散歩中、愛犬が草や枝を食べることはありませんか。横道の草や公園の草を一心不乱にむしって食べたり、枯れ落ちた枝をボリボリと噛み砕いたりする様子は、多くの犬に見られます。見守る飼い主さんも、止めに入る飼い主さんも、はたまた不思議に思っている飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
犬にとっては一般的であるこの行動ですが、どういった意味があるのでしょうか。また、辺りに生える草や枝を食べて害はないのでしょうか。ここでは、犬が草や枝を食べる行動について、その理由や注意点を詳しくご紹介いたします。
なぜ犬は草や枝を食べるのか
体調を整えるため
犬が草を食べるときは、胃腸の調子が悪い場合が多いと言われます。何げなく食べているように見える草ですが、じつは犬はその種類を選んでいるそう。それは、先が尖っていて細長いイネ科の植物。
確かに、我が家の犬も茎のない細長い草を夢中で食べていたような気がします。なぜこのような植物を選ぶのかというと、先の尖った葉で胃を刺激して、胃の中のものを吐き出そうとしているためだそう。更に葉酸の摂取や代謝上昇、利尿効果も見込めるとのことで、たまにこういった植物を食べることに関して問題はありません。
ストレスによるもの
犬が草を食べる様子が、落ち着いてゆったりとしている場合は上記の通り問題ありません。しかし、あまりに必死な様子で草を食べ続けてはいないでしょうか。
飼い主の声も届かないほど夢中になっている場合は、要注意。ストレスにより草を食べているケースが考えられます。ストレスは体調不良の元であり、早急なストレス原因の除去が求められます。
枝を食べるのは危険
枝を食べる理由はミネラル補給であったり、遊びのひとつであったりするのですが、あまりお勧めはできません。草は消化しにくいとはいえ、ある程度分解されますが、枝は消化されません。鋭利な枝は危険ですし、食べさせない方が良いでしょう。
草や枝を食べることによる危険
辺りの草むらは犬にとって安全とは限りません。薬や虫など、リスクはたくさん。その注意点を以下にまとめてみました。
薬品使用の可能性
業者の方々が、草むらに薬品を撒く様子を見たことはないでしょうか。そのように公園や様々な施設、土地には防虫や防草のための薬品が撒かれていることが多くあります。
それらは劇薬であることも多く、そんな薬の付着した草を食べてしまうと健康への影響は計り知れません。大丈夫と思っている場所でも、知らない間に薬品が撒かれている可能性もあるので危険です。
寄生虫の付着
植物には様々な虫が付着している可能性が高く、中には危険な虫も。それらは体内の寄生虫の原因となったり、食べる際に刺したり噛んだりかぶれたりと、外傷の原因となることもあります。また体自体にノミやダニが付着する可能性も。飼い主による観察と、ノミダニ対策は必須です。
危険植物の判断
犬には口に入れてはいけない植物がたくさん。アジサイやツツジをはじめ、キキョウやユリなど、野生でもガーデニングとしても身近な植物に危険が潜むのです。かなり激しい症状を引き起こすものもあり、注意が必要です。
内臓を傷つける可能性
枝を食べると、鋭利な枝が内臓を傷つける可能性があります。噛んで飲み込んだとはいえ、割けた枝の先は尖っているもの。消化しないので、ずっと体内に尖った枝がある状態が続く場合もありますし、狭く長い消化器官を流れるうちに細胞を傷つけたり、また食べるときに口内を怪我したりとリスクが高いのです。
感染症の可能性
草むらには、様々な動物が糞や尿をしている可能性があります。例えばレプトスピラに感染している小動物が尿をしていたらどうでしょう。
その尿が付着した草を食べてしまうと、感染のリスクはかなり高くなります。ワクチンによる予防はもちろんですが、感染症という恐ろしいリスクについても考えておきましょう。
安全な草を育てることも大切
犬は草を食べたそうだけど、安全性が気になるという方にはペットの食用草がおすすめ。既に草が生え揃っているものから、種、栽培キットなど多くのメーカーから販売されています。
自分で育てられるので安心。価格も千円以下のものが多く良心的。ペットショップやホームセンター、ネットショップなど、多くの店舗で販売されています。
適切な判断を!
犬が草や枝を食べる理由や危険性について述べて参りました。何げなくこの行動を受け入れていた方も多いかと思いますが、意外とリスクの高い行動なのです。もちろん犬の本能による体調管理法であるため、悪いこととは言えません。
ただし自然で安全な草というものは現代ではあまり存在せず、好きなように犬に草を食べさせて良いのかどうかは難しいところ。飼い主さんが犬自身と環境をよく観察し、適切な判断を行いましょう。