスは柔らかいです。ただ、6か月というと、ちょうど去勢手術をする時期ですね。このころに去勢したオスは、男性ホルモンの影響が少なくなるため、筋肉が柔らかくなる傾向があります。
生後6か月から1歳にかけてが、犬の筋肉の発達のピークで、1歳を過ぎると徐々に衰えていきます。1歳というと、やっと成犬らしくなってきたころなのに、そのころがピークというのは驚きですね。
そういうわけで、1歳を過ぎてからは、いかに筋肉の衰えを遅らせるかが大事になってきます。適切な運動と食事で、愛犬の筋肉を維持するようにしましょう。
犬の筋肉をつける方法
運動
犬も人間と同じく、運動で筋肉をつけることができます。一番大事なのは、日常的に行う散歩です。犬種や年齢に応じて、適度な散歩をすることで、自然に足腰が鍛えられて、筋肉がつきます。
とはいえ、過度な負荷をかけることは、筋肉の損傷や関節を痛めることにつながるので、注意が必要です。あくまで、適度な散歩が大事です。
犬の筋肉を鍛えるために、たまには広場で走らせるのも有効です。俊敏な動きに必要な筋肉が発達します。引き締まった体に筋肉がついているのは、人間も犬も同じです。やせているというのではなく、引き締まった体づくりを大切にしましょう。
食事
食事も、犬の筋肉を発達させ、維持するのに大切な役割をになっています。犬はタンパク質を必要な食事量の約25%程度必要とします。
ドッグフードを選ぶときは、肉類をメインにした動物性タンパク質が含まれているものにしましょう。袋に原材料が書いてありますので、気をつけて見てください。良質な肉をたくさん使ったドッグフードは、そうでないものに比べると、長期的に食べることを考えると、犬の筋肉をはじめとした体に大きな影響を与えます。
犬に筋肉をつけるためのトレーニング方法
犬の筋肉トレーニングといっても、人間のように腹筋などの運動をさせるわけにはいきません。飼い主と愛犬が遊びでコミュニケーションをとりながら、犬の筋肉を鍛える方法をご紹介します。
室内での障害物運動
室内での障害物運動といっても、家の中にアジリティを作ろうというわけではありません。飼い主の脚を障害物にして、犬がまたぐだけでも筋肉を鍛えることになります。
飼い主が床に脚を開いて座り、犬にまたがせます。最初はおやつやおもちゃで誘導してもいいでしょう。毛布などをたたんで障害物を作り、それをまたがせてもいいです。犬の大きさに合わせて、障害物の高さを調節します。ただし、ジャンプするような高さにはしないでください。
このやり方なら、シニアになった犬でも無理なく行えますし、1歳未満の子犬の筋肉の発達を促すこともできます。
段差の乗り降り
人間でも、踏み台昇降運動は手軽にできる効果的な運動ですね。犬にとっても、足腰を鍛えるために有効なトレーニングです。
しっかりした箱や座布団などで段差を作り、犬に乗り降りさせます。この時も、やはりジャンプしないように、片足ずつしっかりと乗り降りさせるのが大事です。
どのトレーニングも同じですが、やりすぎには注意しましょう。やりすぎると、かえって関節に負担がかかって逆効果になってしまいます。段差の乗り降りは、続けていると犬がハアハアと息を乱すことがあります。その時点で終了にしましょう。
特にテリア種の犬は、一度夢中になると、なかなか自分からやめようとしません。飼い主が犬の様子を見て、興奮してきたと感じたらやめるようにしましょう。
バランスをとる
クッションや座布団を重ねて、柔らかくて不安定な足場を作り、そこに犬を立たせます。ぐらぐらとバランスのとりにくい場所に立つことで、犬の体幹が鍛えられます。
飼い主が少し揺らして、バランスをとりづらくするのも有効です。ただし、犬が落ちてしまわないように注意しましょう。
お座り
お座りは犬のしつけの基本ですが、実は筋肉トレーニングにもなります。立つ、座るを繰り返すことで、スクワットをするような効果が得られます。
子犬のときにお座りを教えるときから、筋肉トレーニングを兼ねるといいですね。5回ほど、立つ、座るを繰り返すだけで、十分な運動になりますよ。
坂道の散歩
毎日の散歩に犬の筋肉トレーニングをとりいれる方法としては、コースの途中で坂道を歩かせるのが有効です。犬は人間より体が小さいので、短い坂道でも効果があります。
上り坂、下り坂で、使う筋肉や負荷が違ってきますので、犬の筋肉をバランスよく鍛えることができます。ただし、やはり無理は禁物です。愛犬の年齢や体調に合わせて少しずつ散歩に取り入れ、適度な筋肉トレーニングになるように調節してあげてください。
ドッグランで走る
犬の運動というと、筋肉トレーニングに限らず、ドッグランを思い浮かべる人が多いと思います。思いきり走ることは、言うまでもなく、犬にとっていい運動になります。
