犬の睡眠時間は平均どれくらい?年齢や環境による差はあるの?

犬の睡眠時間は平均どれくらい?年齢や環境による差はあるの?

犬にとっての適正な睡眠時間とは、どれくらいなのでしょうか?ここでは生理的な面(成長と睡眠の関係)と精神的な面(ストレスや環境によるもの)の両方から犬と睡眠についてまとめてみました。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の成長と睡眠時間の関係

犬の睡眠時間

授乳期

人間の赤ちゃんと同じように、犬もおっぱいをのんでいる時期などは一日のほとんどを寝て過ごします。

母犬のおっぱいを飲んでそのまま、ピンク色のかわいいおなかをだして眠り、また起きるとおっぱいをさがして吸い付くという風に、おっぱいを飲んでいるとき以外は寝ているので、時間にすると、18~20時間くらいでしょう。

この時期は母犬もずっと子犬のそばで横倒しになっていておっぱいを飲ませたり、子犬のお尻を刺激して排泄させたり、(母乳のみの時期は母犬が排泄物をなめてきれいにします)しているため母犬もよく寝ています。

私の家で子犬を六匹産んだ雑種のワンコは子犬が全員熟睡しているときに大急ぎでご飯を食べて大急ぎでおしっこして、大急ぎで子犬のところへ戻って自分も寝ていました。

離乳期

生後3週間頃から、子犬は口唇反射とよばれる口にあたったものに吸い付く生まれながらの反射が消えて、乳歯が生え始めます。

子犬の歯が母犬の乳首にあたると母犬が授乳を嫌がり、だんだんと乳離れしていきますが、この時期もまた、人間の子供と同じで、離乳食を食べていても、母犬のおっぱいのところへ行き、吸い付きながらあんしんして睡眠に入るという感じです。

母犬のほうも子犬がおっぱいを追いかけてぶら下がった状態で歩いたりしますが、結局抱きかかえるようにして眠っています。

睡眠時間はまだ18時間くらいです。

柔らかい離乳食を少しずつ食べるようになると、子犬も部屋の中をよちよちと動き回り、母犬の刺激がなくても、自分で排泄するようになりますが、けなげなことに母犬はしばらくの間は子犬の排泄物をおいかけるようにしてなめてしまいます。

我が家の母犬をみるかぎりでは、この時期の母犬は本当にけなげに子犬の面倒をみて大変疲れるらしく、子犬が眠っている間は自分も寝ていました。

この時期の一週間の子犬の成長は、一日ごとに目に見えるほどで、食べる量が増え、排泄が増えるとともにおっぱいは卒業します。

幼犬期

子犬は生後3週間から7週間になるころ、まるまるとしてお腹がまんまるになるまで食べて、そしてころころとよく遊びます。

兄弟犬同士、そして母犬のからだによじのぼったり、生まれた家の人間の膝にもよじのぼったりして好奇心旺盛です。

まだ母犬からの免疫をもった受動免疫期間で室内で過ごす時期ではありますが良く運動することが筋肉や脳の発達を促し、あわせてたっぷりの睡眠時間が成長ホルモンの分泌を促します。

この時期も15、6時間の睡眠が必要でしょう。

社会化期

生後8週間から12週になるとワクチンプログラムがはじまり、社会化期といわれます。

この時期にはワクチン接種の様子を配慮しながら少しずつ外の空気、草や風や太陽にも慣れていきます。

まだリードでお散歩という時期ではなく、あまり人や犬のいない草原まで抱っこでそっと草の上に下してあげる程度でよいでしょう。ダニにはお気を付けください。

よく、この時期に人や他犬と触れ合わせたほうが良いと言われますが、大切なのは刺激的な経験ではなく落ち着いたゆったりした状態の中で育つことです。この時期にたくさんの音、においや物に触れたほうがよいのですが、慣れるためと言って怖がるものに対面させるのは逆効果です。

