日本人とクジラ
まず、「犬にクジラを与えるメリットと適切な与え方」の本題に入る前に、日本人とクジラの関りと、今、日本は捕鯨に関してどういう状況であるのかを簡単に説明したいと思います。
古代からクジラを食べていた日本人
日本人は、何と縄文時代からクジラを捕らえ、食べていました。
つまり、米を食べ始めた歴史よりも、クジラを食べ始めた歴史の方が古いということです。
国際捕鯨員会からの脱退
2018年12月、日本は国際捕鯨員会(IWC)から脱退しました。
脱退したことにおり、日本はIWCからの捕獲制限を受ける必要がなくなります。
ですから、2019年7月から、日本の領海と日本の捕鯨を許可している範囲に限って、商業捕鯨が再開されます。
おそらく、その時期以降に食肉売場にクジラ肉が陳列されることになるでしょう。
クジラ肉の栄養価
クジラ肉特有の栄養素
クジラは、抗疲労機能を持っており、筋肉持久や疲労回復に効果のある「バレニン」という栄養素が含まれています。
貧血予防に鉄分
クジラの肉に含まれている鉄分は、ミオグロビン鉄という種類で、体内に吸収されやすいという特徴があります。
犬にクジラの肉を与えるメリットと適切な与え方
アレルギーを起こしにくい
クジラは、汚染物質の影響が少ない海で生息し、その海で育ったたんぱく質などを食べて生きています。そのため、豚や牛などの家畜に比べてアレルギーを起こしにくいと言われています。
コラーゲン、コンドロイチンが豊富
クジラ肉には、皮膚の主成分で肌の弾力や被毛の艶が増すために必要なコラーゲンが多く含まれています。犬にコラーゲンを与えた場合は、新陳代謝が良くなり、老化を抑制する効果があります。
また、膝や股関節の軟骨は加齢とともに減少していきますが、クジラ肉に含まれているコンドロイチンは、老化防止に高い効果を発揮します。
食用となるクジラ肉
- ナガスクジラ
- イワシクジラ
- ミンククジラ
- マッコウクジラ
クジラ肉を生で与えても良いか
日本沿岸で捕獲される一部のクジラ以外、一度も冷凍しないで生で食べられるクジラ肉を手に入れることはかなり困難です。
また、そういったクジラ肉を生で食べるときには、いくつかリスクがあります。
メチル水銀
自然界の中で蓄積していく水銀です。摂取過多になれば、様々な健康被害が生じます。
特にイルカは体内のメチル水銀値が高いので、食用には向きません。
ですから、イルカの仲間であるクジラも同じようにメチル水銀値が高いため、あまり大量に生のままで食べると、水銀を体内に取り込んで蓄積していくことになります。
アニサキス
魚の胃袋や筋肉の中に寄生している微生物です。
人間の体内でも生きていけるため、腸に到達すると腸壁に咬みついて炎症を引き起こし、腹痛、嘔吐などの症状が出ます。
人間の場合だと、胃カメラを飲んでアニサキスの幼虫を体から引きずり出す処置が取られますが、もし、犬がアニサキスに寄生されると人間と同様の症状が出ます。
数日で治まりますが、もし、シニア期や体が弱っていたら、嘔吐や腹痛で体がさらに痛めつけられて、命が危険に晒されることも十分に考えられます。
クジラ肉の与え方
焼く
味をつけずに焼きます。
赤身肉なら、オリーブオイルや亜麻仁油など、良質な油を使って炒めても良いです。
茹でる
熱湯で中まで完全に火を通します。
トッピングやおやつとして与える
クジラ肉だけを食べさせるのではなく、ふだんの食事にトッピングしたり、おやつとして、少量与えたりするようにしましょう。
クジラ肉を与えるときの注意点
生食では与えない
メチル水銀、アニサキスなどのリスクを考慮すると、生食は避けた方が無難です。
ですが、マイナス20℃以下で冷凍された肉を解凍した刺身であれば、少量、特別なご褒美程度に食べさせてあげましょう。
脂身を与えすぎない
クジラ肉には、いろいろな部位があります。
皮下脂肪や内臓、舌など部位によって脂身が多い部分と少ない部分でかなり脂分に差があります。
クジラ肉に含まれる栄養素による健康効果を期待するなら、脂身の多い部分よりも赤身で筋肉質の部分の方こそ、オススメすべき食材です。
慣れない場合は、少しずつ
ニオイが気になって食べない…という場合は、他の肉と混ぜたり、ほんの少しだけ混ぜたりして、徐々に慣らしていきましょう。
まとめ
「クジラ肉など食べなくても生きていける」と言う人もいます。
ですが、牛や豚、鶏とそれぞれの肉にそれぞれの美味しさや栄養素があるように、クジラ肉にはクジラ肉の素晴らしさがあります。
近いうちに私たち人間もクジラ肉のおいしさを楽しめるようになったとき、愛犬にもその幸せをおすそ分けできればよいですね。