特に大型犬など、なかなか散歩中に走らせるのが難しい犬種の場合、定期的にドッグランに連れて行って、思いきり筋肉を動かす機会を作ってあげるといいですね。子犬のうちから、社会化を兼ねて、ドッグランで筋肉を鍛えるのがおすすめです。
ただし、ドッグランには他のわんちゃんもいますので、飼い主がしっかりと愛犬を見て、トラブルにならないよう注意しましょう。
犬の筋肉をつけるために与えたい食材
生肉
犬の筋肉の発達に良いとされるのは、生肉です。タンパク質が豊富に含まれ、微量ですがビタミンやミネラルも摂取できます。
一口に生肉と言っても、種類はいろいろあります。牛肉、馬肉、鹿肉、鶏肉が、犬の筋肉の発達や維持に良いとされている食材です。最近は、ペット用品を扱う店で、生食用の肉が売られていますね。
ただ、やはり生で与える以上、安全性は絶対に確保したいところです。筋肉に良いと思って生肉を食べさせて、犬に寄生虫がついてしまったり、食中毒を起こしたりしては何もなりません。
飼い犬に生肉を与えることに対して、獣医師たちは決して良い顔をしていません。犬用として売られている生の鹿肉などに、細菌やウイルスがついている場合が多いからです。
愛犬の筋肉の発達のために生肉を与える場合、感染の危険性やカルシウムやリンなどの栄養バランスを考慮して、少量にとどめたほうが良いでしょう。特に子犬やシニアの犬は、消化器が未発達だったり弱ったりしていますので、ほんの少しだけ与えてみて、下痢などしないか様子をみましょう。
魚
基本的に犬は魚を食べても大丈夫です。肉類にアレルギーのある犬もいますので、そういう場合は筋肉をつけるために魚メインのドッグフードを与えましょう。
魚もタンパク質が豊富で、しかも肉より吸収しやすいです。さらに、DHAなど認知症予防に効果がある成分も含まれているので、特にシニア犬の筋肉の維持に適しています。
ドッグフードは肉類で、トッピングとして魚を与えるのもいいですね。白身魚をミキサーにかけて加熱すると、良いタンパク源になります。
卵
卵もタンパク質が豊富で、犬の筋肉の発達や維持に良い食材です。生で食べさせるのではなく、ゆで卵や玉子焼きにして与えましょう。
卵にはビタミンやミネラルも含まれていて、特に手作りごはんを与えている場合、不足しがちな栄養素となります。魚と同じく、トッピングに卵を与えるといいですね。卵好きな犬は多いので、愛犬も喜ぶし、筋肉にも良いしで、一石二鳥です。
注意点としては、卵に対してもアレルギーをもつ場合があります。卵を食べさせる際には、ほんの少しだけ与えて様子を見ましょう。
筋肉づくりに役立つ犬用手作りレシピ
ゆで肉と野菜のごはん
人間用の食事に使った食材で、愛犬の筋肉に良い手作りごはんを作ることができます。材料は次の通りです。
- 豚肉の細切れ
- 白菜の芯
- にんじんの切れ端
- だしをとったあとの昆布
犬は人間よりたくさんのタンパク質を必要としますので、体重5kgで1日に100g程度の肉を食べさせるようにしましょう。野菜は上記のものにこだわらず、人間ごはんに使った余りで大丈夫です。ただし、タマネギをはじめとしたネギ類は絶対にNGです。
作り方はとても簡単です!
- 野菜類を細かく切って、豚肉の細切れと一緒にゆでる。
- 昆布を細かく切る。だしをとったあとのかつお節でもOK。
- 全部を混ぜ合わせて出来上がり
これなら、人間の食事作りのついでに、簡単にできますね。タンパク質の他にもビタミン豊富な豚肉で、愛犬の筋肉を維持しましょう。
焼肉定食風の犬ごはん
こちらは愛犬の筋肉づくりのために、少し手間をかけてもいいと思える方向けのレシピです。
材料は次の通り。
- 牛肉
- 鶏の砂肝
- トマト
- きゅうり
- りんご
- 人間用に炊いたご飯
きゅうりが嫌いな犬もいますので、その場合は他の野菜でもOKです。
作り方は意外と簡単です。
- りんごをすりおろし、少量のオリーブオイルで炒める。焦げないように、途中で少し水を足す。
- 牛肉と砂肝を食べやすい大きさに切って、フライパンに並べて焼く。
- 上記の材料を冷ます間に、トマトときゅうりを切る。
- 焼いた肉類と野菜を並べてお皿に盛りつける。ご飯も添える。
- 1で作ったりんごのソースをかける。
とてもおいしそうですね!これなら、食が細くなりがちな夏場でも、喜んで食べてくれそうです。
最後に
犬の筋肉を発達させ、うまく維持することは、愛犬の健康につながります。改めて意識すると、飼い主ができることもたくさんありますね。
まずは毎日の散歩と食事で、愛犬の筋肉が衰えないように気をつけましょう。遊びを取り入れたトレーニングで、筋肉を維持するのもいいですね。
愛犬がいつまでも元気に動けるように、若いうちから意識的に筋肉を鍛えることを心がけましょう。