母犬や兄弟犬とのとっくみあいや、自然界の匂いを覚えていくこと、そしてかさなりあってお互いの体温や心臓の鼓動を感じながらの睡眠が理想的です。

まだまだ15、6時間は寝ている子がほとんでしょう。

若齢期から成犬

生後13週から老年期に入る前までの犬の睡眠時間はだいたい12~15時間くらいと言われています。

あとは環境や体調、運動量、ストレス度によって前後することになります。

老年期

7歳過ぎくらいから老年期といわれますがこれは犬種や環境、病気など色々な影響もあり、個体差はあることですが、だんだんと体力も衰えてくるので睡眠時間も少しずつふえていき、また18時間くらい眠るようになります。

以上、生理的な面から犬の睡眠時間についてまとめましたが、犬は本当に良く寝る動物だということがわかります。

授乳期、幼犬期は人間と同じです。

乳幼児期は睡眠時間が長く、眠っている間の成長ホルモンによってからだも大きくなり、心も安定します。

人間の睡眠時間は減っていきますが、犬は成犬になってもなお、毎日12~15時間くらい、つまり一日の半分は寝ていることになります。

では犬の睡眠の内容はどうなのでしょう?次は犬の眠りの内容についてまとめてみましょう。

犬の長い睡眠時間の内容は?

ベッドで寝る犬

レム睡眠、ノンレム睡眠

犬は人間に比べて、寝ている時間そのものは多いのですが、そのほとんどは、レム睡眠,つまり、体が休んでいても脳は起きている状態です。

約8割はレム睡眠で、浅い眠りなので、些細な物音や近くを人が歩いただけでもすぐに目を覚まします。

寝ている犬の恰好をみると、床にあごをつけて寝ているときは浅い眠りのレム睡眠といわれています。

さらに力が抜けてリラックス状態になり横倒しで手足を広げてでれ~んとした格好になるとノンレム睡眠に入った時でしょう。

口元も緩んで無防備な感じです。

犬の睡眠のリズム

犬の睡眠時間

犬は人間と同じように、レム睡眠、ノンレム睡眠を繰り返します。

寝入りばなは浅いレム睡眠で、この状態の時に夢を見たり経験を定着させたりすると言われています。

よく寝ながら走るように手足を動かしたり、しっぽを振ったりしていることがありますね。

次に1~2段階のノンレム睡眠状態、まどろんでいる程度の睡眠で、まだ完全に深い眠りに入る前の状態なのでびっくりしたり物音には敏感に反応できます。

この状態の割合が一番長いと言われています。

次に3~4段階のノンレム睡眠状態で脳が観戦に休んでいる状態で、犬の健康や、心の安定に、もっとも大切な時間といわれます。

安心して眠れる環境を与えて良質なノンレム睡眠をとらせてあげたいものです。

以上が犬の睡眠のリズムです。

睡眠と環境

幼犬期の環境

前述のように子犬の睡眠はとくに深いノンレム睡眠状態の時に一番さかんに成長ホルモンが分泌されます。

そして、日中の経験や学習を脳に定着させるのもノンレム睡眠中といわれています。

ですからこの時期の睡眠を良質なものにしてあげることが、健康で穏やかな犬を育てるために大切です。

現在日本では少しでも幼い子犬をペットに迎えたほうが、しつけしやすいとか、愛情をかけられるなどの考えがまだ一般的で、多くの子犬はまだ母犬や兄弟、姉妹犬といっしょに寝起きすべき時期にひとりぼっちで離されて知らない人間とくらすことになります。

平成25年9月より改正された動物愛護法動物愛護法で生後8週に満たない犬猫の販売の禁止されましたが実際には移行措置として2016年8月末までは生後45日つまり1週間もはやい販売が可能です。

社会化期は約12週くらいまでなので、本当はたっぷり3か月は母犬や兄弟犬のなかでじゃれあい、甘噛みの加減や犬同士のマナーも覚え、母犬の鼓動や兄弟犬のぬくもりの中で安心してノンレム睡眠をとれる環境が望ましいのです。

成犬の睡眠環境

成犬の場合も睡眠の環境が悪いと、問題行動の原因となる場合があります。

というよりも落ち着いたストレスのない犬は良く寝るという逆の言い方のほうがわかりやすいかもしれません。

譲渡や引っ越しなどあたらしい環境を受け入れなければならない時はもちろん、日中のうれしい出来事も、マイナスの出来事も脳が整理するのはノンレム睡眠時なので犬の眠りを邪魔しないようにきをつけてあげましょう

