犬のBUN値は高くても低くても危険!その原因や病気、治療法まで

【獣医師監修】犬のBUN値は高くても低くても危険!その原因や病気、治療法まで

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BUN(血中尿素窒素、blood urea nitrogen)とは血液中に含まれる尿素に含まれる窒素を測定して値を導き出した結果です。健康な犬でも健康診断などでは必ず血液検査の項目に含まれています。今回はこのBUN値について詳しくご紹介します。犬の健康管理にぜひ、役立ててください。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬のBUN値が高くても低くても危険な理由

注射と犬

犬の健康診断などで血液検査を受けると、たくさんの検査項目の結果をもとに獣医師から説明を受けます。(※血液検査の正常値については、血液検査報告書に参考値が書かれています)検査結果で、犬のBUN値が正常値を外れていた場合どのような危険があるのかご紹介します。

犬のBUN値で何が分かるのか

BUN値(血中尿素窒素)は体内循環が深く関係し、主に以下の4つの臓器低下があると正常値を外れます。

  • 腎臓
  • 肝臓
  • 心臓
  • 尿路

そして、「脱水、低酸素状態、炎症」が何らかの原因で起こっている時も、犬のBUNは正常値を外れます。

とくに「腎臓、心臓、肝臓」この3つうちどれか1つでも異常があると、残りの2つの臓器も影響を受けやすくBUN値に現れます。タンパク質を摂取すると、体内で分解される時にアンモニアがつくられます(分解産物)。

これが体内の二酸化炭素と結合し肝臓を通って尿素に変化します。この時尿素の中に窒素が含まれていますが、最終的に腎臓でろ過され尿として体外に排出されます。

この時に、腎臓で正常なろ過が行われずに血液中に窒素がたくさん残っていると、犬のBUN数値が高くなり、肝臓機能低下やタンパク質の摂取障害などでBUN値は低くなります。

つまり、犬のBUN値では主に「腎臓、肝臓」の機能低下や異常が分かります。

犬のBUN値が高い時の体の状態

犬のBUN値が正常値を外れ高くなっている時、体内では脱水や尿毒症、尿路閉塞、中毒症、低酸素状態などを引き起こしています。血液は尿素窒素が多く含まれた状態で全身循環しているのでBUN値が高値になればなるほど重篤な尿毒症の状態です。尿毒症はとても恐ろしい症状で、さまざまな臓器の働きを妨げて絶命の危険が高くなります。

犬のBUN値が低い時の体の状態

肝機能の低下や停止、タンパク質の摂取障害などでBUN値は低くなります。服薬や食事制限がないにも関わらず、犬のBUN値が正常値を外れて低くなっている時にも体内で異常が発生しているサインです。

犬のBUN値が高過ぎても低過ぎても体内では異常が起こっているサイン

緊急性のある場合、犬のBUN値は正常値をはるかに超え高値になります。ですが、単純にBUN値が低ければ良いというわけではなく正常値を下回って低値でも、そのままにしておくといずれは重篤な症状を引き起こしてしまいます。

犬のBUN値の正常値は「6~31mg/dl」です。(検査機械や検査メーカーによって異なるので参考値)正常値の範囲内でも3段階~6段階ほどに分けられ値が分かります。正常値の範囲内であっても低値、高値を把握できると病気の早期発見につながり、治療や改善などに役立てることができます。

犬のBUN値が原因で考えられる病気

伏せて顎を持たれている犬

犬のBUN値が正常値を外れる原因として考えられる病気は数多くあります。BUN値だけを見て病気の特定をすることはありませんが、緊急時にBUN値が高値の場合には重篤な尿毒症の状態で命の危険があるので、まずは尿毒症の改善治療が優先されることもあります。

犬のBUN値に異常をきたすさまざまな病気や症状

  • 腎機能低下、腎不全、腎炎、腎臓腫瘍
  • 心臓疾患、心不全、
  • 敗血症
  • 肝機能低下、肝炎、肝硬変
  • 潰瘍、炎症、やけど
  • 脱水、熱中症、尿崩症
  • 腎結石、尿路結石、膀胱がん
  • 栄養失調、摂食障害
  • 中毒、毒物
  • 低酸素、低血圧
  • 妊娠

など

犬のBUN値はさまざまな臓器の異常や疾患で数値に現れます。体内を巡る血液、水分、酸素は常に有害な物質と有益な物質に分けられ、分解され変化し吸収、排泄されながら体を支えています。BUN値は体を支えるために重要な体内循環の異常を示す重要な値であることが分かります。

犬のBUN値とクレアチニン値

腎機能の低下によるBUN値の上昇は、クレアチニン値(CRE)の結果もあわせて現状把握をします。クレアチニンも同じように、クレアチンリン酸という代謝物質が腎臓でろ過されて尿と一緒に体外へ排出されます。

