注目!わんことストレスの最新研究結果
2015年、アメリカのデューク大学が、とある実験結果を発表しました。それは、わんこにストレス(刺激)を与えた際にベストなパフォーマンスをとる条件と、わんこの性格についての関連性を調べるといったものです。
実験方法
実験は、30頭の愛玩犬(ペット)と76頭の介助犬を対象として行われました。ジャーキーを持った実験者が透明の衝立を挟んでわんこと向かい合い、わんこを呼び寄せるといったものです。
その際、実験者は、
- ①落ち着いた声と態度
- ②興奮気味の声と態度
の2通りのパターンでわんこの名前を呼びます。
実験の前提
この実験では、実験者のコマンドや声の出し方、態度などをストレス(刺激)と位置づけています。つまり、①の落ち着いた声と態度はストレスが弱い状態、②の興奮気味の声と態度はストレスが強い状態となるわけです。
また、わんこの性格は、実験中のわんこが、「どのように尻尾を振るのか」によって判断されました。その結果、ペットとして飼われている愛玩犬たちは比較的興奮しやすい性格で、介助犬として訓練を受けている犬たちは比較的落ち着いた性格と見なされました。
実験結果
実験の結果、②のストレスが強い場合において、わんこの性格によって達成時間に差が見られました。落ち着いた性格のわんこ(介助犬)たちは集中して能力を発揮でき、短い時間でジャーキーをゲットできたのに比べ、興奮しやすい性格のわんこ(ペット)たちはジャーキーをゲットするまでに時間がかかってしまったのです。
つまり、同じレベルのストレスを与えても、わんこの性格によって、良く作用する場合と悪く作用する場合があるということがわかったのです。
バランスが大事!ストレスとパフォーマンスの関係性
ストレスと聞くと、悪いものといったイメージがあるかもしれません。ですが、全てのストレスが悪者であるわけではありません。生理心理学の基本法則の1つに、ヤーキーズ=ドッドソンの法則があります。
この法則は、「最高のパフォーマンスをするためにはある程度のストレスが必要だが、一定以上のストレスは逆効果をもたらす」といったものです。このことは、上でご紹介した実験結果からも明らかですよね。
適正なストレスがもたらす効果
ある程度のストレスを与えることで、わんこにコマンドを効率良く覚えさせたり、しつけをスムーズに進めたりすることが期待できます。甘やかしすぎは良くないというのは、こういった理由もあるかもしれませんね。
過度なストレスがもたらす問題
ただし、ストレスの与えすぎは逆にしつけの成功を遠ざけてしまう原因となる可能性があります。
愛犬がいつまで経ってもしつけを覚えてくれないと悩んでいる場合、単にわんこの訓練性能が低いのではなく、わんこに与えているストレスが強すぎる、すなわち、飼い主さんのしつけに臨む際の態度や声のトーンに問題があることを疑ってみてもいいかもしれません。
忘れないで!わんこによって違うストレスレベル
ただし、忘れてはいけないのが、わんこによってストレス耐性は違うということです。「前に飼っていた犬はこうだったから」「一緒に飼っている別の犬はこうだから」という理由で同じレベルのストレスをかけても、同じ効果が得られるとは限りません。
わんこの能力を最大限に引き出してあげるには、その子の性格とストレス耐性をしっかり把握することが必要不可欠です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?もちろん、わんこのストレス耐性を測る機械は存在しません。
わんこのストレス耐性を知るには、飼い主さんが真摯にわんこに向き合い、態度や声のトーンを少しずつ調整して、「ここだ」というレベルを地道に見つけるしかありません。
わんこへの理解を深めることで、よりいっそう絆を深めたいですね。