犬がペロペロと舐めるのが止まらない理由
愛犬が何かをペロペロと舐め続けるのを見たことはありませんか?
それをかわいいと思うこともあれば、やめさせたい…と感じる人もいるでしょう。しかし、犬が何かを舐めるのが止まらないのには、さまざまな理由があるのです。
犬にとってのコミュニケーションだから
犬は言葉を持たず、ボディランゲージでコミュニケーションを取る動物です。
ペロペロと舐めるという行為もそのひとつで、自分や相手、物を舐めることで今の気持ちや自分の意思を表現したり、コミュニケーションを図ろうとしています。
例えば、お留守番をしていた愛犬がお出迎えをしてくれた時に、喜びのあまり興奮しすぎて、ペロペロ舐めるのが止まらないこともあるでしょう。
いわゆる「構ってほしい」時の親愛表現ですね。
反対に、愛犬にとって苦手な爪切りをしようとしたり、叱った時には「嫌だからやめてほしいな」「不安だな」と感じたストレスサインとして、耳を後ろに倒して姿勢を低くしながら、自分の鼻先をペロペロと舐めることもあります。
においや味の情報収集のためだから
気になるものがあった時、犬はにおいを嗅いだり、ペロペロ舐めたりすることで情報を収集して、それが何なのかを把握しようとします。
そのため、特に飼い主が外から帰った時や他の犬に触れた後などには、熱心に確かめようとするのです。
体調不良や病気のサインだから
吐きたいような気持ち悪さや、口の中の痛みや違和感などから、舌をペロペロさせるのが止まらない場合もあります。
がっついて食べた後の単なる吐き戻しといったさほど心配いらないものから、胃腸炎や膵炎、歯周病による歯肉の痛みや口腔腫瘍などまで原因は幅広いため、
- 1日に何度も舌をペロペロする
- 何日にもわたってペロペロするのが止まらない
- 嘔吐や下痢、食欲や元気の低下など他にも症状がある
ペロペロと舐めるものや場所によって意味が違う?
ペロペロ舐めることが止まらない時には、舐めているものにも注目してみましょう。
人を舐める場合
犬が人をペロペロと舐めて伝えようとしている気持ちや、知りたいと思っていることは、舐める場所によって異なると考えられています。
口元を舐める
犬が飼い主に対して最も多く舐める場所は顔であり、中でも口元を舐めることが多いようです。
嬉しそうにはしゃぎながら飼い主の顔をペロペロと舐めるのが止まらないこと自体は、愛情表現や甘えを示す行為だとされています。
飼い主が落ち込んでいる時に舐めてくれるのも、いつもと違う様子であるのをなだめて落ち着かせようとする愛情表現の一種なのです。
そして、犬が口元を中心にペロペロと舐める主な理由は、相手への敬意や食事の催促を表すと考えられています。
これは、犬と同じ祖先を持つオオカミの習性で、自分よりも上位だと認めている相手に対して、敬意や服従の意思表示として口元を舐めることがあるためそう言われているようです。
また、子犬が消化しやすいよう吐き戻したごはんを与えていた野生の名残りから、母犬の口元を舐めて空腹の合図を送っていたように、飼い主への食事の催促として行うこともあります。
手を舐める
特に小型犬などは、自分の目線に比較的近い位置にあることから、飼い主の手を舐める犬も多くいます。
犬が手を舐める理由には、愛情表現や情報を収集する意味があるようです。
人間は手で色々なものに触れることが多いため、犬はそのにおいを嗅いだり、舐めることで相手のことを把握しようとして、帰宅時の飼い主や初対面の人に対して、手をペロペロと舐める行動が多く見られます。
また、遊んで欲しい時やなでて欲しいといった要求のために手を舐めることもあります。
これまでに「舐めたら構ってくれた!」という経験があれば、甘えるしぐさとしてよく見せるかもしれませんね。
犬自身を舐める場合
犬自身をペロペロと舐める時には、毛づくろいとして自分の体をキレイにしようと整えていることが考えられます。
また、かゆみや痛み、出血している傷口があれば、自然と癒そうと体を舐めます。
ただし、あまりにもペロペロ舐めるのが止まらない時には、癒そうとしている体の違和感や傷口が深いか、退屈感などをまぎらわそうと癖づいていることも少なくありません。
体の舐め過ぎは、脱毛や過剰な蒸れ、傷口などの細菌感染の悪化につながることがあります。
物や床を舐める場合
物や床をペロペロと舐めるのが止まらない時には、食べ物のにおいや嗅ぎ慣れない消臭剤など、犬にとって気になるにおいを確認していることがあります。
人に比べ嗅覚が抜群に良い動物のため、キレイに拭いたつもりでも嗅ぎ分けてしまうのです。
また、食事前にペロペロしだすのは空腹感のアピールであったり、不安やストレス、退屈感からなんとなくペロペロ舐めるのが止まらないという子もいます。
子犬などでは寂しさや甘えたい気持ちをまぎらわそうと、飼い主さんの衣服や靴下などをおしゃぶりすることもあるようです。
愛犬のペロペロが止まらない時はどうすべき?
