生後3か月 仔犬を迎えてからの1年間の健康診断のスケジュール
①初めての健康診断 生後3か月
生後3か月の仔犬は、ショップやブリーダーのもとで1回、2回目のワクチン接種を済ませて家族のもとへやってきます。
- 全身の触診
- 排泄や食事量の確認
- 目や耳の機能の確認
主に、飼い主さんへの問診と触診で健康診断を行います。
②狂犬病予防接種 生後3か月~4か月
ワクチンを3回接種する場合、2回目のワクチンの次に狂犬病予防接種を済ませます。
狂犬病予防接種を済ませ、各地町村へ畜犬登録を済ませ、狂犬病予防接種済み証と鑑札を受け取ります。
狂犬病予防接種から2週間を空けて3回目のワクチン接種を済ませ、お散歩やトリミングデビューとなります。
③フィラリア症予防薬の開始
お散歩デビューに合わせて、フィラリア症の予防を始めます。
成長期の時期は毎月、体重が増えていくので成犬期(維持期)に入り、体重の増加が止まるころまでは、フィラリア症の予防薬は毎月、体重測定をしてから処方してもらいます。
④生後6か月(小型犬)~12か月(大型犬)
避妊、去勢手術の適応年齢です。
小型犬種では、早い個体では生後6~8か月くらいで最初のヒートが来ます。
大型犬種では、早い個体では生後8~10か月くらいで最初のヒートが来ます。
日本のペット医療では、病気の予防効果、ホルモン作用によるストレスの軽減、体へのリスクなどを総合的にみると、生後半年を過ぎたら、避妊去勢手術をうける適応月齢と考えられています。
避妊去勢手術を受ける際に、初めての全身の総合健康診断を行います。動物病院によって行う項目は変わります。健康診断の内容については獣医師とよく話し合って決めてください。
- 血液検査(血球検査、生化学検査)
- レントゲン検査(心臓、骨格、股関節)
生後1歳~7歳までの 年間健康診断のスケジュール
⑤毎年3月にフィラリア検査と血液検査がセットになった健康診断を受ける
3月~4月には、狂犬病予防接種のお知らせが各市町村から届きますので、年に1度摂種します。
フィラリア検査が陰性であれば、同年12月まで、フィラリア症予防薬の投与をします。
このときに一緒に受けておきたいのが、レントゲン検査とエコー検査です。
心臓、肺、胃、骨格、股関節などは、何も異常がなくても、1年に一度は検査を受けさせてあげるのが、病気の早期発見に繋がります。
生後7歳~10歳まで 半年に1度の健康診断のスケジュール
⑥犬の平均寿命の半分を過ぎたら、シニア期に入ると考えられており、7歳を過ぎると様々な病気の発病や発見が多くなる
目に見て分かる病気の症状や、加齢に伴う生活習慣の変化や、体力、食欲の低下や変化も少しずつですが感じられるようになってきます。
毎年1度のフィラリア検査と血液検査(レントゲン検査とエコー検査含む)、狂犬病予防接種を3月~4月に受けている場合は、半年後の8月~9月に秋にも同じ健康診断を受けるのが理想的です。(フィラリア検査は年に1度)
生後10歳~寿命まで 3か月に一度の健康診断のスケジュール
⑦10歳以降になるとハイシニア期、人間でいうと超高齢者と同じ
1年に2度の詳細な総合健康診断は続けながら、3か月に1度は獣医師による触診をうけるようにしましょう。
無症状でも、様々な病気が隠れていてもおかしくない年齢です。
生涯を通して受ける健康診断の回数と費用
14歳まで、何の病気もなく予防医療だけで天寿を全うできるとすると、生後3か月からトータルでうける健康診断は30回以上で40万円以上。(ワクチン接種、体重測定のみを含まない)
フィラリア症予防薬は生涯で120個~128個くらい。小型犬種で25万円以上、大型犬種では50万円以上になります。
この他に、生涯のワクチン代に12万円~18万円。(6種~10種の混合ワクチン+狂犬病予防接種)
病気やケガで治療が必要になった場合には、さらに病院へ通うことになり治療費がかかります。
元気で当たり前のように過ぎていく毎日ですが、14年間何の異常もなく健康であっても、予防医療にはお金もかかります。
また、未然に予防できる病気を発症してしまった場合、ペット保険の支払い対象外となり、保険加入していても医療費は全額自己負担となります。
※費用はあくまでも目安の金額です。再診料、フィラリア検査料、などは含まれず、ワクチンの値段やフィラリア予防薬の値段は、関東地方の平均値をご紹介しています。
犬の生涯の健康診断にかかるトータル費用を、月々で考えればわずかな出費かもしれませんが、さらに予防医療+飼育費用を平均14年間ずっと支払った場合、金額は大きくなります。高額な治療費が必要になる病気になった場合はなおさらです。
犬の飼育には、終生適正飼育ができるかどうかを慎重に判断することも大切です。
定期的な健康診断で 愛犬の体に合わせた食事を考える
ペット専用の総合栄養食は、全年齢、全犬種に対応している栄養バランスのとれたフードが人気です。ですが、1歳の犬と10歳の犬では、必要なエネルギー量も成分も異なって当然です。
定期的に血液検査をうけていくと、内臓の衰えや体に不足している必要栄養素が何かを知ることができる場合もあります。
病気の早期発見への一番の近道は定期健診ですが、体の衰えやシニア期、ハイシニア期に向けて、早くから栄養面で体を支える食事管理をするためにも、全身状態の把握は重要です。
まとめ
愛犬の生涯に必要な健康診断や予防医療費用について皆さんはどのようにお感じになったでしょうか?
14年という人間に比べれば短い命ですが、現代はペットも高齢化社会です。
亡くなるときは、何らかの病気の治療を経て亡くなる犬がほとんどです。これは食事、環境、予防医療への意識の高まりで、良い環境で長生きできたからこそ、多くの飼い主さんが向き合うことになる現実です。
ペット医療保険への加入が年々増加傾向にあります。動物の治療も高度化してきており、それに伴って治療費も上昇傾向にありますので、ペットの保険も多くの種類があります。掛け金や内容は様々ですので、加入の際にはよく内容を把握して検討しましょう。
さらに元気な年齢からの健康診断や予防医療をしっかり行うことや、成長期、維持期、シニア期の愛犬の体の状態を把握しておくことは元気で長生きにつながります。
どんなに健康に気を付けていても病気にはなってしまいますが、早期発見、早期治療は定期検診や少しの異常でも早めに診察を受けることで可能になります。
ぜひ、愛犬の健康診断の必要性、適切な検診スケジュールについて考えていただけるきっかけになれば幸いです。