ペットシッターになるには信頼が重要
ペットシッターとは、簡単に言えば個人のお宅を訪問し、ペットの水や食餌の世話、トイレの始末、ワンちゃんならお散歩、室内外の猫ちゃんならストレス解消に遊んであげるなど、動物が好きな人なら誰でもできるお仕事です。
とはいえ、ただ好きなだけでは十分ではありません。
急な外出で留守にするにせよ、飼い主さんが家にいても病気で散歩に行けない場合にせよ、ある意味、他人を家の中に入れるわけですし、留守宅ともなれば自宅のカギを預け、大切なペットの命を託すわけですから、まだまだ利用することに不安を感じる飼い主さんも少なくありません。
ペットシッターは、確かによそのお宅のワンちゃん猫ちゃんのお世話をするのがお仕事の中心なわけですが、飼い主さんが依頼するに当たっては、それなりのプロとしての信頼性(資格の種類や知識の幅)と、ペットシッター自身の人柄はとても重要な決め手になってきます。
ペットシッターの実際のお仕事の流れ
依頼を受けたら事前打ち合わせの予約をする
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ご自宅訪問。
実際にペットシッターをするワンちゃんに会い、お世話の内容などを確認。
その他、期間や訪問時間帯、料金など細かい打ち合わせをする。
ご自宅のカギを預かる。
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頼まれた日、時間に訪問し、規定の時間内(30分〜1時間単位くらいの設定が多い)で、お世話をする。
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その日のお世話した内容やワンちゃんの様子など写真を添えて飼い主さんにメールで報告など。
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飼い主さんの帰宅
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期間中の全体的な報告をあらためて行い、料金の精算とカギの返却をする。
信頼されるペットシッターになるには
当たり前に思えることほど緊張感を持って臨む姿勢が大切
基本的な流れは上記の通りですが、それ以外に、実は様々な面での細やかな気遣いがより重要なお仕事と言っても過言ではありません。
動物だけでなく人に接する仕事でもあり、人とお話するのが好きというのも大切な要素です。
飼い主の視点も交えつつ、かつて私が依頼したペットシッターさんのお仕事ぶりに感心した点や伺ったお話を元に、信頼できるペットシッターとして欠かせないポイントを挙げてみました。
・顧客管理
住所、氏名、家族構成などを扱う以上、個人情報の守秘義務や管理責任は重大です。
・カギの管理
これは絶対に必須!一日に何件も請け負う場合などは特に!
・飼い主様との接し方
きちんとした言葉遣いなど基本的なマナーは必須。
飼育について独自のこだわりを持つ飼い主さんもいるので、時には知識と経験に基づいた提案が必要なことも。
考えを押し付けず、良いコミュニケーションを取ることが求められます。
・事前の打ち合わせ
室内のどこまでがペットシッターとして踏み込んで良い範囲(部屋)か、動かしてはいけない物などの確認を。
交換するトイレシーツや汚物の捨て方、フードの量や食器を洗うスポンジはどれか、室内やハウスのペットによる汚れの処理の仕方など、使用する物の種類や置き場所、しまい場所なども事前確認。
ペットシッターの主観や独断ではなく、その飼い主さんのやり方に添った仕事が求められるので、事前の細かな打ち合わせは、誠実な仕事をするうえで最も大切です。
・ペットの健康管理
飼い主の留守中にはワンちゃんもストレスを感じ体調を崩しやすいもの。
事前の打ち合わせ時に、普段のそのコの様子や、性格や日常の過ごし方、排泄のタイミングや健康状態などを確認。
緊急時の対応やかかりつけ獣医の場所を予め確認しておくことも大切。
・お世話する様々な動物に関する基本的知識
犬猫だけでなく魚、鳥やカメなども同居する家庭は少なくないので、それらの動物のお世話も併せて頼まれる可能性は大。
そんなとき、初めて当たる動物を前に、不慣れな様子では飼い主さんも不安。
その動物の習性や本能などをしっかり把握し、対応できること。
・しっかりしたカルテの作成
2回目以降の依頼をされた時、飼い主さん側が忘れていても、ペットシッターがきちんと覚えていて、「前回はこうでしたが今回はどうしますか?」などと質問して確認することも信用を得るうえで大切。
それにはきちんとカルテを作成し、ペットシッター中に気付いたことなど、些細なことでも必要と思うことは記録を。
・まめな連絡
ペットシッターを信頼してはいても、飼い主さんとしては大切なペットの安否は気になるもの。
一日だけの依頼でも、訪問時のペットの写真と共に「元気に過ごしてます」「問題なく終了」といったメールをすれば、飼い主さんも安心です。
・とにかくペットを逃がさない!! 危険にさらさない!!