病気やストレスが原因ではないか確認する
愛犬のペロペロ舐める行動が止まらないのであれば、すぐにやめさせることを考える前に、病気やストレスなどを抱えていないか獣医師に確認してもらいましょう。
かゆみや痛み、気持ち悪さなどが原因なら、きちんと治療すれば舐めなくなることもあります。
日中のお留守番時間が長かったり、十分な運動の時間が取れずに欲求不満になっているのであれば、お散歩や遊び、スキンシップの時間を増やしてみてください。
退屈感やコミュニケーション不足による物足りなさを解消することはとても大切です。
犬が舐めるのをやめさせるしつけを行う
犬がペロペロと舐めてくるのをやめさせる方法としては、冷静に「ダメ」と手で遮る、舐めることが出来ないように立ち上がる、服で隠すなどしてやめて欲しいことを意思表示することが大切です。
「ダメ」と言っていても笑いながらや大げさに騒いでしまうと、犬は飼い主も喜んでいる、遊んでくれていると勘違いしてしまうので、あくまでも冷静に対応します。
ただし、犬にとって舐めることはコミュニケーション手段のひとつであるため、邪険に振り払ったり、過度に怒ることのないように気をつけましょう。
あまりに叱ると、犬は愛情表現やコミュニケーションを拒否されたと傷ついてしまう可能性があります。
遊んだりなでたりと、別の方法でスキンシップやコミュニケーションを取るようにしてあげてください。
人と犬に共通する感染症に注意!
愛犬がペロペロと舐めることを愛おしいと快く受け入れてくれる人もいますが、同じ犬好きであったとしても、舐められるのは苦手という人もいます。
また、犬の口内にはさまざまな細菌が潜んでいるため、感染予防のためにあまり舐めさせない方が良いとも言われています。
きちんと免疫機能が整っている人であれば過剰に心配しなくても良いことが多いですが、持病やその人の体質、その日の体調によって、「動物由来感染症(ズーノーシス)」として発症する可能性があるということも知っておきましょう。
犬のペロペロ行動が止まらないことに関するまとめ
犬が顔や手をペロペロと舐めてくる理由は、基本的に愛情表現やコミュニケーションを図るため。「相手のことを知りたい」「かまって欲しい」などの理由から、人の顔や手足を舐めます。
犬自身や物、床を舐める理由に関しても、気持ちの問題から病気まで幅広いです。
犬に舐められることが苦手な人もいますし、舐められることで感染症などにかかってしまう可能性もあるので、あまり人を頻繁になめさせることはおすすめしません。
犬自身や物・床をペロペロ舐める行為も、愛犬の体調不良につながることがあります。なぜ、愛犬のペロペロ舐める行動が止まらないのか、その原因をきちんと探しましょう。
しつけでやめさせる時には別の方法でコミュニケーションを取って、愛犬の気持ちや意思を汲み取り、こちらからの愛情も伝えてあげてくださいね。