犬の強制給餌ってどんな処置?その目的と方法について

【獣医師監修】犬の強制給餌ってどんな処置?その目的と方法について

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「強制給餌」という処置を聞いたことはありますか?この記事では、どんな時に強制給餌が必要になるのか、そして実際に強制給餌を行う方法について説明します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 吉本 翔
  • (東京大学獣医学専攻博士課程/ペンシルバニア大学客員研究員 )

北海道大学獣医学部を次席で卒業。日本獣医師会会長賞受賞。東京大学にて動物のがんに関する研究を行いつつ、埼玉県にある動物病院で夜間救急獣医師として勤務していました。2018年よりアメリカのペンシルバニア大学に留学し、動物のがん免疫に関する研究をしています。国際学会発表や論文執筆を多数経験しており、獣医学研究に貢献できるよう日々精進しています。

犬の強制給餌とはどのような処置なのか

シリンジを咥えるチワワ

強制給餌という処置を知っていますか?名前だけ聞くと「強制」という言葉の印象もあり、少しビックリされる方もいらっしゃるかもしれません。犬の強制給餌とは、必要な食事量を食べることができなくなった犬に対して、食事を食べさせる処置のことを言います。

犬が必要な食事量を食べられなくなる原因として最も多いのは、やはり何らかの病気が原因で食欲が落ちてしまうことです。ふだん意識することはあまりないかもしれませんが、食べるという行為には体力を使います。

病気で食欲が落ち、体力がなくなってくると、今度は食事を食べるための体力すらなくなっていくという悪循環に陥ります。食事をとることができなければ、体調を回復させるための体力が戻ることもありません。これでは治療を行ったとしても、病気を治すことが難しくなってしまいます。

犬が体調を崩したときに点滴を行うことがありますが、動物病院で一般的に行われる点滴では生きていくために必要な栄養を摂ることはできません。一般的な点滴で補うことができるのは、水分や電解質、ビタミンといったもので、生きるために必要な栄養は食事でとる必要があるのです。

経腸栄養や経静脈栄養といった、消化管や大きな血管から必要な栄養分をチューブやカテーテルを介して投与する方法がありますが、設置するための処置が必要であり、管理を徹底しないと感染のリスクもあるため、気軽に行える方法ではありません。食べるということは、生きるためにとても大切な行為であり、それを助ける処置が強制給餌なのです。

強制給餌を始める前に

生肉の載ったお皿

食欲のない犬にいつもと同じ食事を与えたとしても、全く口にしないか、数口食べて止めてしまうことでしょう。そんなときには、まず犬が好きな物や香りの強いものといった、犬が食べてくれそうなものを与えてみてください。

お皿からは食べなくても、手からは食事を食べる場合もあります。食事を少し温めたり、ふやかす、一口サイズに丸めたりするといったひと工夫をしてみましょう。その犬ごとに「食べたい」という気持ちになるポイントは異なります。その犬に合わせた工夫を考えてみましょう。

自力で食べることで、必要な食事量を十分取ることができれば良いのですが、不足してしまう分は強制給餌を行いましょう。

犬の強制給餌を行うために

犬の口を開けさせている様子

強制給餌には手で行う方法と、シリンジで行う方法とがあります。どちらの場合も、栄養のあるフードをペースト状にしたものを用意しましょう。あらかじめペースト状になっているフードを使うと便利です。

食事制限がある場合には、そのフードをミキサーにかけ、ペースト状にすることもできます。用意したペースト状のフードは人肌に温めておくと犬が食べやすくなります。

手で行う強制給餌

ペースト状にしたフードを手で与えてみましょう。指にフードを乗せて、反対の手で口を開きます。

犬の口を開かせるには、犬歯の後ろに指を入れるようにマズルを掴んでみましょう。口が開いたらフードを上顎に塗り付けます。後はフードを飲み込んでくれるまで口を閉じさせましょう。この方法は、犬の口に手を入れなければならないため、咬まれないよう十分注意する必要があります。

投薬を行うときのように喉の奥にフードを入れる必要はありません。フードを、上の前歯の裏に置いてくるつもりで入れてあげましょう。フードは指に乗せやすいように、少し固めのペーストにすると良いでしょう。

シリンジで行う強制給餌

シリンジで強制給餌を行う場合は、動物病院で専用のシリンジを購入すると便利です。専用のシリンジは、口が大きくフードが詰まりにくい作りをしています。まずは、シリンジにペースト状のフードを詰めます。このとき、トントンと軽く衝撃を加えて空気を抜いておきましょう。

用意ができたら犬歯の裏からシリンジを差し込み、少しずつフードを流し込んでいきましょう。一度に口に入れる量は、その犬が一度に飲み込める量です。初めは嫌がったり、戸惑ったりする犬が多いので少しの量から始めていきましょう。

シリンジで強制給餌を行う場合、フードは粒の残らない、滑らかなペーストを用意しましょう。粒が残っていると、シリンジが詰まりやすくなってしまいます。またフードが口からこぼれたり、涎が出てしまったりすることも多いので、その都度拭きながら行うと良いでしょう。

まとめ

食事をする白い犬

強制給餌は、その名前から愛犬に行うには抵抗を持たれる方もいるかもしれません。ですが食べるという行為は体調が悪いときこそ重要です。愛犬がどうしても自分から食べられないときは、強制給餌という方法があることを思い出してください。

そして愛犬が自分から食事をした場合も、強制給餌をした場合も優しく声をかけ、体調不良で不安を感じているであろう愛犬を勇気づけてあげましょう。

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