犬にとっての排泄とは
犬にとって排泄とは、単純に体内の老廃物を排出するだけではなく「マーキング」の意味もあります。散歩の途中など、通りに面した目立つ場所へ自分のにおいを残すことで縄張りを主張したり、存在をアピールしたりするのです。
道端の電柱のなるべく高いところにおしっこをかけるのも、においのするところへうんちをするのも、「自分はこんなに大きくて、ここにいるんだぞ」というアピールです。
しかし現代の日本においては犬も室内飼いが多くなったため、トイレも室内で済ます場合が増加しています。そのため、以前では散歩の最中に勝手に排泄していた様子を室内で観察できるようになり、飼い主は排泄時の異常に気づきやすくなりました。
便の硬い、ゆるいはもちろん、尿の色、頻度、タイミングなどは体調管理に重要ですが、外に散歩に行くときだけの排泄ではよく観察できません。このような観察ができるようになったことで、排便時に犬が鳴くという相談が増えたようです。
犬が排便時に鳴く理由
犬たちが排便時に鳴く、という相談はネット上にたくさんあります。年齢や鳴き方は様々で、排便するときにキャンっと一声あげる場合や、排便ポーズになる前に大騒ぎする場合、悲痛な声で鳴きづづける場合などが多いようです。
では、鳴いている理由として考えられるものは何でしょう。
1.排便時の痛み
人間も便秘をしていると、ものすごくお尻やお腹が痛むことがありますね。犬も同様で、便が極端に硬くなったり腸の動きが激しすぎたりすることでお尻やお腹に痛みが発生します。
特に犬は痛みに強い生き物ですから、よほどの痛みでない限り声を上げることはありません。ぐっと我慢しています。それがキャンっと鳴いてしまうほどなので、相当辛いに違いありません。
排便するその瞬間に痛むのか、それとも腸が動いて便意を催すと痛むのか、鳴くタイミングとその長さを観察する必要があります。
2.排便アピール
人間の幼児もトイレトレーニングをすると、便意を催すと親に知らせようとします。また、トイレで排便・排尿をすると親に褒めてもらえるため、「出たー!」というアピールを行います。
犬の場合もこれに似た行動があるようです。
トイレに行きたいと訴えるとトイレシートのところへ誘導してもらえる、トイレトレーニングなどでトイレシートにちゃんとできると褒めてもらえる、などを覚えた犬は排便を終えると褒めてほしくて興奮し、ついつい吠えてしまうことがあります。
これらの行動はトイレに誘導してあげて排泄が終わると収まったり、トイレでできたことをちゃんと褒めてあげると収まったりすることが多いようです。あまりにうるさく吠えて困るといった場合は、無駄吠え対策のしつけを考えてみるといいかもしれません。
また、犬の性格によってなのですが、ちょっときれい好きなタイプの犬の場合はトイレや自分の目につくところに自分の排せつ物があるとイヤがることがあります。こういうタイプの犬はトイレに自分のうんちがあることもイヤがるので、「早く片付けて!」というつもりで吠えることもあるようですよ。
排便時に痛がる場合
排便の際に痛くて鳴いてしまう場合、便秘かもという程度で様子を見るだけでなく早急に対処する必要があることもあります。
単純な便秘であれば整腸剤やヨーグルト、食物繊維や水分の補給で緩和されることが多いのですが、痛みの理由が便秘だけとは限りません。
排便前も痛がるそぶりがあるので病院で腸の検査をしてもらったら直腸の腫瘍があったとか、オスの場合は前立腺の病気だったりすることがあるようです。
また排便するときのみ悲痛な声で鳴く、といった場合は肛門腺がパンパンだったという話もあります。
いずれにせよ、排便時の声がせつなそうだったり痛そうな仕草が見られたときは獣医さんに早めに相談してみてください。
まとめ
いかがでしょうか。
排便、排尿の観察は健康管理をするうえでも重要です。おしっこやうんちの様子だけでなく、急に吠えるようになったり粗相をするようになったりした時も、実は体の中で異常が起こっていることもあります。
いつもとちょっと違うな、と思ったらぜひ病院へ相談してみてくださいね。