依頼者宅への玄関の出入り時は特に用注意!
サークルの中に入っているはずが、もしかしたら室内に出ているかもしれません。
玄関を開けたとたんに脱走、換気のためにサッシを開けたら脱走、そしてお散歩時にリードが外れてそのまま行方不明となってしまったら・・・・。
ペットシッターとしては重大な責任問題です。
また、ワンちゃんのお散歩中に、他の犬や人と接した時の咬傷事故、車の事故なども絶対あってはいけない事故です。
実際にペットシッターになるには
自分で開業しない方法
アルバイトなど従業員として働く場合には、特に資格は求めない形態もあります。
全く経験はないけれど、どんな仕事がまずは経験してみたいという場合は、ペットシッター派遣会社やお散歩代行アルバイトの求人などに応募してみるのも良いでしょう。
ペットシッターになるには一番早い方法かもしれません
開業するには動物取扱業「保管」の登録が義務づけられている
自分自身が開業してペットシッターになるには様々な手続きが必要です。
ペットシッターとして正式に業務を行う場合には、開業予定エリアの自治体(保健所)に必要書類を提出し、動物取扱業の登録申請を行うことが「動物の愛護及び管理に関する法律」で義務づけられています。
動物取扱業には「販売」「保管」「貸出」「訓練」「展示」があり、業種ごとに登録内容が異なりますが、ペットシッターの場合は「保管」の登録が必要。
さらにペットシッター以外に犬の出張訓練も兼ねるような場合は「訓練」の登録も必要になります。
登録申請には所定の費用がかかります。
動物取扱業の登録申請要件を満たす資格
登録申請要件を満たすための資格はいくつかありますが、中でもペットシッターさんとして活躍されている方の多くが有している主なものを下記に挙げてみました。
・ペットシッター士(保管 訓練)
日本ペットシッター協会(環境省の認定団体の一つでプロのペットシッターを育成する日本初の団体)が発行する資格。
犬や猫との接し方、病気、健康管理、人畜共通感染症、ペットの法律、飼育管理、愛犬のしつけなどが学べる。
その他、実際に仕事を始めるうえで必要な実務面の教育も含まれる。
6ヶ月以内の通信コースまたは6日間の通学コース、特別講習やカルチャースクール講習など、個人のライフスタイルに合わせて学べるコースが用意されている。
認定試験合格時に協会が発行する「認定証」を保健所等に提出することで「動物取扱業」の「保管」「訓練」の登録申請ができる。
・愛玩動物飼養管理士 1級または2級 (保管 訓練)
公益社団法人 日本愛玩動物協会による8ヶ月間の通信教育を経て所定の試験に合格した上で認定登録される資格。
『「動物の愛護及び管理に関する法律」の主旨に基づき、愛玩動物の愛護と適正飼養管理の普及啓発活動を行うために必要な知識・技能を学ぶ(愛玩動物飼養管理士のしおりより)』内容。
受講中、課題報告問題への解答問題提出、スクーリング(講習会)出席などがある。
2級は18才以上から受講でき、主に基礎的な知識を学ぶ。
1級は2級資格取得者であることが受講条件。
内容はさらに専門的な知識となる。
・認定ペットシッター資格(保管 訓練)
ペットシッタースクールによる通学コースと通信コースがあり、講座修了時に行われる「認定ペットシッター資格検定試験」に合格すると、資格認定団体である「全国ペットシッター協会」により「認定ペットシッター資格」を得られる。
現役ペットシッター、獣医師、ドッグトレーナーや弁護士、税理士などを講師として開業を視野に入れた多面的かつ現場に即したリアルな学びが得られる。
その他には、
- 社団法人ジャパンケネルクラブの認定する愛犬飼育管理士
- JAHA認定家庭犬しつけインストラクター
- 公益社団法人日本動物病院福祉協会認定による動物看護士(3級)
- 犬の訓練学校やトリマー養成学校、動物専門学校修了
学ぶ内容は動物に関する知識から実務面まで幅広い
「保管」「訓練」の登録申請要件を満たすための資格取得を目的とした講座やスクールでは、ペット動物との接し方や健康管理、犬や猫、その他小動物の基本知識、しつけ法、衛生面の知識から、飼い主さんとの接し方、営業方法やカルテの作り方、簿記や災害時の対応の仕方に至るまで、必要となる様々な知識が幅広く学べます。
ペットシッターの資格取得には、様々な門が開かれています。
それだけに迷ってしまいそうですが、どれくらいの期間で何を学べるのか、学びたい内容が特に厚いのはどこかなど、講座やスクールの特徴をよく把握した上で検討しましょう。
