うちの子もセラピードッグになれる?その前に知っておきたい注意点

うちの子もセラピードッグになれる?その前に知っておきたい注意点

近年セラピードッグの活躍の場はますます広がってきています。セラピードッグに関する研究も進み、研究者たちが犬に負担をかけないための注意点を呼びかけています。

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様々な分野で人間を助けるセラピードッグ

ラブラドールと車椅子の女性

セラピードッグという名前を聞いたことがある、どういうことをするか知っている、身近にセラピードッグのボランティアをしている人がいるという方は少なくないと思います。

近年は大きな自然災害の被災者の不安やストレスを和らげるためや、児童の音読セラピーのサポート、脳卒中から回復した人の言語療法のサポートなど、セラピードッグの活躍の場も広がってきています。セラピードッグというのは、セラピーが必要な人の側で寄り添うことでストレスや不安を軽減させ心理的にサポートするのが仕事です。何か特定の作業をするわけではありません。

盲導犬や聴導犬などの介助犬は、飼い主の生活を手助けするよう何らかの作業が訓練されており、セラピードッグとは違います。小さい頃から特別な訓練が必要なわけではないので「うちの愛犬もセラピードッグの資格を取りたい」とチャレンジする飼い主さんも増えています。

一方で、セラピードッグが人間にどのような影響を与えるかという研究は数多く発表されてきましたが、セラピーに参加することが犬にどのような影響を与えるかについては研究が始まったばかりです。セラピードッグに負担やストレスを与えないために、研究者が挙げている注意点をご紹介して行きます。

セラピードッグは仕事にストレスを感じているか?

男の子を訪問するセラピードッグ

2018年にアメリカ人道協会が科学誌に発表した研究では、小児ガン患者に寄り添うセラピードッグのストレスレベルが測定されました。アニマルセラピーにおける犬側の影響を調査したものでは初めてのものです。ストレスホルモンであるコルチゾールの唾液中のレベルや、ビデオ録画によってストレスを意味する行動の有無のチェックなどが行われました。その結果、セラピードッグたちのストレスレベルは犬が家庭にいる時と仕事をしている時で、ほとんど差が無いことが分かりました。

この研究のデータ分析を行ったパーデュー大学の研究者は「そもそもセラピードッグとして認定を受けた犬は、見知らぬ人の側でも落ち着いていられる能力のために選ばれているということを認識しなくてはなりません」と述べています。

つまり知らない人々に囲まれた時に緊張したり怖がったりする犬は研究サンプルになっていないということです。セラピードッグになるための訓練を開始する前にこの適性があるかどうかを見極めることがとても重要だとしています。研究者が挙げるセラピードッグとしての適性は次のようなものです。

  • 人間がとても好き
  • 自信がある
  • 新しいもの(人、音、匂い)を柔軟に受け入れる
  • 若い頃から社会化されている

大切なのは訓練の成果として適切に行動できることと、元々適性があって犬自身が仕事を楽しめるのは違うということです。本当は嫌だけれど訓練の成果として仕事をしている犬には、セラピーに参加することがストレスや不安になる可能性が高いことに注意しなくてはなりません。

飼い主やハンドラーが気をつけること

セッション中の子供と犬とハンドラー

どんなに適性があってきちんと訓練を受けた犬でも、その時々の条件によってはセラピードッグとしての仕事に負担やストレスを感じることはあります。

実際にセラピードッグのハンドラーとして長年の経験がある人々は、セラピーの途中で犬がストレスを感じ始めている時にすぐに気づいて対処することが必要だと述べています。一般的なストレスサインと呼ばれるものの他に、セラピーに積極的に参加したがらない、人々から離れたがるなど、そのサインは犬によって様々ですから、犬のことを一番よく知っている飼い主やハンドラーの見極めが重要です。

ハンドラーや研究者が挙げる、セラピーセッションの際の注意点は次のようなものです。

  • 犬とハンドラーが良好な関係を保つこと
  • ハンドラーは犬のストレスに迅速に気づくこと
  • 犬のストレスに気づいたらすぐに適切な行動を取ること
  • 頻繁に休憩を取り、犬のキャパシティを超えないようにすること

犬によって、大人が対象のセラピーか子供が対象のセラピーか適性は違います。セラピーセッションを受けている人が犬に対して不適切な対応をした時には。直ちにハンドラーが正しいアドバイスをする必要があります。

まとめ

本を読む女の子とゴールデンレトリーバー

数ある動物の中でも犬は人間に寄り添うことにかけてはピカイチです。そんな彼らですから、人々をサポートするセラピードッグとして素晴らしい効果を生むのも納得のいくことです。

人間が癒されることだけに焦点を当てるのではなく、人間のために働いてくれる動物の負担についても正式な研究が行われるようになったのはとても喜ばしいことです。

愛犬とともにできるボランティア活動としてセラピードッグになることを考えている方は「ただ出来るというだけでなく本当に適性があるのか、犬に負担にならないか、自分自身が犬の状態を正確に判断して行動できるかどうか」などの点をしっかりと考えることが必要ですね。

《参考URL》 https://www.chicagotribune.com/suburbs/park-ridge/ct-skr-therapy-dogs-tl-0801-20190726-yok6humr3vgcln2vum7an2uplm-story.html https://docs.lib.purdue.edu/cpbpubs/37/

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