犬種ごとの睡眠時間について

チワワの寝顔

犬は1日の半分を寝て過ごしています。
一般的に平均睡眠時間は12時間~16時間が必要と言われています。

「トイプードル」「チワワ」「ミニチュアダックス」の睡眠時間

明るく活発でフレンドリーさが特徴な「トイプードル」
  • 子犬、老犬だと平均して1日18時間~
  • 成犬だと平均して1日12時間~以上
好奇心旺盛な世界で1番小さい犬「チワワ」
  • 子犬、老犬だと平均して1日19時間~
  • 成犬だと平均して1日12時間~以上
見た目とは裏腹に気が強く番犬に適している「ミニチュアダックス」
  • 子犬、老犬だと平均して1日18時間~
  • 成犬だと平均して1日12時間~以上

睡眠時間の確保方法

ソファで寝る犬

人間同様、わんちゃんも肉体的・精神的に健康で生き生きとするには、十分な睡眠が必要になってきます。

そして犬の祖先は本来地面に穴を掘り、そこを巣穴として寝床にしていた動物と言われています。
なので犬は習性として薄暗い狭い場所を好むので、その部分も視野に入れて考えてあげなければいけません。

  • 安心して眠れるようにスペースの確保(犬用のベッド、ゲージ、クレートなど)
  • 直射日光が当たらないように配慮(カーテンは必須)
  • 室温の調整(室温目安26度前後、湿度は50~60度)
  • 寝ている時にむやみに触らない(睡眠を邪魔しない)
  • 1日1回はお散歩(運動)をする

このようなことに気をつけてあげるとわんちゃんも安心してゆっくり睡眠時間が確保できます。

今年も猛暑と予想されていますので寝ている間の熱中症対策として、エアコンの使用やベッド、ゲージなどにひんやりシートを活用することもわんちゃんの睡眠時間の確保に必要なことだと思います。

ただエアコンなどは個体によって涼しいと感じる基準は違ってきますので、様子を見ながら設定します。扇風機を利用して間接的に風が当たるようにすると、心地よい眠りに繋がると思います。

こうして犬種ごとに睡眠時間の違いをみてみると「チワワ」の子犬や老犬の睡眠時間が他の2種より少しばかり多いようです。

やはり他の2種よりも体が小さいためではないでしょうか。

犬種ごとにみていきましたが、3種類とも1日の半分以上の睡眠時間を必要としています。

私たち飼い主はかわいいわんちゃんのために、安心して睡眠できるよう積極的に工夫して健康を維持していきましょう。

まとめ

犬の睡眠時間や内容を知ってもういちど自分のうちの愛犬を観察してみましょう。

犬がくつろげる環境になっていますか?
もしもあなたが小さな8週齢の子犬をむかえたのなら、全力で母犬のかわりをしてあげてください。

その子はおっぱいをくわえたまま眠りにつくことはできません、兄弟のぬくもりに包まれて眠ることもできません。

さみしくて心細くてないてもあたりまえですね。

泣いたらひとが傍にくるとおぼえるから無視しなくてはいけないとか、サークルやクレートでひとりで寝かせたり、留守番させたりするのはむしろ不安を膨張させ、心の安定にはつながりません。

どうか優しくしずかに体を密着させて添い寝してあげてください
そして家の中にはサークルではなく、クッションでも座布団でもマットでもいいので数か所に適当においておくと自分で寝床を選んで横倒しになります。

季節によっては昼は草の上で寝たいこともあるし、冷たい床にじかに寝たい時もあるのです。

だから危険な物は撤去して、犬はフリーにしてあげましょう。

そのほうがいたずらもしないものです。

そして成犬になっても夜は一緒のふとんで寝たがればぜひそうしてあげてください。

お互いの呼吸を感じながら眠ることは信頼関係を築きます。

そして眠っているときはどんなにかわいくても触らないこと、浅い眠りの多い犬ですから、邪魔しないようにしてあげましょう。

特にお子さんのいらっしゃる家庭では寝ている犬のそばをバタバタとはしったり急に大声を上げるなどが頻繁にならないように気を付けてあげましょう。

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