ペットシッターになるには救命士・介護士の資格も役に立つ
ペットシッターになるには、ペットシッターの事だけではなく、ペットに関する様々な知識が役に立ちます。
愛玩動物救命士(一般社団法人全日本動物専門教育協会認定)
犬や猫の体の仕組みや特徴を知り、事故・震災時などにケガや病気に対応する資格。
ペットシッター先のワンちゃんがケガしたり急変したりという可能性も。
応急処置のスキルを持っているペットシッターなら、飼い主さんとしては持病のある愛犬やペットをより安心して託せますよね。
ペット介護士、動物介護士(各種通信講座)
介護が必要になった高齢動物の健康や介護に関する知識と実際の対応などスキルを学んだ後、得られる認定資格。
ペットも飼い主も共に高齢化を迎える時代。
自宅に来て、飼い主さんに代わって介護をしてくれる存在はこれから必要になることが予測されます。
ペットシッターの様々な仕事
専門に特化するか、幅広い動物に対応するか
犬専門、猫専門、またはうさぎ専門など、自分が得意な動物専門のペットシッターとなる方法もありますし、需要の多い犬や猫を中心に、その他の小動物に関する知識を広く有して対応するペットシッターを目指す方向性もあります。
これからペットシッターに期待される仕事の可能性
忙しい飼い主さんのために、持病のあるワンちゃんの定期的な病院通いや、高齢ペットの介護のお手伝いなど、細かなニーズに応えることができるのもペットシッターならではです。
犬のお世話以外にサービス面の充実こそ信頼を深める一面も
多くのペットシッターが、留守中の郵便物の回収、室内の換気、植木への水やりや、防犯上の戸締まり確認などを、サービスとしてペットシッター料金内で請け負っています。
これは留守宅が心配な利用者側からすればありがたいサービス。
また、独り暮らしの女性飼い主さんであれば、やはり同じ女性のペットシッターさんなら安心して依頼できるというもの。
そうした依頼する側の視線に立ったサービスの在り方は、まだまだ開拓の余地がありそうです。
ペットシッターになるには働く明確なイメージが必要
依頼主とペットシッターとの関係は、単に仕事を依頼する→請け負うだけではなく、家族である大事なペットを介して人と人との基本的な信頼関係に基づくお付き合いとも言えます。
きめ細やかなケアをしてくれるペットホテルも増えていますが、ペットシッターという仕事ならではの良さがあり、やりがいもあるかと思います。
飼い主さん側の事情に添った柔軟な対応も可能であり、利用料金も期間や依頼内容によってはペットホテルより低料金ということもあり、隠れたニーズそのものは非常に高い仕事だと思われます。
今後、ますます需要が増えそうなペットシッターになるには、いくつもの方法がありますが、ご自分が目指したいペットシッターのイメージを明確に持つことが最初の一歩と言えるでしょう。
ユーザーのコメント
30代 女性 てとめる
女性 ポム
というのも、日本でもペットシッターさんがいるということを知らなかったというのもありますが、身近なところでペットシッターを利用している人がいることにまず驚きました。
日本では他人に鍵を預けて、自分が不在の時に大事な家族を見て貰うということに対してそこまで浸透していませんよね。そのことに対しても私自身が未だ不信感があるからです。
お部屋の掃除などをしてくれる人が家主が不在の際にお家をキレイにしてくれるというパターンもありますが、それとは全く別です。我が子と同じ愛犬を知らない人に託すことに正直なところ未だ不信感を持っています。
とはいえ、ワンコ専用のホテルに預けるのと変わらないのかな?
そこで、友だちに色々聞いてみましたが、ペットシッターさんはネットで探したそうで、最初に面談があり、ワンコとも面会し、問題なさそうであれば料金の説明とワンコの状態(フード、好きな物や嫌いなものなどのリサーチ)、ワンコの性格などを伝えてあとは鍵を預けるだけだよという事でした。
金額を聞くと決して安いものではありません。いや高い!!と正直思いました。
預ける側も事情や理由があってペットシッターさんにお願いするとは思いますが、ペットシッターさんも間違い無くペットを愛する方だと思いますので、あとはお互いの信頼関係のもとでお願いするしかないんでしょうね。
私は絶対利用することはありませんが、逆に資格などを取って、ペットシッターになりたいと思う今日この頃です。大切な家族を預かり、守る手助けができるなら・・・と思います。
色々調べて勉強してみようかな。