聴導犬ってどんな犬なの?その役割や仕事、抱えている課題とは

聴導犬ってどんな犬なの?その役割や仕事、抱えている課題とは

聴導犬は耳の不自由な人の生活を支える補助犬の一種ですが、具体的にどのような仕事をしているのか知られていないことも多いようです。今回は、聴導犬がどのような犬なのか、役割や具体的な仕事の内容、聴導犬が抱えている課題についてまとめてみました。

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聴導犬とは

ラブラドールレトリバー

聴導犬とは、耳が聞こえない、または聞こえにくいといった聴覚に障害を持つ人に、生活に必要な音の情報を伝える身体障害者補助犬の一種です。

聴導犬の歴史はまだ浅く、1975年のアメリカが発祥と言われています。日本では1981年に聴導犬委員会が発足して訓練が始まり、1983年に4頭がモデル犬となりました。実際に補助犬としての無償貸与が開始したのは1984年です。この時貸与された日本初の聴導犬の犬種はシェットランドシープドッグだったそうです。

その後、2002年10月には「身体障害者補助犬法」が施行され、日本聴導犬協会で訓練を受けた柴犬が法施行後初の聴導犬となりました。わずか4頭から始まった聴導犬も少しずつ数が増え、2019年時点では68頭の聴導犬が活躍しています。

聴導犬の役割

犬と老女

聴導犬は耳の不自由な人の生活をサポートする役割をしています。日常生活で必要な音や火災報知機などの警報音などを行動によって知らせ、聴覚障害者の安全を守ります。

聴導犬はユーザーに音を知らせるという役割の他に、ユーザーが聴覚障害者であるということを他の人に知らせるという役割もあります。聴覚障害者は見た目だけではわかりづらいため、周囲に理解してもらいにくいというのが現状です。聴導犬はオレンジ色の「聴導犬」と書かれたケープを着用してユーザーのそばにいるので、耳が不自由であるということをその都度説明する必要がなくなります。周囲から理解してもらい、スムーズにサポートを受けられるようにするのも聴導犬の大きな役目なのです。 

聴導犬の仕事

レトリバーの子犬

家の中

聴導犬は家の中で聞こえるさまざまな音を聞き分けて、ユーザーに動作で知らせます。例えば、目覚まし時計が鳴った時はユーザーにタッチして起こします。赤ちゃんの泣き声やドアチャイムなど、離れた場所から鳴っている音を知らせる場合は、音源の近くまでユーザーを誘導します。火災報知器などが鳴っていて危険を知らせたい時には誘導は行わず、伏せの姿勢を取り危険な状況を伝えます。

外出先

外出先では自転車のベルや車のクラクション、踏切の音を聞き分けて、ユーザーが安全に歩行できるようサポートします。その他病院や銀行などでユーザーに順番がきたことを知らせるのも、聴導犬の大切な仕事です。受付の人にユーザーからあらかじめ鈴を渡しておき、自分の番になった時に鈴を鳴らしてもらえば、聴導犬が鈴の音を聞き取りユーザーにタッチをして順番を知らせることができます。

聴導犬になる訓練

子犬

すべての犬が聴導犬になれるわけではありません。さまざまなテストや訓練を受け、一定の条件をクリアした犬だけが正式に聴導犬として認められます。主に次のような過程をクリアする必要があります。

適性検査を行う

候補の犬には、まず聴導犬としての適性検査を行います。適性検査には「人が好きか」「人と一緒にいたいと思えるか」「ストレスに耐性はあるか」など10以上の細かな項目があり、犬の様子からそれらをチェックします。それらをクリアした犬が聴導犬としての訓練に進みます。

基礎訓練を行う

候補犬として選ばれた犬は訓練所に入り、聴導訓練士から本格的なトレーニングを受けます。日本聴導犬協会では下記のような段階で訓練を行います。

  • 第1段階(~1歳) :人と暮らすマナーを身につけ、音に反応するように訓練します。
  • 第2段階(~2歳):聞こえない人の生活に合わせた音の訓練や、公共の場で訓練します。
  • 第3段階(3歳くらい):希望者と犬がきちんとした関係を作るために、一緒に生活しながら訓練します。

1歳未満の子犬や保護団体などから引き取られた犬には、人との暮らしに必要な一般的なしつけを行い、人に慣れさせながら社会性を育みます。次にさまざまな音を聞き分け、反応する訓練に移ります。それらをクリアしたら、聴覚障害者をサポートするための具体的な訓練に入り、2歳前後の間に適性をより厳しく見極めていくようです。

訓練所でさまざまなトレーニングを受け3歳を迎えた訓練犬は、聴導犬使用希望者と一緒に生活をする合同訓練に入ります。合同訓練では、聴導犬の使用を希望している本人が犬に指示を出し、基礎動作や聴導動作が適切に合うように訓練しながら信頼関係を築いていきます。

認定試験を受ける

合同訓練が終了した後、再び書類審査や動作検証などの認定試験を受けます。この認定試験は、犬だけでなく使用希望者とのペアで行われます。認定試験に合格した犬だけが聴導犬として認められ、希望者に聴導犬として貸与されることになるのです。

認定試験合格後も聴導犬の訓練は持続的に行われます。ユーザーが持つ障害の状態やニーズ、環境の変化に常に対応できるようにするためです。聴導犬の判断力や体力が衰えていないかなども、認定後の訓練の中でチェックされる重要事項です。

聴導犬の抱えている課題

ゴールデンレトリバーの顔

聴導犬不足

聴導犬が抱えている課題の1つに、聴導犬不足が挙げられます。同じ介助犬である盲導犬の登録数は941頭ですが、日本の聴導犬登録件数は盲導犬に比べ圧倒的に少ない状況にあり、貸与されている聴導犬の活躍の場も47都道府県中の17都府県に偏っているのが現状です。

聴導犬になるまでにかかる費用はおよそ200万円と言われています。施設の運営資金や聴導訓練士が不足していることも聴導犬不足を招いていると要因と考えられます。現在、費用のほとんどは寄付により賄われており、聴導犬を育てる団体の活動はボランティアの方によって支えられているようです。厳しい条件の中で、聴導犬をどう育てていくかが今後の課題となっています。

社会的な認知不足

聴導犬の認知度が社会的に低いという点も大きな問題です。街で聴導犬を見かける機会は少なく、それが聴導犬に対する理解不足を生んでいます。

日本には「身体障害者補助犬法」という法律があり、次のような取り決めがあります。

“国、地方公共団体、公共交通事業者、不特定多数の者が利用する施設の管理者等は、その管理する施設等を身体障害者が利用する場合、身体障害者補助犬の同伴を拒んではならない”

同じ補助犬である盲導犬や介助犬は社会的にも徐々に理解されてきているようですが、歴史がまだ浅い聴導犬は、具体的にどのような仕事をしているのか知られていないというのが課題になっています。

まとめ

犬を抱く女性

聴導犬の役割や現状をご紹介しました。聴導犬は「耳の不自由な人が自立して生活をするための大切なパートナーである」ということがおわかりいただけたと思います。町で見かける聴導犬はユーザーのために仕事をしている最中なので、むやみに話しかけたり撫でたりせず、あたたかく見守ることを心がけたいですね。

聴導犬育成についてはさまざまな形での支援募集がされています。聴導犬普及に関心を持たれた方は是非そちらもチェックしてみてください。

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