①口の中が不衛生
愛犬の口の中を観察してみましょう。歯が茶色や黄色っぽかったり、歯茎が腫れたりしていませんか?ガーゼで犬の歯を拭いてニオイを嗅いでみましょう。ひどいニオイがしませんか?もしこれらのことがみられる場合、口臭の原因は「口の中の不衛生」が考えられます。
歯や歯茎、歯肉の隙間などに食べカスが溜まると、やがて歯垢となります。歯を触ってみると分かるのですが、ネバネバしているものが歯垢です。雑菌が歯垢を栄養にして繁殖することで、強いニオイが発生してしまうのです。
対策
毎日のデンタルケアが効果的といえます。可能であれば、毎食後にハミガキをしましょう。ガーゼを細長く取り、指に巻き付けます。犬の唇をめくって、歯と歯茎の間の食べカスをガーゼでかき出すように取り除きます。歯茎から血が出ないよう、優しく磨いてあげましょう。
子犬の社会化期の頃からハミガキを習慣化していると、成犬になってからもお手入れが楽です。できない場合は、定期的に動物病院やドッグサロンに通ってケアしてもらいましょう。
②歯周病になっている
ハミガキなどのデンタルケアをしないで放置していると、歯垢が歯石になって沈着したり、歯茎を押し上げるまでに歯石が蓄積され、歯肉に膿がたまって炎症が起こったりする可能性があります。これを「歯周病」といいます。
歯周病になると、歯垢だけでなく歯茎からもニオイが発生しているので、強烈な口臭となります。歯が抜けてしまい、最悪の場合アゴの骨までも溶けるケースもあるそうです。さらに雑菌が血と混ざって全身に巡ると、腎臓や心臓にまで達し、全身疾患を引き起こす場合もあります。
対策
すぐに動物病院で診てもらいましょう。歯周病にまで症状が進行していると、炎症部分の治療のため抜歯しなければなりません。全身麻酔も必須になることから、大きな負担となるでしょう。
③胃腸の調子が悪い
歯が茶色や黄色っぽかったり歯茎が腫れていない、また歯のニオイを嗅いでクサイと感じたりしない場合、口臭の原因は「胃腸の調子が悪いこと」と考えられます。
また、デンタルケアをしても改善がみられない場合も、胃腸の調子が原因という線が濃厚でしょう。あくびをしたときに感じる強いニオイは、胃腸内からのニオイと考えられます。
また食事の内容も、口臭の原因として重要です。人間と共生するようになった現在の犬は、脂質やタンパク質、油分などが多い食事をとるようになりました。
ドッグフードは炭水化物が多く含まれているため、歯に食べカスとして溜まりやすいといわれています。
腸内には何億個もの雑菌が存在していますが、その中でも「悪玉菌」が腸内環境を悪化させます。脂質の過剰摂取やストレスにより悪玉菌が増殖します。脂質やタンパク質炭水化物などを分解することで様々な物質が発生し、ニオイの原因となるアンモニアはタンパク質を分解した結果作られます。
対策
ヨーグルトを与える
家庭でもすぐに試せるのが、無糖のヨーグルトです。乳酸菌が悪玉菌を減少させ、腸内環境を整えます。1日に、スプーン1杯のヨーグルトを2回与えましょう。ヨーグルト初めてあげるときには下痢を起こす可能性がありますので、少量から始めてください。乳酸菌のサプリメントを利用するのも良いでしょう。
フードの見直し
半生のフードや缶詰は一般的に歯石が付きやすいといわれています。ベタベタした残渣が残りにくいドライフードをお勧めします。うまく消化できないフードは便のにおいも強くなりますので、便のにおいがきつい場合はフードを変更するのも良いでしょう。
急に変えると食べない可能性が高いので、既存のフードに少しずつ混ぜながら、1週間ほどかけて徐々に変えていきましょう。
④食糞をしている
食糞とはその名の通り、ウンチを食べることをいいます。食糞をしている場合、歯にウンチが付いて強烈なニオイを発します。
人間から見ると考えられない行為ですが、犬を始めとした動物にとっては本能で、よくある光景といわれています。しかし本能に基づいているとはいえ、許してはいけない行為なので、しつけをして止めさせましょう。
犬の食糞には、様々な原因が挙げられます。
- 子犬:遊びの一環として食べてしまう、興味本位や好奇心。
- 母犬:子犬のウンチを食べることで、巣の衛生面を保つ。本能に基づくもの。
- 成犬:トイレの失敗を隠す、ストレスが溜まっている、食事が足りない、飼い主の気を引く、など。
- 老犬:食事をしたことを忘れているなどの、痴呆の可能性。
対策
食糞は健康に害を及ぼします。食糞をさせないようにしつけましょう。
飼い主の気を引くために食糞している場合
犬が食糞をしそうなとき、静かにすばやく片付けましょう。叱ったり騒いだりすると、「構ってもらえた!」と犬は喜んでしまいます。そのあとも無視をし続けることで、「食べても構ってもらえない」「食べても意味がない」と学習してくれます。
ストレスが溜まっている場合
ストレスが溜まっている場合、運動不足やコミュニケーション不足が考えられます。散歩は毎日行き、長いお留守番をしてくれたときには、思いっきり褒めて構ってあげましょう。
食事が少ない場合
食事が少なく、お腹が空いて食糞をしてしまう可能性があります。犬種や年齢、体格によって食事内容や量は変動するので、きちんと調べて与えましょう。1日の食事量は変えず、食事回数3回や4回に増やすことも効果的です。
まとめ
人はみんな毎日ハミガキをしますよね。犬も同じで、できれば毎日毎食後にハミガキをしてあげましょう。
飼い主さんもハミガキに慣れてきたら、数分で終わる作業です。愛犬とのコミュニケーションの時間にもなり、また歯を毎日見ることで異変にも気づきやすくなるなど、ハミガキにはたくさんのメリットがあります。しかしハミガキをしただけではとれないほど、歯石は根強く、頑丈です。
なかなか取り除けないときや、症状が悪化してきたなどの変化がみられたら、動物病院で診てもらい、歯石を取ってもらうのが一番良いでしょう。