犬の消化器官が人間とは違うことをご存じでしょうか。人間と犬は食べ物の食べ方も違えば、消化の仕方も違い、消化できるものにも差があります。毎日ともに生活していても、その仕組みは根本的に違っているのです。
そしてあらゆる面から愛犬の健康を保つためには、犬の消化器官の仕組みを理解しておくことも必要です。ここからは、犬を飼っている方なら知っておきたい犬の消化器官についてご説明いたします。
犬の消化とは
唾液
人間と違い、犬の唾液には消化酵素は含まれません。よって口内で食べ物の消化はしておらず、そのまま胃へと流れます。
胃
犬が口に入れた物が胃に入るまでは何とたった5秒ほど。ほとんど噛まずに丸呑みしてしまうため、そのままの形で胃に落ちてきます。胃では分解酵素を含む胃液により、タンパク質を分解します。
この胃液は、食べ物の匂いを嗅いだり、食べ物を口に入れたりすることで分泌されます。胃の中で食べ物は、柔らかくドロドロとした状態になり、次の消化器官へと流れていきます。
小腸
小腸では食べた物を更に小さく分解していきます。ここでタンパク質はアミノ酸へと、脂肪は脂肪酸やグリセリンへ、炭水化物は糖へ変化します。膵臓や肝臓からの消化液も小腸内へ流れ込み、分解した栄養素を更に吸収しやすく変化させ、吸収していきます。
大腸
小腸で栄養を吸収された後に残った不要物は大腸へと運ばれます。ここでは水分が吸収され、残った物で便が作られ、最終的に排出されます。
犬の消化器官
犬の消化器官は人と比べて短いのが特徴的です。それは哺乳類の中で最も短いと言われるほど。よって人間は食べ物を口に入れてから排出するまで24時間〜72時間かかりますが、犬はこれを12~24時間で行います。
繊維の多い野菜の消化は不得意で、与えすぎると消化不良を起こしたり、ガス溜まりを起こしたりすることがあります。
犬の消化器疾患
犬の消化器疾患は発症率がかなり高く、犬を飼っている方なら一度は経験があるかと思います。症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 下痢や軟便
- 便秘
- 嘔吐
- お腹の張り
- ガス
- 食欲低下
これらの症状は、一時的であることがほとんどです。その場合は動物病院で処方された胃腸薬を与えたり、フードをふやかしたり、胃腸を休ませたりすることで、数日あれば正常な状態に戻ります。
しかし何らかの根本的原因により起こっていることもあります。
消化器疾患の根本的な3つの原因
1.アレルギー
食べ物によるアレルギーの場合。このアレルギー反応により、消化不良を起こすことがあります。個体によって反応も反応する食べ物も違うので、下痢や軟便が続いたり嘔吐したりする場合はフードを疑ってみましょう。消化器官に優しい専用フードも販売されているので、獣医師と相談の上、試してみましょう。
2.ストレス
犬のストレスは、便に現れることがよくあります。理想の便は硬すぎず柔らかすぎず、処理したときに地面に便がつかない程度のもの。何らかのストレスを抱えた犬は軟便になったり、便秘になったりと排便に異常をきたすことがあります。
対策としてはストレスの原因を取り除くこと。環境の変化や長時間の留守番、運動不足、スキンシップ不足などは、犬にとって大きなストレスとなるので解決が求められます。
3.消化器官の炎症
胃炎や腸炎といった消化器官の炎症によるもの。この炎症により消化器官の働きがうまくいかず、嘔吐や下痢といった症状が起こります。感染によるものやストレスを発端としたもの、異物誤飲によるものなど炎症の原因は様々です。病院での検査を行いましょう。
体調チェックを欠かさずに
犬の消化の仕組みと疾患についてご紹介して参りました。犬は人間のように、痛みを言葉で発する事はせず、ある程度の痛みなら耐えてしまいますが、やはり胃痛や腹痛は辛いもの。大切な愛犬に痛い思いをさせないためにも、体調の変化を見逃さないようにしましょう。
特に犬の場合、便は体調のバロメーターとも言われます。毎日便の状態をチェックすることはもちろん、異常が見られるようなら動物病院の受診をおすすめします。