犬が床をひっかく理由
「床を引っかく」と表現していますが、実際の犬の行動を見ると「地面を掘る動作をしている」とも言えます。では、なぜ犬は外の地面だけでなく、家の中の床を掘るような仕草をするのでしょうか。
本能的欲求のため
本来、犬は地面に巣穴を掘って生活する動物でした。暗く狭い穴の中だと、自分よりも体の大きな外敵が侵入してくることもなく、安全に体を休めることができるため、出産するのも穴の中でした。ですから、犬は「体を休めたい」「安心して眠れる場所を作りたい」という欲求に突き動かされると、自分が心地よく眠れるように寝床を整えようと地面を掘るような仕草をすることがあります。
また、自分の捕らえた獲物などを地面に掘って隠す習性もあったため、人に飼育されるようになってもその本能はまだ残っていて、お気に入りのオモチャやガムなどを地面に埋めて隠そうとする犬もいます。その本能や習性のために、家の中でもお気に入りのオモチャなどを「地面に穴を掘って隠したい」という欲求が起こって、床を掘るような仕草を見せるのです。
遊びのため
一人遊びの一つとして、地面を掘ることがあります。
ストレスを抱えているため
退屈だったり、なにか
飼い主さんの注意を引きたいため
愛犬が無心に床を掘るような(床を引っかくような)仕草をしているとき、「かわいい!」と過剰に反応したり、「やめなさい!」と騒いだりしたことはありませんか?犬は、そのことを覚えていて、飼い主さんの気を引きたいために床を掘るような仕草をすることもあるようです。
傷つきやすい床の素材
フローリングの床材
材木は犬の爪よりも柔らかいので大型犬を家の中で飼っていると、「掘る」ような仕草をしなくても、普通に歩いたり、走ったりしただけで、表面が傷ついてしまいます。例えると、犬の足はスパイクがついた靴のようなものですから、フローリングの上を走り回ったら、当然、傷がつきます。
カーペット
普通に歩いたり、走ったりするだけなら問題はありません。しかし、「床を引っかく」ような仕草をするのであれば、毛が抜けたり、表面が毛羽だったりして、カーペットもダメージを受けます。
畳
猫の爪ほどではありませんが、犬にも太く、固い爪があります。井草という植物を乾燥させて作る畳の表面は、犬の固い爪によって引っかかれると修復できなくなるほど大きなダメージを受けます。
止めさせることが逆にストレスを与えることもある
犬が床を引っかく仕草は、本能から来る行動です。その都度、無理に止めさせると「掘りたい」「探したい」という欲求が募り、ストレスを抱えてしまいます。犬は、床を傷つけようとして床を引っかいているのではありません。そのことを理解し、床を傷つけられたくないのであれば、無理に制止するようなことはせず、犬の欲求を満たせるように、「掘る行為」を存分にできるように、布を与える、掘る行為を始めたら、さりげなく「遊ぶ」「走る」「探す」など、他の欲求を満たせるように誘導しましょう。
犬が床を傷つけないための対策
一心不乱に床をひっかいている
ストレスによる行為だと考えられます。決まった場所だけを執拗に掘り続けたり、カーペットが破れるまで引っかき続けたりするようであれば、犬は何らかのストレスを抱えている可能性があります。犬の生活の中で、何かストレスになっていることはないかを考えてみましょう。
例えば、犬と過ごす時間が極端に減った、長くケージなどに閉じ込めている時間が増えた、家族環境、生活環境に大きな変化があった、など。何か思い当たることがあるなら、その問題を解決できる策を講じましょう。
尻尾を振りながら床を引っかいている
探し物を探す、という欲求を満たすための行動と考えられます。床を傷つけられたくないのなら、犬がその行為を始めたら別の遊びを提案します。犬が激しく掘るような仕草をしても問題ないような場所や布などを用意して、実際に何かおもちゃを隠し、「何かを探す」遊びを楽しませてあげましょう。せっかく楽しく遊ぼうとしているのを厳しく止めさせると、ストレスが溜まります。上手に犬の感情を察しながら、犬の欲求を満たしてあげましょう。
何かを考えながら床を引っかいている
眠くて、自分の寝床を自分が心地よいように調整しているのかも知れません。いつも眠る場所に誘導したり、ベッドに連れて行ったりして、安心して眠れるようにしてあげましょう。
まとめ
もともと、犬は野生で生きてきた動物です。動物と一緒に生活するのですから、家が傷むのは覚悟しなければいけません。どうしても床を傷つけられたくないのであれば、傷がつきにくい素材を用いるなどの対策法もあります。いずれにせよ、犬と人間では習性が違うのですから、犬の習性や本能を知った上で対策を練りましょう。