犬の水分摂取で気をつけること
暑い季節になり水分をよく摂る季節になりましたが、皆さんは愛犬の摂る水分量を気にしていらっしゃいますか。犬の水分摂取量には、体調変化の兆候が現れることが多く、注意が必要です。
ここでは犬と水との関係について、「役割」、「必要水分摂取量」、「多飲に関する病気」、「与える水の種類」という4つの観点から述べていきます。
犬にとっての水の役割
体内の水分は、体の半分以上をしめており、体を健康に保つためにはとても大切なものです。呼気や尿による体温調節の際にも必要となる、生命維持に不可欠なものです。
犬の必要水分摂取量とは
色々な計算式があるようですが、そのうちの一つである1日の水分摂取量の計算式は、「132×ペットの体重kg×0.75乗」です。
また、目安としては体重1㎏あたり50mlほどの水分を摂っているのが正常だとも言われます。これが1㎏あたりり100ml程になると、多飲にあたります。
普段から目盛りのある給水機やペットボトルなどで量を計りながら与えると、1日に飲んだ水分量がわかりやすいですね。
ただし、この推奨水分量はあくまで目安になります。犬には、環境や個体による差がありますので、決まった量しか与えないのではなく、いつでも新鮮な水を飲むことができる環境にし、その様子・量を飼い主が観察するようにしましょう。
多飲による病気
犬が水を摂取する量が、普段と比べて急に増加した時には、注意が必要。多飲は病気の兆候であることがあります。
水分多飲の症状が出る病気をご紹介します。
多飲の症状が出る病気の例
- 糖尿病→体内の糖分が増え、尿を作る過程で吸収できないほどの糖が尿に増えることで尿量が増え、お水をより飲んでしまうことで多飲多尿に。糖尿病は他の様々な病気の原因にも。
- 慢性腎臓病→腎臓の働きが徐々に低下。原因は色々と考えられているが、症状としては多飲多尿の他に毛艶の悪化や、食欲不振、嘔吐、下痢等
- 子宮蓄膿症→避妊手術をしていない雌に発症し、子宮内に雑菌が繁殖し膿が溜まる病気。ヒートの1~2ヶ月後や、比較的高齢の犬に多く、多飲の他に食欲不振、膿状の分泌物等の症状が。放っておくと命にもかかわる怖い病気。
- クッシング症候群→必要以上のホルモンが分泌される病気。食欲過剰、脱毛や腹部下垂、元気がないといった症状が出、様々な病気に繋がりやすい。
多飲は普段と犬の様子が違うということ。つまり、体内で異常が起こっていることも考えられるのです。また、摂る水分量が増えるということは、尿の量が増えている可能性も高くなります。飲んだ水の量だけでなく、尿の量もある程度把握しておきたいですね。
ただし、運動後や暑い時など、健康な状態であっても普段より沢山の水を飲むことはあります。水を与える量が不十分で熱中症になってしまった、なんてことにならないよう気をつけましょう。
与える水の種類は?
犬にミネラルウォーターを与えると、含まれるミネラル分により、尿結石になりやすいと言われています。硬水にはミネラル分がかなり多い為飲料水として与えるのは避けたいところですが、日本で多く販売されている軟水程度のミネラル量なら問題ないとの声も。
実はこのミネラルウォーターが尿結石につながるという説は正式な立証がされていないそうですが、一般的によく知られている説なので少し心配になりますね。そこで我が家では、しばしば与えていた軟水のミネラルウォーターをやめて、普通の水道水に切り替えました。
日本の水道水は品質管理がきちんとなされている為、日常的に与えて問題ないそう。水道水は塩素が気になるとおっしゃる方もいますが、その量は微々たるものです。人間が日常的に使用していて問題ないように、犬に飲ませることによる悪影響はないとのこと。心配であれば一度加熱して冷ましてからあげてもいいかもしれません。
ペットショップでは、ペットボトルに入った犬用の飲料水も販売されています。それらの水はミネラル分が除去されており、他の栄養分が入っているものも。少し費用は嵩みますが、こういった商品を活用するのもひとつです。
水は命の源!
人間にとってそうであるように、犬にとっても水は、身体を作る大切な要素です。それを管理し与え、観察するのは、飼い主の重要な役割。特に今年は猛暑が厳しい為、犬の体内水分量は減少しやすく、また水の新鮮度も損なわれやすい環境となっています。
いつでも新鮮なお水を好きなだけ飲むことが出来るよう、配慮してあげましょう。そして、病気を早期発見する為にも、愛犬の適切な摂取水分量を知る事が大切なのです。