なぜ、犬に毎日シャンプーをしてはいけないの?
私たち人間は、ほとんどの場合、毎日シャンプーをします。人間の頭皮は、汗腺の働きが活発で汗をかきやすく、皮脂が溜まってしまったり、ホコリが付着したりします。シャンプーをすることによって汗や皮脂、ホコリなどを除去し、頭皮や髪を清潔に保っているのです。
犬も人間と同じで、皮膚に「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類の汗腺と、皮脂腺が存在します。エクリン腺は足の裏に、アポクリン腺は全身にあり、毛包につながっています。皮脂を分泌する脂腺も毛包につながっており、ここで汗と皮脂が混じることでできたもの、皮脂が皮膚を覆い保湿などの作用をします。ただこれが過剰に分泌されたりすることでベタベタしたり、独特の匂いを発したりします。シャンプーをすることによって汚れを落とし、ニオイの発生を防ぐことができます。
そんなメリットだらけのシャンプーですが、人間と同様に、犬も毎日シャンプーをしていいのでしょうか?
答えは「NG」です。その理由は、皮膚にダメージを与えてしまうからです。「犬は被毛に覆われているから、皮膚も丈夫でしょ?」と思われる方もいるかもしれませんが、犬の皮膚は人間の皮膚と違って、とても薄くデリケートであり、それを守るために被毛で覆われているのです。
シャンプーをしすぎると、様々なことを引き起こす可能性があります。
犬のシャンプーを毎日すると①皮膚炎を発症する
本来は、シャンプーによって被毛や皮膚を清潔に保つことで、ダニやノミの侵入を防いだり、フケを取り除いたりします。しかし、シャンプーをしすぎることによって、特にわんちゃんの皮膚は、人よりも薄いため、シャンプーのし過ぎが皮膚に刺激を与え、ダメージを助長させてしまう可能性があります。それによってダニやノミ、細菌などが侵入しやすい環境になり、炎症や痒みなどを生じます。
犬のシャンプーを毎日すると②乾燥を助長させる
毎日シャンプーをするということは、毎日ドライヤーをするということ。つまり、肌の乾燥を助長させるということです。乾燥で皮膚を傷めることで、病気を発症しやすくなったり、トラブルを引き起こす恐れがあります。
実は、皮脂は健康を守るために必要なもの
前述で、「汗と皮脂が混じったもの」についてご説明しましたが、実は「適度な皮脂」は皮膚の健康にとって大切なものなのです。
適度な皮脂は皮膚の表面に潤いを保ち、柔軟性を持たせます。また、皮膚が水をはじくのは皮脂のおかげであり、皮膚の乾燥を防ぐことができます。さらに毛にツヤを出し、過剰なフケの出現や、皮膚上の雑菌の繁殖を防ぐ効果もあります。
皮膚にとって皮脂は、欠かせない存在なのです。そのため、毎日シャンプーをすることで、皮膚の健康を守っている必要な皮脂まで洗い流してしまうのです。
では、「適度な皮脂」とはどのように作ればいいのでしょうか?
適度な皮脂とは、量と質が良い状態をいいます。皮脂が多すぎても少なすぎてもNG、ベタついたりカサついたりしてもNG、ということです。古くなった皮脂は洗い流し、新しい皮脂を生成させることが大切となります。
皮脂が少ない子の場合
皮脂が少なくカサカサしている子は、シャンプーのしすぎが原因の一つとして考えられます。適度に皮脂の量を保つシャンプー剤や、方法は存在しないため、シャンプー後は保湿剤を付けてあげましょう。
皮脂が多い子の場合
皮脂が多くベタベタしている子は、生まれ持った性質である可能性があります。アメリカン・コッカー・スパニエルや、シー・ズーなどは皮脂量が多い犬種といわれています。
皮脂が多すぎるとベタベタし、雑菌が繁殖し痒みを伴います。犬のシャンプーの頻度は、多くの方が月に1~2回ぐらいかと思いますが、皮脂量が多い犬種は、頻度をもう少し増やしてもいいかもしれません。
まとめ
汚れのイメージがある皮脂ですが、皮膚の健康を守るために必要不可欠なものです。実は動物病院に連れられた犬の病気で一番多いのが、皮膚のトラブルだとご存じでしたか?
愛犬の健康を守るために、飼い主さんができることは、何でもしてあげましょう。