そのため、犬のBUN値が高値になっている時にクレアチニン値も高値になっている時は、急性、慢性の腎不全と診断されます。

クレアチニン値は、BUN値のように前日の食事などの影響を受けない数値なので、腎臓病の病気のステージの把握、機能している腎臓の状態を把握するために欠かせない数値です。

クレアチニン値の正常値は「0.4~1.6 mg/dl」です。(検査機械や検査メーカーによって異なるので参考値)また、クレアチニンは筋肉でつくられるため、筋肉量によっては低値になります。

クレアチニン値で分かる腎機能

  • 初期:クレアチニン値1.4  40%~30%の腎臓が機能している
  • 初期~中期:クレアチニン値1.4~2.0 25%~15%の腎臓が機能している 
  • 中期~末期:クレアチニン値2.1~5.0 10%以下の腎臓が機能している
  • 末期:クレアチニン値5.0 5%以下の腎臓が機能している
  • 急性腎不全、中毒症:クレアチニン値5.0以上

犬のBUN値の治療法

ぐっすり寝ている犬

犬のBUN値を正常値に保つことはとても重要ですが、BUN値だけを見て治療の判断はできませんので、なぜBUN値が正常値から外れたのか根本原因の特定が肝心です。そのためには、血液検査のBUN値以外の結果、その他の検査が必要になります。

犬のBUN値の治療法

犬のBUN値の治療に大切なのは、根本治療と合わせて体内循環を促すことです。血液の循環が悪くなったり、腎臓でろ過できなくなったりした尿素窒素の分解、排泄を促す治療が最も効果的です。BUN値が高値の場合、犬はぐったりします。

尿毒症の状態の時には静脈点滴で、血液循環を促し尿から毒素を排出させます。また、末期の腎不全になると腎臓はほとんど機能しなくなるので、人工透析や腹膜透析で有害物質の排除をすると、BUN値は一時的に正常値内、もしくは降下します。

犬のBUN値は食事療法で改善できる

尿素窒素は、タンパク質の摂取による分解産物です。そのためタンパク質の摂取量を調整すると、犬のBUN値の治療へつながります。腎不全の場合、最も効果がある食事は腎臓病専用フードです。腎臓に負担をかけない低タンパク食なので、BUN値のコントロールに役立ちます。

犬の場合、とくに食事による影響がすぐに体に現れてくれることが多く、BUN値がとても高い状態からでも、食事療法によって大きく改善してくれることが多いようです。

低タンパク状態でBUN値が下がり過ぎてしまうと、栄養失調状態になってしまいます。排尿量と肝臓の状態によっては、食事や投薬によるBUN値のコントロールが必要です。

注意点

血液検査の前日に高たんぱくな食事をとらせると、臓器に異常がなくてもBUN値は高くなります。犬のBUN値は、食事内容の影響がすぐに表れます。また、排尿を長時間我慢させた状態や飲水を長時間我慢させた状態でもBUN値は上がります。

犬のBUN値とリンとカルシウムとタンパク質の関係

犬のBUN値の改善には欠かせない、リンとカルシムとタンパク質の関係があります。腎臓機能が低下すると、尿素窒素がろ過されず血液中に多く残ってしまいます。そのためタンパク質の制限はBUN値の改善に効果があります。

ですが、極端にタンパク質を制限し過ぎてしまうと、体に必要な栄養が不足してさらなる病気の悪化につながってしまいます。そして、BUN値が高い犬の食事にはリンとカルシムも制限された栄養バランスとなっています。

リンは腎臓のろ過フィルターを詰まらせ、負担を欠てしまいます。BUN値が高い犬にすすめられる専用のサプリメントは、リンを吸着し腎臓に蓄積させずに体外に排出させる効果があります。

ですが、この時問題なのが、BUN値が高く腎機能が落ちている犬に極端な食事制限をして、タンパク質、カルシウム、リンの制限をしてしまうと、体内に必要な栄養が足りず、とくにカルシウムは骨から不足分を補おうとします。

そのため、慢性腎不全で長期的に制限のある食事をしている犬は、骨の強度が落ちてくる傾向があります。(骨密度)BUN値のコントロールは、難しいのですが治療の効果が表れやすい値でもあります。

それぞれの体質や、筋肉量、年齢などによっても、BUN値のコントロールの効果は変わってきます。そのため定期的な経過観察が必要です。

まとめ

お薬を見ている犬

犬のBUN値は、高くても低くても危険でとくに高値の時には重篤な状態のケースが多いのが特徴です。体内循環を促して、体内にある毒素を排出できれば、一時的なコントロールは可能です。

ですが、肝臓と違い、腎臓は再生することができません。失った機能は取り戻すことができないので、犬のBUN値の異常が発見されたら、その後は継続的な治療が必要不可欠です。

ですが、食事やサプリメントなどでコントロールがしやすい数値でもあります。血液検査は、少なくとも1年に1度は健康診断としてデータを残しておきましょう。BUN値が高くなってきたり、その他の数値の変化があったりする犬の体の状態の把握に役立ちます。

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